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酔っ払いの水兵の歌

8歳の次女は19世紀の船乗りの労働歌シー・シャンティ(Sea Shanty)にここ数年ハマっている。きっかけはコロナ禍でアイルランドの郵便局員がtiktokでバズらせたWellerman's song という歌だった気がする。でも、そういえば娘たちが赤ちゃんの頃から夫がお風呂でよく歌っていたレパートリーの中にEddystone Lightというシー・シャンティがあった。

この歌はEddystoneという灯台の灯台守と一夜を過ごした人魚が母親である船乗りが語り手となっている。人魚はイルカと鯛と語り手の男を身篭る。ある夜、船乗りが甲板に出ていると突如、母親が浮標の上に現れ「私の残りの子たちはどうなった」と聞く。船乗りは母親に「イルカは喋る魚として見せ物にされ、鯛は皿に盛られた」と告げる。するとまた突如として人魚の姿は消えるが、闇の向こうから「To hell with the keeper of the Eddystone Light!くたばれ、灯台守め!」と母親が叫んだ、という歌である。

<一番の歌詞>
Me father was the keeper of the Eddystone Light,
And he slept with a mermaid one fine night,
From that union there came three,
A porpoise, and a porgy, and the third was me.
Yo-ho-ho, the wind blows free,
Oh, for the life on the rolling sea

Eddystoneはイギリスの南の先端の、岩が多く航海が困難な海域に位置する、実在の灯台らしい。

こんな際どい歌を赤ちゃんのお風呂ソングに選ぶ夫も奇妙だが、実はこの歌は彼の母方の祖父もよくお酒の席などで披露していたそうだ。美しい歌声を持つ義母もギターを取り出してはよく歌ってくれる。言わばこの一風変わった家系のファミリーソングなのだ。

まぁ、なので娘がシー・シャンティにハマるのも血筋なのかもしれない。去年の誕生日に次女がウクレレが欲しいと言って、夫が素敵な木製のウクレレを買ってあげた。特にお教室に通っているわけではないので、子ども用のウクレレの教本や、youtubeで動画を見ながら気が向いた時に夫が教えている。

最近覚えた歌は『What Shall We Do With a Drunken Sailor?』(「酔っ払いの水夫をどうする?」)というシー・シャンティだ。歌詞の内容は、「酔っ払いの水夫をどうする?」という投げかけに、あれこれ対処法を提案するというもの。

対処法の提案は以下の通りである。

Shave his belly with a rusty razor
錆びた剃刀で腹の毛を剃れ
Put him in a long boat til he's sober
酔いが醒めるまで漕ぎぶねにほっぽっておけ
Stick him in a scupper with hosepipe bottom
船の開口部に頭を突っ込み、ケツをホースで鞭打ちにしろ
Put him in the bed with the Captain's daughter
船長の娘のベッドに放り込め
That's what we do we do with a drunken sailor! 
酔っ払いの水夫はこうしてやるのだ!

ちなみに鞭打ちの刑のフレーズは、これだけ読んでもネイティブにも意味不明のようだ。私も今回Redditで「この歌詞どういう意味ですか?」という投稿に対して、元水兵が解説しているのを見てようやく意味を理解した。むろん、娘も意味は分からないまま歌っている。

今年、自分の誕生日パーティーで娘は、みんなが歌ってくれた「ハッピーバースデー」のウクレレ伴奏した後に、この歌の弾き語りを披露した。8歳の女子が歌うには、これまた際どい内容であるが、本人はあえて個性派を狙っている節がある。

そして先日ウクレレ持参でうちに遊びに来た学校のお友達2人にも一生懸命この歌を教えていたことが後日判明した、、、親御さんたちに、この歌が小学生が歌うにはあまり適切でないことがバレないといいのだが、、、


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