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かがやき世界、やくたたずわたし



「芸術は自己実現ではない、芸術によって実現し、輝くのはあなたではなく、世界、外界の側なのだ」


芸術は、破滅の道かもしれない。


わたしは、自分の話ばかりする人のことがあまり得意ではなくて、
それはなんでなんだろう、とずっと考えていたのだけれど、
もしかしたら、自分の側を輝かせようとしている人が、得意ではないのかもしれないな。

たかだか自分なんて、100年後にはどうせ死んでいるわけなのだし。


演劇でもなんでもそうだと思うのだけれど、芸術を続けるのは、ほんとうに大変だ。
お金なんて、ぜんぜん入ってこないし。



以前、ある人から、「君は演劇で何ができるの?」と聞かれたことがあった。
質問の意味がよくわからなくて、聞き返したのだけれど、「人を喜ばせるとか・・・」などなどで、お茶を濁されてしまった。おそらく聞いた本人も、何を聞きたいのかよくわかっていなかったのだと思う。

8年くらい演劇をしているけれど、いまだに、台詞を覚えて喋ることくらいしか、できない。
きっと、いつまでも、そうだろう。
わたしたちは、演劇で何かをすることはできない。

もし、実用的な芸術があるのだとしたら、それはもはや芸術ではない、と思う。


でも、芸術の役に立たなさは、人間の役に立たなさと同じくらい、きれいだと思う。

日曜日に集まってバーベキューするのも、子供が描いたママの絵も、バッハの音楽も、みんな同じくらい役に立たないし、同じくらい輝いている。


わたしは、本当に好き勝手生きていて、あちこちに迷惑ばかりかけているのだし、せめて、一生懸命、役に立たないことをやりたい。


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