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R-1グランプリ 2024 全組レビュー


現在、TVerで配信中のR-1グランプリ 2024について全組レビューしていきます。

【前編】 | TVer
【中編】 | TVer
【後編】 | TVer





1st STAGE


1.真輝志


オーソドックスな構成で、普通に観たら安心して笑えるし、その意味でトップバッターとして最適なネタだけど、如何せん賞レースだと無難な印象で高得点は付けにくい。

70点。このネタの点数が今後の基準点。

2.ルシファー吉岡


中年男性ピン芸人が婚活パーティの設定のネタをするというのはベタな気はしたけど、最初の自己紹介タイムで女性陣が席を一つずつズレて移動していくベルトコンベアみたいな仕組みを使う構成は、実際に婚活パーティに参加したことが無い人でも想像しやすいので良いと思った。

実際に、僕も
「私以前、以後に分かれている」
のところと
「あなたは今、自分が何をやっているのか分かっていますか?」
で笑ったけど、ただ大きな笑いどころがこの二箇所くらいな気がするので、最終的には地味な印象。

でも、音響もベルの「チン」のみで、他に小道具も全く使わなかったところは好感度高い。
72点。


3.街裏ぴんく


彼のネタは同業者やお笑い好きからの評価も高いけど、ぶっ飛んだ設定からの聞き慣れた固有名詞とのギャップで緊張からの緩和が効いて笑いやすいというのは分かる。
でも、それは単に分かりやすい笑いに騙されているだけだと前から思っている。

個人的には
「ウソ漫談って、単に統合失調症患者の戯言では?」
という気がするし、彼の話術も聞き取りやすいけどやかましくてぶっちゃけクドい領域に入っていると思う。
(話術については、こちらの動画を参考に)

今回のネタは、
「プールに潜水で潜っていると、石川啄木が水中でふざけた顔で泳ぎを邪魔しに来る」
という設定で、
"こういう笑いを評価しない人間はお笑いセンスがない"
という彼のメッセージをヒシヒシと感じるし、しゃべり方だけではなくネタそのものも押しつけがましさが凄い。

で、その雰囲気に気圧されて今回の審査員の面々も概ね高評価だったと思うけど、

・ただ著名人名を多用して、そこを笑いどころにしている
・話術もクドくて単純

これはかつて芸人の方々が毛嫌いしていたエンタ芸と何が違うの?と思う。
こんな単純で分かりやすい客ウケに媚びたネタを評価するなら、審査員は不要だと思った。ウソ漫談に「へー」とか真に受ける反応するような客席のウケに影響されるとか…。
唯一バカリズムだけ辛めの採点だったけど、他の人達は見る目がない。
65点。


4.kento fukaya


フリップの発展型のモニターを使った陣内智則みたいなネタで、要は前時代的な演者都合の不自然な小道具配置に、マッチングアプリというベタな題材で、劇場に来るような若い女に露骨に媚びたネタでウケるのは分かるけど展開の構成もその場で考えたようなやっつけ感が出ていて特に上手くない。これは決勝に上げるべきではないと思った。

真輝志もkento fukayaも若い女の人に媚びる気満々のネタで、彼らは二人とも大阪の漫才劇場所属で、まあこういうネタを面白がるお客さん相手に彼らは日々ネタを磨いているだなと思った。
その意味で、「エンタの神様」って時代をかなり先取りしてたんだね。
50点。


5.寺田寛明

𝕏上で、

#今日の偏見

のハッシュタグを使って連日投稿しているのは僕くらいしかあんまりいないから、冒頭のツカミでドキッとしたけど、そこはネタのレビューとはもちろん無関係です。

ネタ自体はさっきのkento fukayaと似ているけど、こちらの方が
「国語辞典にコメント欄が付いたら」
という設定で独自性がある。
でも、肝心のコメント部分がネットでおなじみB層丸出し仕草オンリーなので、まあ共感できるけど彼らは境界知能がかなり多いので、そのバカさのさじ加減がぶっちゃけ何でもありやんって気もする。もう少しまとも寄りのコメントの比重も多くすれば良いのでは、と思った。

最後の
「暗澹たる思い」
のコメント群は、この慣用句について小学生に
「タブレットで自由にコメントしよう」
みたいな国語の授業があれば、本当にこんな感じの仕上がりになりそうだな、とか思った。
kento fukayaより5点上の55点。


6.サツマカワRPG


「カツラを被った如何にも不審者っぽい中年男性による、防犯ベルの講習会」
という設定とツカミは良かったけど、そこから一旦ハケた後に普通にカツラを被って戻ってきただけという展開はもったいない。せめて別のカツラに変えるべき。変えない理由が分からない。
彼のネタは今回初めてきちんと観たけど、正直そこまでお笑いを分かっていない人だと思った。

そこからのオチも綺麗だとは思うけど賞レース向きではないなと思った。

街裏ぴんくより2点上の62点。


7.吉住


「デモ活動している婚約女性が彼の実家に挨拶に来る」
というネタで、最初に観た瞬間に
「絶対に一部の人にとってはリアリティがあり過ぎて笑えない」
と思ったら、案の定一部ではクレーム騒ぎになっていて、一瞬このネタのブロックの中編もTVer配信が止まっていて残念に思っていたけど、配信が再開されて良かった。

デモ活動をいじるネタは、際どいネタを作ろうと思った人はだいたい皆一度は考えた事があると思うけど、吉住さんが如何にも共産党とかColaboとかキボタネみたいな左派系の団体に属していそうな風貌で、演者のキャラに合いまくっててめっちゃ面白かった。

あいつらって、
「もっと骨のある奴らかと思ってた」
とか本当に言うよね。実際は周りがドン引きして離れていってるだけなのに。

設定の着眼点は特に真新しくないけど単純に面白かったので85点。


8.トンツカタンお抹茶


このネタが著作物の権利関係的にカットされて、その編集作業の為に一時配信止まってたんだね。

これ、仮に二次使用可のフリー音源を使用していたとしても、予めその事を明示しないでネタを披露するのは違うと思う。
僕もリアルタイムで視聴してた時に、
「完全オリジナルなのか、有り物のBGM借用しているのかどっち?」
という考えが頭をよぎって、あんまり素直に笑えなかった。

で、しかもこのネタは完全に曲ありきで作ってるので、明らかに二次創作なのにそれを曖昧にさせたネタで勝負するのは賞レースとしてどうなの、とも思う。

まあ、でも件のネタがTVerで削除後もさまぁ〜ずの公式YouTubeチャンネルにまだ上がっているので見返すと、 前述した諸々の都合を全て追っ払って単純に出来 「だけ」 観た印象は、前半のサビまでがピークであとは尻すぼみした印象だけど、それでも自分基準の採点で80点で最下位は流石に無い。

しかし、「DOVA-SYNDROME」というYouTubeチャンネルのフリー音源の禁止事項に普通に該当しているので、そもそものネタ自体が完全にアウト。
もし、同じネタを準決勝でも披露して結構進出してたらそれもルール違反。

余談だけど、
「かりんとうの車のネタが消えるのは勿体ないので権利関係的に合法なBGM作って」
みたいな事を言う人もSNSの声として見受けられるけど、どう改変しても二次使用になるし、そもそも件のネタ自体がフリー音源の「天水のユーロビート」ありきで考えたのは明らかで、上の発言は原曲にリスペクト無さ過ぎでは。


9.どくさいスイッチ企画


この
「ツチノコ発見者の一生」
のネタ、構成は上手くまとまっていて初見ではダントツで一番面白いと思ったけど、再度見返すと確かにバカリズムの指摘通り、目覚ましジャンケン以降の新種の美容成分云々の下りから中だるみ感は否めなかった。

こういう時間軸転調型のネタは、観ている方は
「ここから、どこまで飛躍させた展開になるのか」
と期待するけど、そこの裏をかいて、何箇所かツチノコとは全く関係ない、青山氏自身の何気ない日常のあるあるとかでスカシというか外すパートを入れた方が良いと思った。
このネタは最初から最後まで一本調子で、良く言えば真面目にネタを詰め込んで、悪く言えば予定調和の感が強くなる。

確かにもったいないネタ。
でも、この構成で最後まで破綻なく特に失速もせずに4分でまとめたところに単純な感動もあるので、吉住より2点上の87点。



FINAL STAGE


1.吉住


「デモ活動を婚約女性」の次は「鑑識の彼女」という、多分わざと体制側と反体制側って両極端な設定を選んでバランスを取って来たと思うし、その選択は正しい気がする。

実際、多かれ少なかれ人ってこういう内輪な都合で公私混同しがちだよね。社会性が高い人ほど、結果的に反社会的な活動をしてしまうのは人間の永遠の課題というか。

展開自体はベタで予想が付いた。
77点。


2.街裏ぴんく


「街裏ぴんくはモーニング娘。の初期メンバーの一人としてデビューする予定だった」
という設定かつツカミ。

まあ、ワードセンスはそこそこあるし、思わず聞き入ってしまう話術はあって単純に分かりやすくて笑えるというのはあるのかな。。

二本目のこっちの方が個人的には好みだし面白い気もするけど、基本的に何でも言いたい放題のウソ漫談をただ大声で叫んでいるだけ笑

街裏ぴんくのネタが好きなファンの人でも、それぞれのネタによってハマったりハマらなかったり振れ幅も大きいはずで、今回のネタもご多分に漏れずで、優勝には値しないかな。
好みの設定とワードか否かで印象が個々で違いすぎると思う。


3.ルシファー吉岡


普通に面白いけど、
「若者達の集まりのノリに中年男性がツッコむ」
ってスタイルのネタは少し古臭い印象もある。背景の絵も不要だと思う。

でも、小話としてよく出来ているし僕個人としても単純に面白いと思った。でも、審査員票が一票も入らなかったのも分からなくはない。
往年の職人芸を観た印象で、今どきのテレビスターにはそぐわない。
78点。


投票結果


陣内智則 吉住
バカリズム 吉住
小籔千豊 街裏ぴんく
野田クリスタル 街裏ぴんく
ザコシショウ 街裏ぴんく


何回も言うけど、街裏ぴんくに投票した審査員たちはお笑いのネタを見る審美眼が無いねー。
審査員の人数も、せめてあと2人追加の7人とかにするべきでは?5名だと偏りが強いと思う。


#真輝志 #ルシファー吉岡 #街裏ぴんく #kento fukaya #寺田寛明 #サツマカワRPG #吉住 #トンツカタンお抹茶 #どくさいスイッチ企画



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