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2024/2/3 陣屋観る将旅行記

きっかけ

2023年8月、名誉王座か八冠かを決める歴史的なシリーズとなった王座戦の第1局が、元湯陣屋にて行われた。
将棋ファンなら一度は訪れてみたい陣屋!
私もいつかはと思っていたが、永瀬藤井戦で初登場の陣屋カレー(ビーフ&伊勢海老シーフード)に目を奪われた。
伊勢海老カレー食べたい!

そんなファン心理をくすぐるように、陣屋の宿泊プランに「陣屋カレー(ビーフ&伊勢海老シーフード)プラン」が追加された。
もう行くしかない。

1人で泊まるとお高すぎるので、親しい区民さん🐧と鹿さん🦌に打診してみると、なんと即断即決でオッケーが。
素晴らしい。

9月に申し込みを済ませると、陣屋からお礼のメールをいただいた。将棋ファンの聖地巡礼旅と伝えたら、盤駒の用意を提案してくださり、ありがたくお願いすることにした。

みんなの予定を合わせた結果、2月3日が決行日となった。
その時は、まさかその日が地域対抗戦の中部(🐧🍍)vs関西B(🦌)の放送日になるなんて思ってもみなかった。

ところで、陣屋観る将旅行をするにあたり、先人たちの貴重なレポが大変参考になった。


どれもとても楽しい旅行記で、参考になりありがたかったので、私も記録を残せばこれから陣屋将棋旅を計画する人の参考になるかもと思い、細かめに記録を残そうと思った次第である。

11:00 いざ陣屋へ

2月3日当日。
お天気にも恵まれ、病気にもならず、推しは違えどとても仲良しな🐧🦌🍍は鶴巻温泉駅に午前11時に集合した。ワクワクドキドキ。

まず陣屋へ行き、荷物を置いて観光することに。

陣屋の看板と太鼓を見てこれがあの陣屋…!と興奮。
案内されて小径を進むとすぐにトトロの木が見えた。
これが宮崎駿監督が幼少の頃登った木…!

登りにくそうだけど…


写真でしか見たことのないものが眼前に次々現れて、もう心が大忙し。
非日常が始まった。

フロントで荷物を預け、まずはそこかしこに飾られている数々の将棋タイトル戦の写真や揮毫色紙の鑑賞で陣屋の世界にどっぷり浸る。
陣屋事件の時の色紙とか、将棋界の歴史的重要文化財がこれでもかと飾られている。

錚々たるメンバー

噂の「聡」にも出会えた。これを陣屋で最初に見た方の衝撃たるや、なるほどと(笑)
これも30年後とかに歴史的一枚になるのでしょうか。

豊島王位も

外に出ると広大な日本庭園があり、これがまた素晴らしい。池で錦鯉が優雅に泳ぎ、梅は満開。散策しているだけで癒される。
雰囲気が浮月楼によく似ているなと思った。

飲泉。
部屋にも飲泉のポットがあり自由に飲める。
コクのあるお水という感じ。

12:30 ランチタイム〜鶴巻温泉周辺

昼食は近くのお蕎麦屋さん「田代庵」で。
鶴巻温泉、何気に陣屋以外ほとんど何もない。

陣屋ツアーを決行した先人たちのモデルコースを頼りに、弘法の里湯という足湯へ。
しかし地元の方達で満席。大人気。
そして我々みんなタイツを履いていたので、気軽に足湯ができない^^;
というわけで、今回は行くだけ行って何もせず…。
足湯をしたい人はすぐ脱げる靴下で来てくださいね。これ重要。

この時点でまだ午後2時にもなっておらず、チェックインの3時半まで2時間近く余ってしまった。
少し行けばハイキングコースとかあるようだけど、そんな装備もしてこなかったし、のんびり湯けむり将棋旅なので、おとなしく地元のコーヒーショップでひたすら将棋トークを2時間して過ごす。
これがまた楽しい。
全員推し棋士が違うので、それぞれがそれぞれの悩み苦しみがあり、それぞれがそこに共感したりツッコミ入れたり考察したりと話題が尽きなかった。

15:30 チェックイン

15時を回り、いよいよ陣屋へ戻る。
お出迎えの陣屋太鼓に感動!これがあの太鼓の音色…!
すごい上客になった気分になる。

まずはロビーのソファ席でウェルカムスイーツとドリンクをいただく。
お抹茶と、ベリーのテリーヌと生チョコの小菓子。上品で美味しかった!見た目も美しくて宝石のよう。

館内は白檀が仄かに香り、もう非日常を超えて異世界。各客室の名前は源氏物語からとられており、中世日本にタイムスリップしてしまったかのよう。

タイトル戦の舞台
一番奥の部屋

陣屋カレープランはお部屋は当日のお任せ。
今回は将棋ファンということで、コロナ前までタイトル挑戦者が宿泊してきたという「鈴虫」のお部屋を用意してくださった。
アップグレードとのことで嬉しい。

なお、タイトル戦で使われる松風のお部屋は宿泊者がいらっしゃり見学できなかった。
いつか松風も泊まってみたいなぁ。

鈴虫のお部屋は『本間10畳に、次の間3畳を挟んでさらに次の間4.5畳のあるゆったりとした間取りのお部屋に、脱衣場もお風呂も広めの、檜内風呂が付いたお部屋です。』と陣屋HPに説明がある通り、かなり広い。

館内着の作務衣と、花柄の足袋靴下が用意されている

檜内風呂が少し離れになっていて、室内の廊下の先の階段を降りていくとその先にある。
檜の香りがとても良い。お風呂場の広い窓から山景色も見える。
アメニティはMARKS&WEB、ドライヤーはダイソン!

お願いしていた盤駒は駒台や脇息まで整えてあり、まるでタイトル戦のよう。
いや〜素敵すぎる。気分が盛り上がる。

アテンドしてくださった仲居さんが素敵な方でこれもまた幸運だった。
タイトル戦で棋士たちが気持ちよく対局できるように様々な心配りをして準備されている話など、貴重なお話を色々伺えた。

そこで鈴虫がコロナ前まで歴代挑戦者が宿泊してきたということは、もしや豊島先生も?と聞いてみた。
「はい、豊島様もご宿泊になられました」と。
🐧🦌🍍は区民か準区民なので、3人でひぇ〜と妙に落ち着かなくなる。
この部屋に!この風景見たのかな、どこの部屋で寝たんだろうか、盤駒用意してもらったのかな、などなど色々と思いを馳せてしまうのだった。
観る将の段位が一つ上がった気がした(笑)

16:00 湯乃上稲荷〜東屋〜山荘露天風呂

日が落ちる前に、館内裏口から行ける湯乃上稲荷へ登る。これも先人たちの陣屋レポの教えに倣ってのこと。読んでなければスルーしていたかもしれない。感謝。

3人でお稲荷さんに祈る。祈る。祈る。
みんなそれぞれの推し🐧🦌🍍の活躍を祈るので、大体みんなの祈ったことが想像できる。
全員の祈りを矛盾なく聞き届けることができるのか…はお稲荷さんのみぞ知る。

さらに登ると広けた場所に出た。
ぽつんと東屋がある。東屋にはテーブルと椅子があり、やろうと思えば縁台将棋が出来そうではあるが…鳥のフンで結構汚れていたので難しいかな。高台なので物見櫓的な使われ方をした場所だったのか?よくわからない。

部屋に戻り、山荘露天風呂へ。
陣屋には山荘露天風呂と、大浴場(内湯と庭園露天風呂)があり、さらに部屋の内湯が檜風呂。

山荘露天風呂は既に宿泊者のみ使える時間帯になっており、大浴場は22時まで日帰り入浴の方も使われるとのことなので、先に山荘露天風呂に行くことにした。

山荘露天風呂は山間の自然に囲まれ落ち着いた雰囲気の岩風呂。広くてお湯が岩肌を流れてくるのも風情がある。
真冬なので虫には出会わなかったが、虫掬いの網は置いてあったので、遭遇することもあるのかも。

何度も入りたくなるが、外の道を少し歩くのと、屋根がないので雨が降るとアウト。この日は夜から雨が降り始めたので、結果的に雨の前に入ることができてよかった。

18:00 陣屋カレー

露天風呂でほかほかになり、部屋に戻るとちょうどいい時間。
お部屋に陣屋カレー(ビーフ&伊勢海老シーフード)が運ばれてきた!!!

カレー!というか伊勢海老
全景
伊勢海老シーフードカレー
ビーフカレー
トッピング
パンナコッタ

めちゃくちゃ美味しい。
ビーフカレーの方がちょっと辛め。シーフードは海鮮の出汁がよく出ている。
シーフードもビーフもスパイシーで、最初に口に入れた時よりも後から刺激が追いかけてくる感じ。
コロッケみたいなのは、伊勢海老の切り身にアメリケーヌソースっぽいソースを絡めて丸ごと揚げた食べ応えある一品。

これを藤井くんは食べたのね…と王座戦を思い出しながら食べる。永瀬王座は昼も夜も食べたのよね…昼はともかく夜の30分で食べるの凄すぎる。でも美味しいからぺろっと行けるかも。

念願叶って大・満・足。
デザートのパンナコッタまでいただいて、満腹。
温泉入ってお腹いっぱいで最高に幸せな状態で、夜7時を迎えた。

19:00 地域対抗戦 中部vs関西B プライベートパブリックビューイング

こんな偶然があるのかという組み合わせの地域対抗戦。全員の推しが集まった。

最初に古森五段が服部くんに勝って関西Bが一勝し、盛り上がった!
そのあとは藤井くんがグイグイ調子を上げて5連勝という圧倒的な展開に。

八代先生の戦いも見たかったし、棋士チェンジで豊島先生が出ることを期待して、若干藤井くんそろそろ負けても悪くはないよ?と思ってしまったり^^;

とはいえみんなでああだこうだ言いながら、お酒飲んでワイワイ観戦するのがすっごく楽しかった!

23:00 大浴場〜棋譜並べ〜檜内風呂

地域対抗戦が終わったのが22時半を回ったくらいで、ちょうど大浴場の日帰り入浴の時間も過ぎていたので大浴場へ。

こちらは岩風呂とかではなく普通の人工的なお風呂場。庭園露天風呂には寝湯もあり、晴れていれば寝転がって星空を眺めることもできる。
残念ながら曇り空であまり星は見えなかった。
冷えた冬の夜に入る露天風呂最高!

お風呂から戻るといよいよメインイベント(?)の棋譜並べ。
元々はそれぞれの推し同士の対局を勝ち負けそれぞれで6局並べようと話していたのだが、まさかの地域対抗戦が推し対決になったのでそちらを優先し、今並べたい棋譜を並べることに。
1局目 A級永瀬勇気戦
2局目 A級豊島斎藤戦
3局目 王座戦第1局永瀬藤井戦

棋譜並べ、対人で並べると面白さが全然違う。
棋譜コメ読みながら、対局者の気持ちになって指す。この手にはこの意味があったらしいよ、とか、この時ここまで考えていたのか!とか、おしゃべりしながら並べるので1人で並べるより効果がある、かもしれないし、何より単純に楽しい!
おしゃべり棋譜並べ、おすすめです。

永瀬藤井戦は、持参した「藤井聡太が勝ち続ける理由」に自戦解説が載っていたので、それを見ながら並べた。
難しかったけどちょっとだけわかった気になった。

△3五銀まで 永瀬王座の勝ち
第71期王座戦第1局

🐧🦌がA級豊島斎藤戦を並べている間に、私は部屋の檜内風呂に入ることにした。
水栓が水とお湯で分かれており、お湯は熱湯が出る。適温にするのが非常に難しい。手で何度も確認しながらなんとかお湯を溜めた。

これ豊島先生ご自分でお湯入れられたんだろうか…。豊島先生に限らずこの部屋に宿泊した歴代挑戦者みんな多分無理なので、きっと宿の人が入れてくれたと思うことにする。

檜内風呂、深くて意外と広くてかなり良い!
もちろんこれも温泉だし、香りが良くて癒される。
大浴場より檜内風呂の方が個人的には好み。

結局その後、夜中の3時まで棋譜並べは続き、時を惜しみながら眠りについた。

8:00 朝風呂〜朝食

朝から雨。山荘露天風呂は諦め、🐧🍍で大浴場へ。🦌さんは檜内風呂へ。
大浴場も屋根はあまりないが、壁際がかろうじて少し屋根になっていてしのげる。
雨の中の湯煙も風情があった。

朝食会場へ。
ここは王座戦第1局の前日夕食会で、藤井くん、永瀬王座、羽生会長、康光立会人、解説森内先生がずらりと並んだ日経のお写真の舞台。
クラシックな和洋折衷インテリアが素敵。


朝食は源泉で炊いたご飯が美味しくてみんなおかわり。海苔は一人一人炉で炙られパリパリ。

海苔用の炉、初めて見た
器も美しい
外には満開の梅
やまと豚味噌漬けはお土産でも買える



窓から見える梅が美しく、雨の中、はらりはらりと花びらが散る様子が風情満点だった。

朝食から部屋に戻ると、最後を惜しむようにまた、檜内風呂に入る。
温泉に始まり、温泉で締めた。

11:00 チェックアウト

チェックアウトは11時。
前日のうちに注文しておくと、朝出来立ての陣屋まんじゅうと、陣屋どら焼きをお土産に購入できる。
3人とも注文しておいたので、それを受け取りチェックアウト。

どら焼きは5センチくらいのミニサイズ
山芋の皮に餡子とかぼちゃ餡。モチモチ!



チェックアウトしてからも、大浴場そばの休憩所でフリードリンクをいただくことができるので、結局1時間以上そこでコーヒーや紅茶を楽しみ、ひたすらおしゃべりタイム。

近くに観光するような場所もあまりなさそうなので、このまま帰るのも勿体無いし、どこかでお茶して帰ろうということになり、陣屋を後にした。

お見送りも陣屋太鼓を鳴らしていただく。
お出迎えが「ドンドンドン」で、お見送りが「ドンドンカッカッ」みたいな感じで音色が違った。
そんな違いも初めて知って、また感動。

陣屋様、大変お世話になりました!
夢のような一泊二日でした。
また行きたいです。

そして同行してくれた🐧さん🦌さん、お二人のおかげでとても楽しい旅行になりました。
ありがとうございました!
また将棋タイトル戦旅館旅行しましょう。

おしまい。

梅一輪 一輪ほどの あたたかさ

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