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西宮ヱビス・ヘビ使いの香具師


 以前、こちらに見世物小屋の記事を書いた。

 今度は、2001年の西宮神社のえべっさんに行った時のお話である。

 香具師(やし)、というのは、寅さんの映画を思い出してもらえばわかりやすいと思うけれど、タンカ売と言って、口上を述べながら様々な商品を売る商売である。
 売り物はインチキまがいのあやしい物が多い。この時の売り物は、ハブを漬けこんだ怪しい液体と、ハブを粉末にしたというハブ粉。
 この手の商売なんか多いな、ヘビ。

 
 まず、境内の一画にすっくと立つおっさんは、グラサンかけたジャンパー姿で、そばに小学生くらいの女の子が座っている。
 へびおやじは、なんとなく人が集まってきたところで、商売を始める。
 「ワシはもうヘビ扱こおて40年や!石川でハブ料理屋やっとる。ヘビつかまえてこいや。高う買うで」と、どこまでホントかわからない話をしゃべり出す。
 彼の商売の全容はどんなんかというと、そばのケージの中にマングースがいて、そのマングースとハブを今にも対決させると見せかけて、ずーっと、ひっぱるひっぱる。
 手にはハブを持ち、たまにお客の方にむけたりして、緊張感をあおる。かと思うと、商品のハブ薬を突然自分の頭にふりかけて、
「ところでこの薬、アタマに塗ると煙が!」などと言いながら頭からのろしを上げたりして、観客をどよめかせたりもする。緩急の間合いを心得ている。
 客にハブとマングースの対決を見せて興奮させ、ボルテージが上がったところでハブ薬とハブ粉を売りさばくのだ。


 ジャンパーのポケットにはちゃんとヘビ革の財布が入っている。芸がこまかい。ぬかりはない。
 ハブ薬とハブ粉は肩凝りに効くらしい。そこにはちゃんとサクラも現れて、おっちゃんの、「どうや、買わんか?えっ?」のアオリに、「ハイ、ハイッ!」と手を挙げるその女性は、どっから見ても濃い~感じの奄美の人…(ハブ関係者)。シナリオは、着々と進んでゆく…。
 そばに座ってる女の子は、ハブ薬を瓶に詰める係であった。多分、娘さんだな。

 しばらく見ていたが、いっこうにハブとマングースが対決する気配がないので、その場を立ち去り参拝して、お庭の池が見える茶屋で甘酒をいただいた。ゆで玉子と一緒に食べるのがおすすめ。( ^ω^ ) 冷えた体も暖まり、ほっこり☺️


 帰り道、ハブおっさんのいた場所を通りかかると誰もおらず、マングースのいるケージにはちんぎれたヘビとケータイ📱が仲良くぶら下がっておりました。
 けっこう、売れたみたい。知らんけど。


今回、以前ミニコミに書いた記事が見つかり、詳細がよみがえりました。
2001年1月10日の記載あり。

今見ても結構笑えますわ。


 

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