ホステルからの脱出と大人予算

前回ホステルの客がうるさい、というノートを書いたのだけど、結局、あのあと彼らが騒ぎのなかでわたしの部屋のドアをバーンとした(おそらくフラフラしていてぶつかっただけなのだけど)ことが決定打となり、わたしは近くのホテルを予約してホステルから脱出した。

自分でもびっくりするくらい素早く荷物をまとめて(こんなに早くできるなんて、出国前の自分はなんだったんだ)明け方ゴロゴロをスーツケースを引いていった。

新しいホテルは専用バスルームで騒音もなく、外のトラムの音は結構すごいのだけど人の立てる騒音はなく、ついでに朝食ブッフェまでついているのでまさに極楽である。

さて、今回のホステル脱出は出費的にかなり痛手だ。自分の判断がよかったのかどうか、振り返らざるを得ない。

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のちのちスタッフから、彼らはただの騒ぎたいだけのいい奴ら(キッチンの掃除を手伝ったり)だったぞ、と連絡が来た。わたしがプラスアルファのお金を払ってホテルに移動するほどじゃないのに、という感じらしい。たしかにそうかもしれない。

でもひとり夜、あの騒音のなかでストレスを溜め続けるのが正解か?危ない奴か確かめることすらリスクを伴うなかでエイヤッと注意するべきだったのか?

世の中、女一人旅は面倒なようにできている。女というだけで舐められるし、単純に腕も弁もたたないから仕方ない。理不尽だとは思うし変えたいけれど。だから過剰なくらい自衛して俊敏に逃げるのである。

ちなみにホステル・安宿というのはきちんと選ばないと、あるいは選んだとしてもあまり客層の良くない日もある。今回話したスタッフによると、この近くのホステルではある宿泊客が薬物乱用でお亡くなりなって発見されたという事件もあったらしい。そんなことはもちろん稀なのだけど、過剰にビビって事なきを得るくらいでちょうどいい、とわたしは思っている。

今回のことは、まあ許される判断でした、ということにしておく。

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しかし正直なところ、5年前の自分だったら彼らをストレスに感じただろうか?と疑問に思う。彼らはたしかにうるさかったし、迷惑だったけれど、一番よくホステルを利用していた頃の記憶を引っ張り出してみると、そんな人たちは普通に居た気がする。そんなもんだ、と思ってやり過ごしていた気がする。大したストレスになっていなかったので「気がする」程度の記憶なのだけど。

よく旅をした5年前と今で変わったことは色々あるけれど、これを「年月を経て変化したから=歳のせい」と表現するならば、歳のせいかもしれないな、と思った。

若者ノリは自分が若かった頃から苦手だけれど、もはや耐えられなくなった、ということも「歳のせい」だし、つまるところホテルへ移動するという選択肢を持っていた、ということも「歳のせい」(おかげ?)だ。

もう一つ変化した重要なことは、旅をするときに何に重きをおくか、だ。昔はとにかく、新しいものを見てまわる、ということが最重要で、その他はどうでもよかった。今は、自分の状態が崩れないように日常を最低限確保しながら、見て回る、という感じだ。そう、住環境の重要度がすごく高くなったのだ。

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実際、今ホテルに移動してきて、騒音が消えたこと、専用のバスルームがあること、これがなんと有難いことか!と感動している。そして、今後旅をする時は、この生活クオリティを確保したいものだ、と思う。

アラサーにして、ひとり安宿との決別。大人予算の編纂。

もちろんゲストハウスの交流がある感じも好きだし、ドミトリーも普通に使うのだけど、一人で長めの滞在でとなると、何かあったときに対処方法が限られるし、できれば宿をケチらないでいい大人になりたい。(仕事します)

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大人になると、こうしてお金がかかるようになるのかな、とぼんやり思った。若いというのはたぶん、お金に換算してもかなり価値のあることなんだな、なんて思ったり。

創作活動の糧にします!