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アートで笑える?!「びじゅチューン」の面白さの秘密

はじめに

みなさんは普段どんな動画を見られますか?好きなミュージシャンのミュージックビデオだったり、youtuberの商品レビューの動画だったりするかもしれません。では、美術に関する動画は見たことがありますか?あまりないですよね。

何にでも牛乳を注ぐ女

そこで今回はこちらの動画を紹介します。肩の力を抜いてお楽しみいただけます。600万回以上も視聴されている「何にでも牛乳を注ぐ(そそぐ)女『びじゅチューン!』」です。元になっている作品は、フェルメールの絵画「牛乳を注ぐ(つぐ)女」です。

https://youtu.be/pia0iJLqzmA

その面白さを分析

いかがでしたか?度肝を抜かれた方もいらっしゃると思います。私は最初に見たとき面食らったと同時に、ベテラン調理師が牛乳に合わない料理を出して「どうだ?どうだ?どうだ?どうだ?」と伺った矢先に構わず主人公が牛乳を注ぐシーンでものすごく笑ってしまいました。そのあと他のことをしていてもこの曲が頭で流れてくるほど中毒性がありました。

ではなぜこんなに面白いのでしょうか?4点に分けて分析してみました。

①意外性

まずはここでしょう。牛乳をモチーフにするとき、とっかかりとしてはプリンなど何らかの乳製品を作るために注いでいるシーンを最初に思い浮かべるのではないでしょうか。そこを「何にでも」にして、からあげ、しめさば、カンジャンケジャンと牛乳と全く合わないもののオンパレードと引き合わせるのは、常人にはできない発想です。大胆ですね。

②わかりやすさ

いきなり動画を見た人でもわかりやすい、社食のベテラン調理師と牛乳をすべての料理に投入する社員というシンプルな対立構造。複雑さを取り払っているので、すっと歌詞が入ってきます。

③リアリティー

社食という舞台設定が現実にありえる場所のため、ぶっ飛んだ主人公とバランスが取れています。こだわりの強そうな料理人もいるところにはいそうですよね。ファンタジーに振り切っていないところも味があります。

④リズム

曲のノリがよく、「そーっとやってきて さーっと注ぐと
ファーッとまろやか それ見てキーッとなるけど」のところなど最高ですね。思わずリピートしたくなる音楽だと思います。

最後のオチも、味のカスタマイズはやめないけれどしっかり作ってもらった料理を食べきる主人公に調理師が折れたような形で丸く収まっていて後味が良いですね。

牛乳を注ぐ女

牛乳を注ぐ女


今回の作品は有名ですね。詳しく解説しているサイトもたくさん見受けられるので、私が特に美しいと感じたポイントだけ記述します。

まずは、女性の服の黄色と青色の補色(色相環という円状の色の並びの中で反対側に位置する色)の対比がきれいですね。お互いの色を引き立てあっています。

そして、質感表現。テーブルに置いてあるパンの質感や、奥のバスケットのがさがさとした感じがよく出ています。注がれている牛乳も静止画とは思えない臨場感があります。

最後に窓から差し込む光の表現。淡く照らし出している光の微妙なニュアンスは圧巻ですね。

おわりに

いかがでしたでしょうか?シリーズのほかの「太陽の塔」「ナルキッソス」「真珠の耳飾りの女」もおすすめです。それでは今回もみなさんに瞳の至福が訪れますように!


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