民話ペディア① 『郷土料理・おじ汁』

幻の郷土料理「おじ汁」
おじ汁は、主に東北〜関東地方で親しまれている郷土料理。地域によっては「おじん汁」「おじじ汁」「お汁」など呼び方は多数あるが、基本的には同じ料理として扱われている。

原材料
屈強な、あるいは脆弱もしくはだらしがない中年〜壮年の男性の肉体から流れ出る汗が、おじ汁の主な原材料である。古来より集落の温泉などで主に採集され、この料理に用いられてきた。

調理方法
「上記の原材料を用いた汁物」という共通点はあるものの、実際の様態はその土地によって大きく異なり、調理方法も様々である。また伝統的な製法を守る地方では、詳しい調理過程はとくに秘匿され、不明点も多い。

現代における「おじ汁」
現代においても郷土料理として各地で親しまれ、観光客の中にはこれを味わってみようという物好きもいるが、本来その土地に根付いていたものとは大きく違っている場合が多く、賛否が分かれる所である。とくに最近よくみられる近代的温泉施設の循環ろ過環境においては、原材料が塩素などの殺菌剤、または女湯成分とも入り混じる。その結果として、むかしながらの風味とはかなり違ったものに仕上がっている。むしろ「そちらの方が飲みやすい」と好評の声もある。[要出典]一部地域のNPO法人などは、伝統的な製法の保護および復興を訴えている。


文学作品における「おじ汁」
大正~昭和にかけて活躍し、多くの紀行文も残した詩人の金子光晴。彼は各地のおじ汁を味わい、それについて書き残している。

※ 以下は金子光晴『汁、にし東』より引用

「今日の晩飯はおじ汁ですじゃ」
宿の親父は嬉しそうに言って、手ずから汁を椀にもって差し出してくる。熊のような髭面の大男が浮かべている満面の笑みから、こちらを精一杯もてなそうという真心があふれ出していた。よい人情、よい宿屋である。そして汁からはアクの強い、その土地の汁に特有の芳香が漂ってくる。くさい。が、飲まぬわけにはいかぬ。

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