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#20180803東京医大性差別受験抗議

8月2日。友人たちと朝ご飯を食べていた。「フレンチトースト好きとしては牛乳の染み具合が残念だわ」と文句言いながらフレンチトースト食べていた友人が「このニュースがひどい」と見せてくれた。私は卵サンドを食べていて、ニュース画面をみながら、砂を噛んでいるような気持ちになった。味も香りも色も消えた。怒りの前に反射的に涙が出そうになった。その涙は、やっぱりそうだったんだ、という涙。知ってたけど、わかってたけど、やっぱりそうだったんだ・・・見ないようにしていた悔しさや感情が逆流するような感じで。

なんで私、こんなに悔しいんだろう。その答えはやっぱり一つで、私が女だから、に尽きるのだと思う。私は東京医大の受験生ではなく、そういう意味で当事者ではない。でも。女だからという理由で。子どもを産むかもしれないからという理由で。激務に耐えられないという理由で。女性たちが歩もうとする道を塞ぎ、女性たちの時間、人生、思いを奪う力は、この社会で生きている限り無縁ではない。男に高い下駄を履かせ、女に沈黙を強いることで守られてきたこの国の「男女平等」。女性差別に女性が怒りを表さなければ、いったい誰が声をあげてくれるというのだろう。

SNSに、泣いている女の人たちの声がたくさんあった。怒りたい、怖い、悔しい、という声があった。私も同じ。そういう人たちとつながりたいし、話したいし、とにかく一緒にいたい。そういう思いで友人と相談しながらtwitterに東京医大の前に集まろうと声をかけたのが2日の夜。ラインで友人数人と集まって、トララジをアマゾンでぽちって(オモチャ過ぎて使えなかったけど)、横断幕とかプラカとか、そういうのをそれぞれ凄い勢いで用意した。怒ることは苦しい。だけど、怒らなかったら病む。今、私たちに必要なのはおしゃべりだ、という強い思いで。

今日、東京医大の前に100人が集まった。5時30分くらいから東京医大の前に立っていったら、小さな子どもを二人、自転車に乗せた女性がやってきてくれた。いてもたってもいられないから来たって言って。そしてそんな風に少しずつ、昨日は泣いてた、どうしても悔しい、怒りがおさまらない、と語り出す人が集まりはじめた。「同じように勉強しているのに、なんで?」って小学生の娘が泣いたと話してくれた女性がいた。社会は不平等かもしれないが、大学受験はフェアなのだ、努力すれば勝ち取れるキャリアキップなのだと信じてきたことが崩れたと話してくれた男性がいた。悔しい!と叫んだ女性がいた。IWJさんやOurPlanetの方が撮影してくれたので、ぜひ観てほしいと思う。今日、東京医大の前に集まって声をあげてくれた人たちの声、その背後にもたくさんの声があることを思いながら。

日本最初の女性医師荻野吟子さんは、女だからという理由で大学で学ぶことを許されず、女だからという理由で大学を卒業しても国家試験を受けられなかった。それでも諦めずに、ゆっくりと門を開けた。1870年のことだ。荻野さんの思いが後に続く女たちに道を拓いた。私たちには、そんな偉大な先輩の女性たちがたくさんいる。司法の世界も、アカデミズムの世界も、政治の世界も、スポーツ界も、経済界も、どんな世界も・・・最初の扉を開けた女性たちがいる。だけど、一度開けた重い扉の先には、さらに重たい扉があるのだと私たちは突きつけられてきた。決定権のある場所、特権的な場所に、この国は殆ど女性がいない。高い下駄を履いた男性たちが当然のようにそこにいて、「女がこっちに来られないのは女自身の能力の問題だ」という顔で居座り続けている。自分たちの履いている下駄すらも、実力のうちだとでも言うように。

東京医大は一番最初の入り口の扉を、女子学生だけに閉じた。6万円の受験料を取りながら、女子大生の点数を一律減点した。そういう意味で今日、宮子あずささんの「男子学生は全て裏口入学だ」とは的を射た指摘なのだと思う。女たちは表門から入ろうとして蹴られ、男たちには別の広い門が用意されている。今年の東京医大の入学者数は男子が女子の5倍だった。男子学生にとっても、決して名誉な話しではないはずだ。

特に主催団体があるわけではなく、友人数名と声をあげたけれど、この声が無駄にならないよう、今日、声を上げて下さった方々の思いが無駄にならないよう、色んな人が声をあげていければいいと思う。怒りは、早いうちに、きっちりと表明することが重要だ。熱いうちに打てば、希望が見えるような力を生むこともある。それが今日だった。悔しくて泣きながらも、でも、集まれたこと、怒りを表せたこと、変えたいと本気で思っている人たちが決して少なくないことを感じられたから。

最後に。帰宅したら、友人から、もし東京医大を受けた女性で訴えたい人がいたら手弁当で支援する、という弁護士たちがいると連絡があった。そこで急遽「東京医大等入試女性差別訴訟を支える会」を立ち上げます。

東京医大をはじめとする医学部の入試で不当な女性差別により被害を被った女性たちの訴えを弁護団とともに支えます。当事者のみなさん、ご連絡ください。守秘義務等はもちろん守ります。kaese0802@gmail.com まで連絡下さい。

kaese。これはこれも帰宅後、尊敬する作家の笙野頼子さんからのメッセージから、もらった言葉。最後に、今日、私がいただいたたくさんの言葉から笙野さんの言葉をここに、あなたにおすそわけ。


受験料返せ、電車賃返せ
努力を返せ 時間を返せ お金を返せ 人生返せ
本来ついてる職業返せ

人権奪うな 尊厳返せ


8月9日に東京医大等入試差別問題当事者と支援者の会を立ち上げました。サポートいただいた場合は当事者支援のための活動と弁護士費用に全てあてます。よろしくお願いします。