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東京医大、受験料の領収書

昨日は、事件が発覚してからちょうど3週間。

当事者の親御さんからの連絡を受け、お話を伺った。
この3週間、初めて出会う人たちと様々な言を交わしてきた。医学部医学科の入試だけに留まらず、日本の社会全体を大きく問い、変えていくような議論がいくらでもいくらでも飛び出てくる。若い人たちがとんでもない犠牲を払わされた事件によって見えてきたものは、絶対に変えていかねばならない日本社会の悲惨な性差別の現実だ。


事件が発覚した時、知人の弁護士に「これって訴えられるの?」とすぐに聞いた。その人は、「どうかな〜」と曖昧に返してきた。点数開示したところで、本当に点数が低かっただけだったら本人が恥をかくし、声をあげる人はいないのでは? というのがその人の考えだった。法律は使い手によって、とても不自由で小さく冷たいものになるのだと思った。


同じように、男性当事者についても、ある弁護士は「男を救う法律はないんじゃないかな」と言っていた。「年齢差別は問えないから消費者庁に行くしかない」と。消費者庁ってどこにあるのか・・・と、その人の話を聞きながら、これはどのような「戦い」になるのか、少しわからなくなってきた。


これは明かな女性差別。明かな不正。だけど、法律の使い方を間違えたら勝てないかもしれない。戦い方のフレームを間違えたら、戦いそのものが小さくなってしまうかもしれない。であれば、声をあげてと声を出す、弁護士や支援者の責任は重要だ。だけれど、当事者の声が出なければ、何も始まらないのも事実だ。
すごくすごく不安だった。なぜなら、多くの人にとって被害は「過去」のものだから。
今、満足している人は声をあげる必要がないだろう。
今、辛い人は、声をあげる余裕はないだろう。
今、例えば医学部を諦めた人は、思い出したくもないだろう。
声をあげられる人はどれくらいいるのだろう。


そういう中で、声をあげてくださった方々の声は本当に貴重だ。
昨日のお話できた方の子どもは既に他大医学部に入学している、実質的な被害を言えば受験料だけ、かもしれない。それでも、とその方はこう話してくれた。

「自分が満足しているからといって、見過ごしてはいけないのが差別です。だから声をあげます」

きれいに保存されていた受験料の領収書。
東京医大は入試だけで1億円以上の収入を得る。
その背後に2000人以上の人の思い、12年の不正を考えれば2万人以上の人生があるのだと、染み一つないきれいな領収書を前に思う。
あげられた声をきっちりと大きな声にするために、やはり自分ができることはしなければ、という思い。戦う弁護士としっかり連携していかなければ。
声を上げて下さる方を求めています。
kaese0802@gmail.com
また寄付も集めます。
当事者に負担なく、正義がなされるように支援もお願いします。
ゆうちょ銀行
ゼロイチハチ支店
普通口座9184065
東京医大等入試差別問題当事者と支援者の会

8月9日に東京医大等入試差別問題当事者と支援者の会を立ち上げました。サポートいただいた場合は当事者支援のための活動と弁護士費用に全てあてます。よろしくお願いします。