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【ドラマ感想】不適切にもほどがある (4)

*「不適切にもほどがある」7話の感想です。ネタバレを多分に含んでいるので、閲覧ご注意下さい。サムネは公式様より。

6話で令和に行った純子が渚と原宿で買い物をする。その後に、渚の友人である美容師のナオキに髪を切ってもらうことに。

余談だが、今回のゲストである岡田将生さんは脚本のクドカンさんにお願いしてドラマに出る事になったらしい (どこまで冗談か本当かは分からないけれど)

一方、市郎が働くEBCテレビでは、新ドラマの立ち上げが行われていたが、脚本家のエモケンがなかなか第1回分の脚本を提出しない。痺れを切らした担当の羽村プロデューサー達が、エモケンに直訴しに行く。

この後の展開は、エモケンの新ドラマ脚本案と純子とナオキの湘南デートの様子がリンクしていく。

エモケンは、伏線の回収が繋がらない、完璧主義だから起承転結、最終回まできっちり繋げないと書き進められないと愚痴る。その時、市郎は抱え込んでいる鬱屈した気持ちを吐き出すように「俺と純子の最終回は決まってるんだ!」と悲痛の叫びを上げるが、その後に冷静になって謝る。

市郎の良い所は短気で声を荒立てる事も多いが、そこにいる人達を自分のせいで困惑させたり、迷惑を掛けたと自覚すれば、ちゃんと冷静になって謝れることだと思う (怒鳴りっぱなしの中高年の男性も多いので)

純子とカラオケデートするナオキだが、純子がトイレで席を外している時に置いていった学生手帳を手に取って中身を見てしまい、純子の生年月日を知ってその内容を誰かにLINEする。この時点で私はてっきりナオキはあまり良い男ではないのかな?と思ったが、LINEの相手は渚だった。確かに昭和43年生まれだと、令和6年だと56才だから17才の見た目の純子だと訳分からなくなるとは思う。

ごめん、信じないと思うけど私のお母さん、あとでちゃんと説明するからという渚からの返事にナオキが何かを悟ったような顔をしていた。

純子が土曜日に帰らなきゃって言った時に、ナオキが複雑そうな顔で「バスで?」って言ったから、渚が純子がタイムマシン(バス)で過去からやってきたと説明されたのかもしれない。それじゃなければ、わざわざ「バス」という単語は出てこないと思う。ドラマ内はかなりテンポが良いせいで端折られているけれど、純子は2週間も令和にいたという事だから、その間に渚から説明があったのだろう。

最後のデート中、純子がナオキに「彼女いる?」って聞いた時に無言になって(それが答え) 純子が負けずに「私にも彼氏いる」とムッチ先輩とキヨシの事を話していた。純子にとってムッチ先輩とキヨシは本当にどちらも捨てがたいのか、はたまたナオキが彼女がいると聞いて自分もこれだけモテるんだと見栄を張りたかったのか。微妙な乙女心が描かれているなと思った。

その後、海岸でスマホを落としたナオキは支払いが出来なくてパニックに陥る 。クレジットカードを持ってないのかよというツッコミはしない方がいいのだろう。クレジット払いを全てスマホに移行している人も多いだろうし。

デートでまだ純子が帰ってこない事を知った市郎が、喫茶店SCANDALでちゃんと見張っていなかったゆずるを責め立てる。そこに警察から電話が掛かってきて、純子とナオキが無銭飲食で捕まっていた。喫茶店の電話番号は純子が記憶していたんだろう。スマホがない昔は身近な電話番号は記憶していたから(または手帳のアドレス帳) 芸が細かい。

純子は困っているナオキを見て、でも自分もお金が無いし、何よりも勝手を知らない令和でどうすれば良いか分からない。自分がわざと無銭飲食をしようとして暴れて捕まれば、ナオキだけは助かると思ったのだろうか。発想がやはり昭和ならではというか、自分は悪くなっても大事な人を守りたいという純子らしい不器用な優しさだとは思った。

どうやら純子とナオキのデートの流れが往年の名作「ローマの休日」のオマージュらしいが、私は観た事がなく概要しか知らない。市郎達が駆け付けた後、牢屋に入っている純子を見返す事無くあっさりと「親御さん来たから」と帰ろうとするナオキに随分と冷たいと感じたが、実は純子とナオキが市郎が来る直前に牢屋越しにキスをしていた事が純子の回想で分かった。描写はないが、キスする前にちゃんともう会えない上での別れのやり取りをしたのかもしれない。

純子 (渚のお母さん)が震災で死ぬ運命という事も渚から以前に聞いていたから、あの愕然としたような悟った顔をしたのかもしれない。だから、過去から来た渚のお母さんに、ひと時の良い思い出を作ってあげようとしたのかもしれない。

だとしたら、ナオキは絶対に別れる運命なのを分かっていたから (別れないと渚は生まれないし) 自分に過度に思い入れを強くさせないように、彼女がいるって嘘をついたのかも。もし本当にいなかったとしたら切ない。でも、最後の渚へのLINEで「お母さんによろしく(笑)」って2人の写真を貼っていたから、彼はひと時の楽しい思い出と完全に割り切っていたのだろう (真祖は分からないし、回収もされないだろうけれど)

今回、純子が事ある毎に「最近、みんな純子に優しい」って連呼しているから、考察で6話で市郎とサカエが純子が死ぬ話をしていたのを実は聞いていたんじゃないか?というのがあったけれど、やっぱり聞いていないんだと思う。

あと、サカエが安森先生に告白されるシーンを、未来の元夫井上君が喫茶店を覗いていたり、ムッチ先輩が1度は騙されてタイムマシンと思わせて実は普通のバスに乗せられたと思ったら、最後で本当にタイムマシンのバスに乗って (16時55分を覚えていて1人で乗ったんだろう ) 令和に降り立って秋津君と鉢合わせしてしまう。

ここにきて (元から?)かなり話が各方面に散らかってきた。様々な伏線と思われるものが最後まで回収されないかもしれないし、されるかもしれない。

本編の中でも令和でドラマを考察する動きが皮肉られていたが、別に伏線が回収されなくても、肩肘張らずにその場その場で楽しめばいい訳だし、張られた伏線を自分の想像で回収する事も楽しみ方の1つなのだと思った。

様々な価値を認める多様性といいながら、世の中に存在する出来事に対してこうでないとおかしいと勝手な「完璧」を求めて、そうではないと攻撃する矛盾している令和時代。フィクションに対してリアリティや整合性を過度に求めたら、何も創れなくなると感じている

昔はリアリティない場面でも、それが作り物だと頭できちんと理解しているから笑い話で済んだのに、今は対応せざる得ないクレームになる (ごく少数意見だとは思いたいが)

フィクションは、現実に起こりえない事を多少整合性がなくても、面白く装飾して創る物なのだから、それを「作り物」と理解して割り切って楽しんで観られない人はフィクションを楽しむのに向いていないと思う。

そのうち、更にコンプラの規制の対象がエスカレートするのか、それとも今のおかしさに気が付いて、より良く世間の意識が成熟していくのか。このドラマが布石となって世の中が少しでもガス抜き出来るように願う。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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