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緑蔭の棋士は王手をさしにけり

遊歩道のあちこちに「非核宣言都市」と書かれた白い標が立っている。

爆心地であった広島の平和公園は緑が生い茂り、市民の憩いのオアシスとなっている。被災者の冥福を祈って植樹された一樹一樹も、いまは大樹となって、よき緑蔭をつくっている。

その下に茣蓙を敷き、あるいはベンチで老人たちが囲碁や将棋に興じて余念がない。旅行者たちがまたそれを覗き込んで外野席も賑やかだ。 

このような平和を得るために半世紀という気の遠くなるような長い時間が必要だった。しかし、この平和が壊れて修羅場と化すのは一瞬である。

 

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