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伝わらないこの感覚

今回は海外への旅で避けて通れないあの壁について。
そう、宗教や風習についての話をします。


といってもこの回では基本中の基本だけ。
まずひとつ目です。

様々な国に宗教や文化の違いがありますが、私たちがやるべきことは、たったひとつだけ。


相手の文化・習慣・宗教を尊重せよ

たったこれだけです。
しかし、このたったひとつが難しい。

私たちは無意識に持っている価値観があります。たとえば、しめ縄が張ってあるものは神聖なものと知っています。
ところが、それを知らない外国人には「木に可愛い飾りがしてある!」と思うかもしれません。
そしてそれを取ってしまうかも。

海外で、可愛い子供の頭を撫でたら、タイなら怒られます。頭は精霊が宿る場所で、親しくなければ触ってはいけません。
そこの靴を取ってくれる?とタイの女の子に頼んだら、怒って靴を滝に投げ捨てられたという人もいました。(タイでは足は不浄なものなので)

他の文化への配慮はとても難しい。
そして、宗教は日本人にとって少し難しいものです。


私たちは宗教の中に生きている

なぜかというと、日本人はあまり宗教を意識せずに暮らしているからです。自分は無宗教だと思っている人もたくさんいます。

しかし、正月には初詣に行き、お守りを鞄につけ、結婚式には神に誓い、葬式ではお経をあげます。そして、細かなたくさんの風習、暦によっておこる色々なこと、祭り、ことわざなど、由来が宗教になっているものはたくさんあります。
私たちは宗教の中に生きています

それを自覚していないと、他の国の宗教を軽くみてしまうことがある。これだけは気をつけなければなりませんね。
逆に、宗教が深く根付いている国では、私たちの宗教や習慣を理解しようとしてくれます。


※マンガは左上からお読みください(左綴じ)
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ペトラ遺跡にて、かみ合わない習慣(ヨルダン)

ヨルダンで、どうやっても「もったいない」という感覚を理解してもらえず、最後に「だって、私は仏教徒だから!」と言ったら、すんなり「OK」と言ったおじさん。
宗教というより日本の価値観なのですが、ブッダのお名前を借りました。仏様、すみません。

でもこの時に、この人は色々な国からやってくる旅行客の宗教を、尊重しようとしてくれるんだなと思いました。

また一部の国では、食べ物をたくさん頼んで残せば、それが物乞いや動物たちに回るので、残すことが悪くないという文化もあります。
これはたくさんの国で経験しました。

食事を少し残すことで、もてなしに感謝をする中国のような国もあります。本当に色々な文化がありますね!
(ちなみに、先日行ったモロッコのお弁当も、パンとパンとパン、あとオレンジジュース…でした 笑)


混ざり合う宗教

でも「We are Shintoist.」と答えても普通は伝わらないですよね!

宗教や政治の話はするなという言葉もありますが、意外と宗教については話題になります。
では海外であなたの宗教は?と聞かれたらどう答えますか?

無宗教、不可知論者と答えるのも良いでしょう。
私は説明する時間がある時にはこう答えています。
「日本には主に2つの宗教があります。仏教と神道です。神道は神の道と書いて、日本土着の宗教です。仏教はインドから中国を通って伝わりました」

そうすると「うちの国もそうだよ。オリジナルの宗教があって、そして仏教も信じられている」
このように答える人も多くいます。

大抵の地域には、そこから生まれた古来の宗教があります。そこに世界宗教(国や人種を超えた宗教。キリスト教やイスラームなど)が広がり、地域によって混ざり合って独自のものになっていることがあります。

この、宗教が混ざり合っている感覚。
そして私たちも自然と宗教の中に暮らしていて、そこから生まれる価値観を無意識に持っていること。

私は海外旅行をするのに、この2つの感覚を持っていれば、相手を理解しようと思えるし、尊重できると思っています。

自分の足元を明らかにしてから旅をすると、たくさんのことが見えますね。
遠くから自分が住んでいる国を見つめてみるのも、旅の面白さだと思います。


英語翻訳:富田梨恵
ネイティブチェック:Shōn Sensei

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