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地方銀行の採用苦戦から見えるもの

地方銀行の新卒採用の地盤沈下が激しくなっているようです。
先日、地銀が採用苦戦している毎日新聞の記事が出てました。

僕が新卒入社の頃は、銀行神話が健在で「地方(地元)で就職するなら地方銀行」が合言葉でした。実際Uターンで地元地銀に戻った同級生もたくさんいました。

それが、バブル崩壊で1997年からの山一證券、北海道拓殖銀行(拓銀)、日本長期信用銀行(長銀)の相次ぐ金融破綻でその神話が崩れたのです。当時は衝撃でした。

あれから20年。

学生からも、銀行は見放され始めています。
銀行の事業の将来ビジョンが見えなくなってきており、特にこれまで地域戦略が前提だった地銀はその力をさらに失い、安定を求める地元志向の学生からもマイナス評価されてしまったのだろうと思われます。

地銀を見捨てた学生は、一体どのような会社を選ぶのでしょうか?他の地元優良企業を選ぶならまだいいですが、選ぶ先が、地方を見捨てて都市企業に向いているとすると、地方にとってはますます地盤沈下が進む大問題だと思います。地方の学生の流出にアクセルがかかっているとすると、問題はとても深刻です。

これからの日本は世界的にも未曽有の労働力不足に陥ります。

僕はこの影響をこの全体の平均的数字以上に被るのは地方企業だと思っています。全体の労働人口が減ったとしても、求人は減らない。労働人口が減っても事業を行える策を講じている企業は数少なく、そのような中で採用を減らせば企業は生産性の低下に直結するからです。とすると、学生は、選択肢が広がり、条件がいい、企業力が総合的に強い就職の都心回帰傾向はますます強まり、地方企業はその割を食うことになると思います。

これまでのように「採用母集団」が集められなくなり、少なくなっていく母集団の中で戦えず採用に苦戦し、採用できたとしても選択の目が厳しくなり入社辞退が増えることになるでしょう。このような中で、企業がこれまでの採用手法に頼っていると、ジリ貧になることは明らかです。僕は今、地方の企業の支援をしていますが、都市圏で感じるよりその状況は深刻です。

ここから地方企業がやらねばならないのは一つだけです。
「マイクロリクルーティングの実践」
これだと思っています。

これまでの母集団形成型の採用は、大量の学生の中からふるいにかけていき、残った優秀な人材を採用するスタイル。

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この手法は「応募してくる学生が一定規模いること」が前提となり、母集団が少なくなれば、機能しなくなるモデルなのです。リクルートが作った「就活サイト」はまさに母集団形成型のモデルなので、これが一気に機能しなくなることを意味します(この実感をしている企業の採用担当者は多いのではないでしょうか)。

では、どうしたらいいのでしょう?

「母集団を採用人数に限りなく近づける」
理想の母集団数は「母集団数=採用人数」。つまり「本当に入社して活躍できる優秀な人材だけが応募してきて、採用する」ことです。採用力が乏しい採用弱者ほど、このための採用の仕組みを作ることにポイントはあります。この手法は、これまでの母集団形成型の採用設計とは完全に異なる仕組みを作る、ということです。

①応募してくる人が「応募者自身で判断できる入口を作る」
②欲しい人材のターゲットにマッチするところにピンポイントで募集する
③マッチングに徹底的に拘る選考プロセスを作る
④「入社する人材」でなく「長く活躍する人材」をターゲットにする

このような採用手法を確立させることができる企業は、採用弱者でも、必要な採用数で、かつ優秀な人財を採用できることになります。


この「未曽有の労働人口減」に対して、企業の採用担当者のアンテナがとても低いことを最近感じます。労働人口減に対する雇用確保は、すべての日本の企業が抱える中長期的な経営課題であるはずで、「それは知っているけれどうちの会社は大丈夫」という、危機感がない状態の企業が多いなと。

経営者がピンと来ていないのか、経営が健全な危機感を持っていても、それが採用担当まで伝わっていないのか。このような環境では、採用担当自身が自らのアンテナを高くし、経営課題を認識して自ら動く、この姿勢が大事なのではないかと思います。

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