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ダメ人間の存在価値

若い頃から、人と比べて著しく能力が劣っている自覚はあった。

普通の人が普通にできることが、私にだけできない。
努力が足りないのだと辛抱強く頑張ったが、できないものはできなかった。

学校では勉強も部活も散々だった。
野球部では打席にすら立てなかった。弱小野球部なのに。

社会人になってからは、さらに悲惨だった。
仕事が全然できなかった。

「君は能力が無いから、工夫や努力は要らないから言われたことだけやって」
上司や先輩から言われ、同期や後輩からも同じようなことを言われた。

それでも、努力すれば何とかなると信じて全力で頑張った。
早出したり、残業したり、休日出勤したり。

クレーム処理など、人が嫌がる汚れ仕事は率先して取り組んだ。
とにかく頑張った!

…と思っていたのは私だけ。
「仕事ができない使えないヤツ。性格もヘン。変わり者 etc」

そして、リストラ人事で切り捨てられた。
もう心身ともボロボロになって、ゴミ箱に捨てられた。

何で自分だけこんな目に遭うの?
それもこれも、能力が著しく劣るから。

これって生まれつきでしょう!
私は何で生まれて、何でこんな人生を生きなきゃならないの?

答えは一つ。
『あんなにダメなヤツもいる。自分はまだマシだ。』と、世間の普通の人々に思わせるため。

世間には、ごく一部の優秀な人たちがいる。
何をさせても最高クオリティで出来る!

周囲の普通の人々が羨望の眼差しを向ける。
世の中は「普通の人」が大多数だ。

普通のことができてるくせに、「平々凡々でつまらない人生」などと言う。
その不満の吐け口が私のような人間だ。

私はダメ人間だ。
でも、世間の普通の人々が、自分より底辺にいる私を見て安心することもある。

それが、私の存在価値だ。
ちょっと悲しい。

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