午後7時からの中学生談義 21

narrator 市川世織
「は…?どういう意味ですか?」
私たちが事情聴取を行った後輩の女の子を、私たちは翌日、再度呼び出した。もちろん、塾の可愛い後輩女子たちに協力要請を出して。
『ありがとう』
そんな意味を込めて、後ろの方に隠れている後輩女子たちを見つめると、皆は可愛らしく敬礼のポーズを決めて、人気のない廊下からそれぞれの部活へと去っていく。
「だから、庇ってるんだよな?犯人の生徒。君がこないだ、初めて会った時に俺たちに話してくれたこと、全部嘘なんだよな?」
裕翔がいつもより怖い笑顔で問い詰めると、女の子は声を荒げて
「証拠はどこにあるんです?!私が庇ってるっていう証拠は!!!」
真っ直ぐに私たちを睨んで言った。そんな女子に、貴之も遠慮はしない。
「お前は、犯人は先輩だと思う、上履きに緑のラインが入っていたから、って、言ったよな?」
「ええ、言いましたけど?」
「俺たち、そんな友達いなさそうに見えるか?」
「…え?」
「同い年に犯人がいたら、とっくのとうに気づいてるってことだよ。それに、俺たちこう見えて結構な名探偵で、毎年起きる生徒間のいざこざの犯人見つけることくらい、朝飯前なんだよ」
「先生たちだって分からないのに、先輩方がどうやって真犯人を見つけるんですか?」
あざ笑うように言ったセリフを、私も貴之も裕翔も、聞き逃さなかった。
私は一歩一歩女の子に歩み寄る。女の子は、後ずさる。
私は後ずさって、壁に背中をつけて座り込んだ女の子の前にしゃがむと、女の子を囲んで「逃がさない」と言えない代わりに、壁に手をついた。
ひたり、とかすかな音が鳴る。
「あ…」
女の子は唇を震わせていた。
先生たちにもできないことでも、私たちは解決する。
なぜなら、学校に起きる全ての事件の犯人は、私たち子供だから。
子供の中で起きたことを解決できるのは、子供だから。

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