「面白さは人それぞれ」について
結論から言えば、「何を面白いと"感じる"か」が人それぞれ好みの問題であって、面白さの原理は共通していて、それが人によって異なる訳では無い。
「面白さの原理」については、一番的確に説明していると思う本はこちら。
食も、「何を美味しいと感じるか」は人それぞれの嗜好が入るけど、美味しさの原理は生物学的にも科学的にも説明できる。
詳しくは、「味覚と嗜好のサイエンス」を読んで参考にして頂きたい。
味覚と嗜好のサイエンス [京大人気講義シリーズ] | 伏木 亨 |本 | 通販 | Amazon
しかし、世に出回っているサブカル批評本は、まず「面白さ」についてはっきりと定義付けせずに話を進める。それどころか、面白さについてはそもそも言及していない批評も多い。
「面白さは人それぞれ好みの問題だから定義づけできない」という思い込みに囚われているからだ。
だから、けっきょく自身のフェチシズムについてのお気持ち解説ばかりのゴミみたいな評論本ばかりになるっていう。
それに対して、上に挙げたような、専門家による解説本の内容は、別に著者の持論ではなく科学的なエビデンスに基づいて具体的な理論構築をしている。
もし「面白さ」と「個人の好き嫌い」が同義であるならば、「面白いけど嫌い」とか「つまらないが好き」という現象が説明できない。
「面白すぎて嫌われる」という事も普通によくあるので、ダウンタウンの松ちゃんや千原ジュニアや小籔やクロちゃんは割と嫌われているけど面白いので結果的に売れている。
特に、クロちゃんや働くおっさんの能見さんなどは
「傍から見る分には面白いけど、決してお近づきにはなりたくない」
という種類の、「面白いけど嫌い」な人気者需要で成り立っているはずだ。
元芸人さんで長年活動していて、今はYouTubeで「お笑いディスり家」を名乗っているムラコスさんが、
「YouTuberヒカルとカジサックと陣内智則のコラボトークをディスってみた!」
という動画を挙げているが、これも「面白さのレベルと多くの人から好かれているという人気者需要は一致しない」という現象を指摘している。
相関がないどころか、ほぼ一致しないレベルでトップYouTuberたちは実力と人気に乖離がある。
余談だけど、この件についてかわんご氏と日をまたいでレスバに発展しており、それが原因で一応4年付き合っていた彼女にブチ切れられて振られてしまって結構落ち込んでいるので、実はこんな文章もレスバの応酬も書いている場合ではない心持ち。
「面白さの原理」について言及すると人間関係に亀裂が走ることも結構あって、宗教戦争に発展しがちな話題ではあるので、まともな良識を備えた大人はこの手の話はまず大っぴらに口には出さない。
しかし、
「何を面白いと感じるかとか、何を美味しいと思うかは人それぞれで好みの問題」
という発言は、実際は何も言っていないのと同じで、ズブのど素人の解釈でしかないのに、その程度の見識でサブカル批評に手を出しておいて、批判するなという方が無理がある。
面白さに興味がない・理解がない・宗教戦争に発展する覚悟が無いなら、最初からエンタメの評論なんて書かなきゃ良いのにと思う。
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