午後7時からの中学生談義 22

narrator 市川世織
『ストレートティーとミルクティー、どっちがいい?』
私が真っ白なスケッチブックに、でかでかとそう書いてみんなの前に差し出した。みんなは「ん?」という表情で振り向いて、字を見て笑顔になると、ペンをそれぞれ手にとって、昨日の飲み物の下に名前を書く。
ストレートティー、美月ちゃん、舞美ちゃん、美乃梨ちゃん。
ミルクティー、貴之、裕翔、佳奈ちゃん、華鈴ちゃん。
私はそれぞれの名前が書かれたスケッチブックを持って、台所へ駆けて行った。
ー私たちが「事件の真犯人を庇っている」と推測して問い詰めた後輩の女の子は、ついに真実を話した。クラスメートの友達が、犯人だという。真犯人さんは、入学当初から人と違う(はっきり言えば太っている)体質で、嫌がらせを受け、そのどうにもならない苦痛を鏡にぶつけたと言う。
もちろん、私たちは真犯人さんに直接会い、先生へ申告することを勧めた。
そして今日、事件解決がそれぞれの担任の先生の口から告げられた。
今は事件解決のお祝いにこっちの塾…先生の家でお茶会。
「お茶飲んだら勉強してよね」
と言って、先生はお茶の準備を進めてくれる。
「貴之と裕翔は相変わらず甘党ね」
先生は私の持ってきたスケッチブックを見て、なんだか私たちのお母さんのように微笑む。
「あ!セオリー先輩、やっと来たぁ」
「やった!ケーキもあるよ?!」
「「マジ!!?」」
うぉっしゃあ、ケーキィィィ!!!!!!!!
と、飛び上がる男子2人に、私は素直に呆れた。
ちなみにケーキは、先生の娘さんから頂いた。

「まあ、これでハッキリしましたね」
ケーキがものすごい速さで私たちのお腹の中に収められていく中、まるでお嬢様のような雰囲気で紅茶をすすった美乃梨ちゃんが、静かに切り出す。
「何が?」
美乃梨ちゃんの言葉に、華鈴ちゃんと佳奈ちゃんは同時に首を傾げた。
「先輩方?」
美乃梨ちゃんの視線に気づいた貴之と裕翔。
「はふ?」
裕翔に至っては謎の言語を発した。貴之は
「うぉごほごほ、ごふっ」
咳き込んでる。
「はぁ…」
私も声が出てたら、ため息をついていた。
「何が言いたいの?」
先生の問いに、美乃梨ちゃんが頼りない私たちに代わって答えた。
「1年生の中で、いじめが発生してる、ってことです」
#中学生
#幼馴染
#お茶会
#塾
#いじめ