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誕生日の何がめでたいんですか

「22歳の何がめでたいんですか。」

テレビ番組で「お誕生日おめでとう!」と祝われた中森明菜は不機嫌そうに答えた。

それを見たシンガーソングライターの加藤登紀子はハートを撃ち抜かれたそう。そして「よかったら歌って」と、あるカセットテープを彼女に渡す。明菜ちゃんの『難破船』はこうして生まれたんだとか。


「明日死んでも後悔しないように」と思いながら過ごした一年。毎日が充実していた。家族に「いつも楽しそうだね」と何度言われたことか。うまくいかなくて帰りの電車で一人反省会する日も、布団の中でこっそり泣いた日も、『難破船』の歌詞が沁みすぎてしんどい日もあった。甘い出会いも苦い別れも乗り越えて、大好きな人と過ごす時間は大切にしようと誓った。

充実していたからこそ、歳を重ねるのが怖いと感じていた。そんなとき、冒頭の一言に救われた。誕生日なんてめでたくも悲しくもない。日付も年齢も所詮は数字にすぎないよね。
(あーあ、素直に喜べないつまらない大人になってしまったなぁ〜と書いてて思いました。)

年末にどハマりした明菜ちゃんだけど、今年に入ってからはあまり聴いていない。さみしいだけならいいけど、ちょっと悲しすぎるのよ失恋ソングは。

『難破船』から3年、休止期間を経てリリースした『水に挿した花』も失恋ソングだと思っていた。だけど、「過去の自分を振り返る曲」という解釈もできそう。あどけない「あなた」や肩にもたれて眠る「彼女」は、恋人に愛されていた頃の「私」。

さぁ少女のころに 返してあげましょう

この「少女」は『少女A』なんじゃないかな。花の種類は歌詞に書かれてないけど、ライブ映像を観て答えがわかった。語りかけてきた天使の正体は百合だった。

あの愛おしい日々にはもうすがりつかないし、傷ついた出来事も受け入れたいね。これまでのように穏やかに過ごせればそれで満足。

25歳になったので、今夜は久しぶりにこの曲を聴いて眠ります。

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