UXデザイン連続セミナー2019 Day5

遅くなってしまいましたが、UXデザイン連続セミナーDay5のレポートです。

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◇目次◇

1.Day5開始!
2.私たちA班の提案するサービス
3.いよいよ発表…!
4.発表後の評価
5.他の班の発表を見て
6.リトライするなら…
7.UXデザイン連続セミナー2019を終えての感想

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1.Day5開始!
UXデザイン連続セミナー最終日の5日目。
午後からは各班、提案するサービスの発表があるのでAM10時からといつもより早めに会場でプロトタイプの作成に取り掛かりました。
私たちA班はスライドとペーパーでの発表に決めていたので、オンライン上でプロトタイプ作成のための下準備をしていました。

メンバーが集まってからオンライン上で話し合ったことを詰めて、さっそくプロトタイプ作成を開始。
当日2名欠席ということで4人での作業でしたがなんとかギリギリ発表に間に合わせました。
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2.私たちA班の提案するサービス

「Poitto!!」ー 1人でできないタスクはみんなにポイッとつなげよう! ー

◇ペルソナ 
名前:林祐一
性別:男性
年齢:31
職業:webディレクター
世帯年収:420万
家族構成:妻(専業主婦)子供(1歳2ヶ月)
居住地:名古屋市千種区

解決すべき未充足
仕事へのモチベーションは高いが、家族との時間も大切だと感じており家族との時間が少ないと感じている。経済面・時間・気持ちの余裕がほしい。

自分の理想の働き方を実現するために起業を考えているが、現状の実力に不安がある。セミナーなどに参加して将来につながる勉強を試みてはいるが、仕事と家庭に使う時間のためになかなか没頭して勉強できていない。

もっと将来のための勉強に時間を使いたい。
もっと子育てに参加したい。家族との時間を大切にしたい。
もっと仕事でも昇進して責任ある価値ある仕事をしたい。今請け負っている仕事をより完璧にこなしたい…

やりたいことがありすぎて1日24時間では時間が足りない。
さらに…
奥さんや職場のメンバーの気持ちを忖度して「もっと勉強に時間が取りたい!」と言い出せない。
職場のメンバーの気持ちを忖度して「もっと家族の時間を大切にしたい」と言い出せない。

そこで…

◇サービスコンセプト
仕事・子育てに大忙しで自分のスケジュールのコントロールに悩む上昇志向の高いサラリーマンが自分のタスク・やりたいことを周りに公開・共有して応援してもらえるサービス

◇注目したモーメント

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上記ペルソナのモーメントの中でも
1.勉強に集中したい時期なのにプロジェクトが炎上して勉強に時間を割けないとき
2.仕事の納期が近いのに奥さんと子供が病気でダウンしたとき
というペルソナが強く葛藤を感じる2つのモーメントにフォーカスしました。


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◇着目したペイン&フェイルと理想のエクスペリエンス

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◇インサイト
やりたいこと・やるべきことが多すぎて1日24時間では時間が足りない。

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でもコミュニティ全員の24時間で考えれば…?
どこかに一人では収まりきらないタスクを抱えられる時間があるんじゃない?

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各々のスケジュールに合わせてタスクを交換しあえたら、それぞれのやりたいこと・やるべきことの実現が叶うのではなかろうか?

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それによりコミュニティ全体の人生の充実度が上がるのではないか?
一人だけでなく、「自分を取り巻く大切な人たちも皆ハッピーになれる=自分も幸せ」なのではないか?

◇サービスのプロトタイプ
コミュニティのスケジュールを可視化・共有できるweb上のサービス。

ピンク wanted! (MyTaskから投げられた手助けを必要とするタスク)
黄色  Working(現在チーム内の誰かが進行中のタスク)
緑   Complete(完了したタスク)
青   Activity(プライベートで優先させたい予定)


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チームメンバー皆が見られるメイン画面にはTeam TaskMy TaskMemberが表示されている。
ログイン中(仕事中)のメンバーはカラー表示、ログオフ(休みなど)のメンバーはモノトーン表示でだれがWorking中が分かるようになっている。

Team Taskは皆共通の表示だが、My Taskにはメンバーそれぞれの一日のスケジュールが入っている。
チームの誰が今なんの作業をしているか(黄色 Working)、どの作業が終わったか(緑 Complete)、やるべきなのに誰も着手できていない作業は何なのかピンク wanted! )、メンバーのプライベートで優先させたいことはなんなのか青 Activity、さらにはそれぞれのタスクの締め切り(優先度)が一覧表示され把握できるようになっている。

My Task
で抱えきれなくなったタスクはTeam Taskにポイッと投げられる。
ポイッと投げられたタスクには仕事の内容期限が要約して表示されている。カーソルを当てると詳細とタスクを請け負ってくれた人へのお返しが書かれている。(例:依頼者 林 ○○プロジェクトのバナー制作 作業時間目安1h お返し 朝から気分が良くなるような挨拶をします)

Team Taskの最下部のオレンジラインが「DEAD LINE」。
タスクの期限が近づくにつれ上から下に落ちてきてDEAD LINEを超えたらアウトです!という表示。DEAD LINEにタスクが近づくとピカピカと危険な色で点滅し出す。超えたら「Oh my god…!」と悲痛な叫び声が聞こえる。(もちろんTPOに合わせてボリューム調節可)でも実際にはDEAD LINEを超えたタスクはまたリスケされる。

タスクが完了すると黄色から緑に変わり緑が3個くっつくとテトリス的にタスク表示が消える。

また、My Pageでどれだけ作業したかがグラフ化される。タスクをTeam TaskからMy Taskにもらうと自分の作業グラフとは別のreceiveGraphに加算される。
receiveGraphが一定数になると有給1日・報酬1万円・社食1週間無料などの特典が得られる。
なのでがんばってTeam Taskからタスクをもらって仕事した人には投げた人からのちょっとしたお返し以外にもメリットがある。

このようにゲーム感覚にすることでタスクを投げやすい環境を作る
またテトリス的にタスクが(緑 Complete)になって消えていくのはけっこう気持ちがいいものと想像されるのでタスクを早く消化したい=仕事を効率的に早く終わらせたい!という気持ちを仰ぐ。
チームの団結力を強めるのにも役立つ。

青のActivityタスクは「18日子供のお迎えのため17時に上がります」「19日pm2:00-4:00歯医者のため抜けます」「20日セミナー出席のため18時に上がります」といった感じでプライベートで優先させたいことをチームに開示しスケジュールに組み込んでしまうことでついつい仕事を優先してしまいプライベートが犠牲になるという未充足を解消する。

Member一覧のアイコン
をクリックするとそれぞれのメンバーのMypageを見ることができる。

画像8


Mypageには写真、簡単なプロフィール、煩悩MAP、MyTaskが表示されている。上の画像にはないが、自分の終わらせた作業をグラフ化したMy
Graph
、TeamTaskから引き取った人の作業を終わらせたグラフ化であるreceiveGraphも表示されており、その人がどれだけ作業したかが一見で分かるようになっている。

MyTaskはメイン画面のMyTaskとリンクしている。
煩悩MAPは今現在その人の頭の中にあるプライベート情報を可視化したもの。なかなか言い出せない「これやりたい」を人に公開しやすくするためにツール。

たとえば林さんの場合だと(HDCセミナーの勉強したい、11/12日残業しない 奥さんの誕生日 要プレゼント購入、新しいMacProほしいな…、子供の保育園見学、朝のゴミ出し忘れない、朝まで寝たい、山に登りたい)など。

煩悩MAPのタスクはMyTaskに移動可。さらにMyTaskからTeamTaskに移動可。たとえば「11/12日残業しない 奥さんの誕生日」煩悩MAP→MyTask→TeamTaskに移動させることでチームで共有し『11/12日残業しない』を実現へ導く。

紹介したケースは会社のプロジェクトチームで使用する例だけど、家族などのコミュニティでも使用可能。
たとえば林さん一家ならメンバーを林さん、奥さん、林さんのご両親、奥さんのご両親でコミュニティをつくり、Babyちゃんの子育てを皆でサポートしあうことも可能。
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3.いよいよ発表…!
プロトタイプ作成に時間を取られすぎて、発表のための練習がほぼできず、考えていたサービスが半分も伝えられませんでした。
10分という限られた時間でサービスをいかに聞き手に感情レベルで共感を得られるようわかりやすく魅力的に伝えるか。
ここの段取りが非常に甘かったです。
考えていたサービスが100%伝えられた上で先生方や審査員に評価を仰ぎたかった。
いくら良いアイデアを出し良いサービスを作れたのだとしても、それを顧客に伝えられなかったらなんの意味もないですから。
とても無念が残ります…!
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4.発表後の評価
発表後、井登先生と審査員の方々(インタビューさせていただいたB班のお二人)に評価をいただきました。
審査員の方々からは「自分の悩みが解消できると思った」「使ってみたい」と優しい評価を頂きましたが、自分たちのサービスのメリットを全然伝えきれなかったプレゼンを振り返ると優しさでかけてくださった言葉なのだろうと想像できます…
井登先生からは「いろいろ盛り込み過ぎ。解決される問題をもっとシンプルにすべきなのでは?例えば、コミュニティの団結力を高めるツールというのなら優れていると思うよ。でも、もし投げたタスクを誰も取らなかったら?そもそも投げて誰かが拾えるタスクなのか?これ、良くわかんないから触らずに置いておこう…とかいうことになりはしないか?」というご指摘を頂きました。
自分たちの考えたサービスを100%伝えきれなかったことを引き算しても的を得ているご指摘で反省すること多々です。
そうか、自分たちの中では色々議論してかなりいいサービスだと思っていたけど、外から見たらゴチャゴチャして何を解決するためのツールなのか分かりにくいのかも。それこそ欲張らずに始めはもっと解決されるべき問題をシンプルにしたツールにして、使いこなせたら少しずつ要素をプラスしていってもいいのかも…
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5.他の班の発表を見て
web関係のお仕事をされている方も多く参加されているということもあり、レベルの高いプロトタイプを沢山見せていただきました。各班工夫をこらして時間内でサービスを分かりやすく説明しているところは見習うべきポイントです。異なるインフォーマントからインタビュー・価値抽出しペルソナを作ったはずなのにうちの班とかなり近い価値を持ったペルソナが複数人いたことに驚きました。やはり自分でセミナーに参加してスキルアップしたい人たちが集まっているので、その時点である程度同じ価値観を持った人たちが集った結果でしょうか?
また加藤さんがDay5のブログでおっしゃっていたように、「サービスを使う前提のストーリーになっていないか」という点は私も気になりました。
ユーザーがなぜそのサービスを使うのか?
既存のサービスと比べて特に優れているポイントがない限り、溢れるほどあるWEBサービスの中では勝ち抜いて定着し習慣化するところまでいけないでしょうから。
自分たちの班にも当てはまることで考えが足りなかったと反省…。

さらに井登先生の評価や加藤さんのブログでも指摘されたことですが、マネタイズというポイントもまったく考えていませんでした。
実務になれば当然そこは切り離せないところで、もし課金スタイルならばますます優れたサービスでないと絶対に導入されませんから。
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6.リトライするなら…
今回のA班の反省点は下記。

1.解決される問題をもっとシンプルに
2.ユーザーがなぜそのサービスを使うのか?をもっと考える
3.既存のサービスと比べてなにがより優れているのか?
4.マネタイズはどうするのか?
5.プロトタイプの発表は相手に感情レベルの共感を抱かせるよう、かつシンプルに

1.解決される問題をもっとシンプルに
このサービスで一番解決させたかったのが、「かかえきれないタスクをシェアし合う」「自分のやりたいを表明する」。
この時点で2個ある~…!
これがごちゃごちゃの原因だったのか?
価値抽出の段階でこの2つ、わりとゆずれないものだったんだけど、そういう場合っで欲張らずにどちらか1つを選択すべきなんだろうか?
優先させるなら「かかえきれないタスクをシェアし合う」かなぁ?
「自分のやりたいを表明する」をカットするとなると”煩悩MAP”が消えるくらい。あまり変わらないな…
ごちゃごちゃに感じさせてしまう原因はサービスの内容ではなく発表の仕方に問題があったように感じてしまうんだけど、自分たちのサービスが可愛くなってしまって客観的に見れていないんだろうか…?
実際にサービスを使っているプロトタイプを動画形式で見せるべきだったかな。説明すると長ったらしくごちゃごちゃしてしまうけど、実際はさほど難易度が高いサービスではないはず…

2.ユーザーがなぜそのサービスを使うのか?をもっと考える
まさに対象としているペルソナのようなユーザーに使ってほしい。
サービスコンセプト
「大忙しで自分のスケジュールのコントロールに悩む上昇志向の高い人が自分のタスク・やりたいことを周りに公開・共有して応援してもらえるサービス」
→一人では抱えきれないタスクをコミュニティでシェアし合うサービスなので、やりたいこと・やるべきことが多い人がコミュニティに声かけて使い始めるパターンが多いんだろうな。仕事上で考えると、ポジションが上の人や管理職が導入のきっかけを作ることになるんだろうな。

プライベートも仕事と同等価値でスケジューリングできるサービスなので、プライベートも大切させたいという志向のある管理職層にアピールできれば採用の機会が得らせるかもしれない…

3.既存のサービスと比べてなにがより優れているのか?
ToDo系アプリやタスクシェアのwebサービスはたくさんあるけど、自分で抱えきれないタスクを罪悪感少なめに投げられる、そのタスクを代行する人も得をする、全体的にゲーム感覚で(つまりゆるっと)できて、プライベートも公開・共有することで犠牲にしないwebサービスってないんじゃないかしら?(あるいは私が知らない)
このレポート書いていて思ったけど、「プライベートをスケジューリングすることで犠牲にしない」ってペルソナの未充足解消にダイレクトにつながるし、ユーザーの心をつかみやすいポイントで既存のザービスと比較して強みになり得るなって思いました。

4.マネタイズはどうするのか?
やはり多くの人にまず気軽に使い始めてもらうには無料ツールである必要があるので、広告モデルがいいでしょうか?広告モデルで重要なのはユーザーの数ですが、このサービスを広めて定着させるまでに時間がかかりすぎると収益にならないし、そもそもユーザーが全然集まらないというリスクもある…
お金をかけずにどうこのサービスを広めるのか?というのも考えなくてはいけません。
SEO対策してブログ、動画、SNSなどで狙う客層の人の目には触れさせることができるかもしれないけれど、そこからなかなか使ってみよう!ってとこまでいかせるのは難しい…
無料版でも一人でやるならともかく、コミュニティみんなが使い方把握しないといけないし、特にコミュニティにネットに不慣れな年配の方がいたりすると「めんどくさい!よくわからん!やらん!」という展開になって結局導入されない気もする…
マネタイズどうしたらいいんだろう?webサービスで広告モデルや課金モデル以外にwinwinにできるマネタイズってなにかないのかな…?

5.プロトタイプの発表は相手に感情レベルの共感を抱かせるよう、かつシンプルに
Day5の発表にあたり、プロトタイピングの時間ギリギリまで決まらなかったことがあります。それは「サービス名」。発表の時間2分前にタスクをポイっと投げられるサービスということ「Poitto!」に決まったけど、サービス名が決まらないということはそのサービスの『ウリ』を自分たちの中でシンプルにできていなかったのかな?と。
自分たちの中でシンプルな言葉で言い表せないということは観客にもダイレクトにサービスの強みが伝わるわけがない。
チームで作り上げていくということはアイデアなどが分散しやすいけど、発表の前に改めてサービスについて話し合い意見をまとめる必要があったと感じます。チームメンバーのなかでまとまりきっていなかったから発表もあんな感じにごちゃごちゃ要点のわかりにくいものになってしまったんだと…

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7.UXデザイン連続セミナー2019を終えての感想
今回のテーマ「キャリアを通じた継続的な成長のためのソリューション」
このテーマを初めて聞いたときは正直『全然コトバが頭に入ってこない!なにを作ったらいいのかイメージできな~い!』と感じましたが、今ではこのテーマを完全に咀嚼できた感じがあります。それはきっと、UXデザインを段階を踏んで学んで、一つ一つの段階をチームみんなでウンウン悩みながら真剣に向き合い作り上げていけたから。

連続セミナーの初日に書いた今回のセミナーに参加した目的は
「UXデザインの一連の流れを体感し自分なりに理解したい」
でした。
今回その目的は大方果たせたように思います。
参加する前はUXデザインについてあまり理解していないくらいのビギナーっぷりでついていけるか不安でしたが、毎回の講義が本当に面白くてまだ世の中にないけど人々が欲している(あるいは今後欲することになるだろう)新しいサービスや製品を作っていける仕事ってとってもやりがいがあると思いました。人を深く知るためのインタビュー、価値を抽出してペルソナをつくりアイデアを絞志出すこと、それをチームでつくっていけること、どれも関心があり自分のやりたいことの一部にぴったりフィットしているとわかり、本当に参加してみてよかったです。
UXデザインって当たり前のようだけど現状できていない場合が多くて、とりいれたらもっと人生が豊かになるのにって思いました。

人がより豊かに幸せに生きられるためのサービス作り・製品作りに心を砕けるっていいですね。

UXデザインの一連の流れを5日分に搔い摘んだ今回のセミナーの中でも体得しきれなかったこと・理解が浅かったところもありますが、今後補えるよう学習を続けていきたいと思います。
各工程を反復する機会を作って近いうちに実践で挑戦できる場を作りたいです。

最後になりましたが、素晴らしい講義をしてくださった井登先生、UXデザインを学ぶ機会を提供してくださった加藤さん始めHCD-Net東海の皆様、穏やかで勉強熱心なA班の皆様、一緒に学んだセミナー参加者の皆様、本当にありがとうございました。


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