気持ちの筋トレ

「もっと働いて成果を出したい」
「今まで食べたことのない美味しいものが食べたい」
「お酒を飲みながら気持ちいい音楽を聴きたい」
「海外旅行に行きたい」

妊娠がわかる前までは、大体こんなことばかり考えていた。
思う存分働き、よく食べ、よく飲み、よく遊んだ。

しかし、お腹に赤ちゃんがいると、大好きなお酒やコーヒーは控えなければならないし、なまものも食べられない。長く寝続けることができなくなるし(頻尿になる。。。)、ホルモンバランスが崩れて常にイライラしていた。いろいろと制限が出てきて、我慢をしなければならないことが本当に本当にストレスだった。

そのストレスを回避するために、私は「仕方ない」という言葉をよく使うようにした。望んだってどうせできないのなら、最初から望むだけ無駄だと、欲求に蓋をするよう努力した。

そうすると、葛藤が減って、日常は過ごしやすくなった。

お腹もだいぶ大きく張ってきたくらいの時だったか、旦那から
「最近、なんにもしたいことないの?」と心配そうに質問された。
なにから言おう!と意気込んだものの、何一つ単語が出てこなくて、私は黙り込んでしまった。


私は、母のことを「したいことのない、つまらない人だ」と思っていた。
食べたい物を聞いても、行きたいところを聞いても、欲しいものを聞いても「わからないなぁ」「パパと一緒」「なんでもいいよ」くらいの返事しか返ってこない。
したいことが出てこないなんて全く理解できなかったし、はっきりしないところは好きじゃなかった。

なのに、いつの間にか、自分も「したいことのない、つまらない人」になっていた。それに気づいた時はショックだった。

それから私は、いままでの私が好きだったことを思い出すために、
たくさんの音楽を聞き直しては好きだと思った曲をストックし、美味しいと思ったご飯があれば写真に残し、欲しいと思ったものはその度に旦那にメッセージしていくようにした。

これは、今も意識的に続けていること。


いま、私は「心に届ける」という言葉を理念に掲げた会社に所属している。

人の心に何かを届けようとしているのに、自分のこともわからないようでは本当に仕方がない。

自分の欲求に蓋をせず、「好き」の気持ちを大切にして、心の振れ幅を少しづつ大きくしていく。

私にとっては結構な筋トレなのだ。

ちなみに、自分の気持ちに向き合い直すようになってから、母ともこの話をした。そして母は、来年の夏に家族でハワイに出かける計画をせこせこし出していて、すでにパスポートの更新まで済ませている。

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大野みお

コルクなヒトビト

コルクのヒトがエンタメ作品や日常について書いていきます。
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