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「もっとほかに輝ける場所があるはずだ」と信じる妻と、その道を閉ざそうとする夫の話

今住んでいる家はケーブルTVが見放題で、AXN、FOX、スパドラ、LaLaTVなどが24時間見られる。これはヤバい、廃人まっしぐら。

先日、日本映画専門チャンネルで、名作ドラマ「古畑任三郎/シーズン3」を一気に見られる日があって、ついうっかり、全部見てしまった。12時から22時まで、ザ・廃人。

ドラマ「古畑任三郎」とは、冷静な判断・推理・巧みな話術で巧妙なトリックを解き明かす刑事・古畑任三郎(田村正和)と、毎回変わる超・豪華な犯人役ゲストとのやりとりがたまらない刑事ドラマ。脚本は三谷幸喜。

当時も、欠かさず見てたなぁ。これって、犯人役の役者さんのアドリブじゃないの? ってシーンも多々あって、それがまた、たまらんかったです、はい。特にラスト、捕まるシーンとか、一流の役者同士がそんなアドリブを心底楽しんでる感じがして、いいなあって思ったもんです。

さて、うっかり全部見てしまったシーズン3は、こんな方たちが犯人役。

市川染五郎/真田広之/松村達雄、岡八郎/大地真央/津川雅彦/市村正親/田中美佐子/福山雅治/玉置浩二/江口洋介

超〜豪華! すげーメンツだな、おい! でももし、私が役者(あるいは歌手、あるいは芸人・・・とにかく売れっ子のなにか)だったとしたら、これ、絶対に出たい! タモリさんの笑っていいとも、黒柳徹子さんの徹子の部屋とともに、出たい番組です(妄想炸裂中)。

それはさておき、シーズン3で、すんごい印象的だったのは、

若っ!! 若いよっ!! 福山雅治!!!(さわやかっ)

若っ!! 若いよっ!! 市村正親!!!(濃ゆいぞっ)

ではなく、、

田中美佐子さんがヒロインの「哀しき完全犯罪」の回でした。

超ルーズな性格の女流棋士・小田嶋さくら(田中美佐子)と、潔癖症で几帳面な夫の棋士・佐吉(小日向文世)。蓋をちゃんと閉めろ、使ったカップは都度洗え、ものを出しっ放しにするなetc.  嫌味と小言を言われ、ウンザリする毎日の中、さくらが唯一、外界の空気を吸い解放感を味わえるのがテレビ囲碁教室への出演。ところがそれさえ、夫は「お前は番組出演にむいていない、やめろ」と言う。殺意を抱いたさくらは…(以下ネタバレあり)

はっきり言って、この回は、トリックとかそういうのどーでもいいですね。だって、田中美佐子さん演じる犯人は、びっくりするほどルーズで大雑把。完全犯罪なんて成り立ちません。アリバイ工作下手すぎるし、古畑じゃなくったって、犯人すぐわかるレベル(笑)。

でも、ディテールがすごいんです。夫を殺した後だってのに、コーヒー入れて微笑みながら、自分が出演した番組のビデオをみる田中さん、超リアル。

何よりラストです、ラスト!

夫に言われるがまま、いつもは地味な服装しかしてなかった(アクセサリーさえも派手だと怒られ、取り上げられていた)田中さんが、フリッフリの真っ白なドレス(一見するとウエディングドレス? 当時流行ったピンクハウス系と思われる)に、くるくるカールのヘアスタイルアクセサリーもふんだんにつけて、2階から降りてくるんです、優雅に、にっこりと。

そして、自ら古畑に腕を絡め、エスコートされつつ退場(署に向かう)。

「外に出たい、自分はもっと輝ける場所があるはずだ」と信じる妻と、(愛しているがゆえなのか)その道を閉ざそうとする夫妻のうっぷん、妻の勘違い、妻の心の奥底、、、、その心理描写が非常に細かく、面白かった。

こういう見方はきっと、私が歳をとったからなのでしょう。

もう一度見直すと、なかなかに新鮮。そして何より、やっぱり名作だ! と実感するドラマでした。

※画像はすべて、日本映画専門チャンネルHPより。


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