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ファッションの大学に入ったらファッションを仕事に出来なくなった話

こんばんは。服飾大学で出会った「みっぽ」と「キキ」がサブカル的な態度でコンテンツについて対談形式で語る「サブカル女子って呼ばないで」です。

今回は、いつものように何か「コンテンツ」として映画や音楽を掲げる訳ではなく、少し趣向を変えて自分自身をコンテンツとして見たときの自分らしさというものについて考えてみました。
すると、わたしたちの共通点である「ファッションの大学に入ったらファッションを仕事に出来なくなった」過去に辿り着きました。

■捻れた自分らしさ

キキ 突然なんだけどさ、この前、約4年振りにベリーショートの金髪にしたのよ。

みっぽ キキ大学時代ずっと金髪ベリショだったもんね。

キキ そうそう。で、美容院で鏡見た瞬間に「うわ〜〜〜落ち着く〜〜〜〜〜4年振りなのに落ち着く〜〜〜〜こっちの方が自分だ〜〜〜〜〜〜〜」ってなったのよ。

みっぽ 私から見ても、こっちのキキの方がしっくりくる!ダークトーンのロングも可愛いけど、やっぱりキキは金髪ベリショが好き。

キキ それでふと思ったの。なんで、そのまんまの自分よりも、ブリーチしたり、カラーリングしたりした「手を加えた自分」の方が自分らしいと思うんだろうって。この捻れた自分らしさって何によって形成されたんだろうって。

みっぽ それ、私も考えたことある!

キキ みっぽも髪の毛もピアスもバチバチだもんね。

みっぽ 今は青髪だよ〜〜〜。笑

キキ それでこそみっぽって感じする。

みっぽ 私の中ではアイデンティティみたいなものになってると思うのよね、この髪の毛やピアスって。
自分の中身の部分でアイデンティティを見つけることができずにいるから、外側の髪の毛やピアスが今現在自分を自分たらしめるものだと思ってる。

キキ なるほどね。自分の中身の部分にアイデンティティを見つけることが出来ないって感覚は分かるかも。
私、いつも自己紹介とか履歴書書くときとかに「趣味」っていくらでも言えるのに「特技」が一つも言えないのね。それも根本にあるのは自分の中身に対するアイデンティティや自信のなさの現れな気がする。

みっぽ 「特技」が言えないってすごく分かる、、、!あとは「将来の夢」もいつも言えなくて、今はそれが出来た時のための準備期間ってことにしてる。「趣味」とか「好きなもの」だったらいくらでも出てくるのに!

■サブカルの本質はコンテンツではなく態度

キキ これは私がずっと言っている持論なんだけど、「サブカルの本質はコンテンツではなく態度」っていうのがあって。

みっぽ キキそれで卒論まで書いたもんね。笑

キキ そうそう、5万5千字書いたわ。笑
サブカルって何か?と問われたときに「ラーメンズとか好きな人」「ビレバンによく行く人」みたいな「コンテンツ」で答えるのは本質じゃないと思っていて。コンテンツ自体は実際なんでも良いんだけど、それに対して「サブカル的なものの見方をする人」のことを「サブカル」と言うんじゃないかと。

みっぽ 今回のnoteは「自分自身をコンテンツとして見る」というテーマでやっているから、そこに当てはめるとすれば自分の本質は、金髪やらピアスやらという選択をした「態度≒考え方」みたいなところにあるって感じ?

キキ そうそう!別に髪の毛が金色であることに意味があるんじゃなくて、「そうすることを選んだ自分」が私にとっては重要な気がするのよね。

みっぽ なるほどね。私たちっていつも、何かをセレクトすることで自分というものを作ってきたじゃん。だから、そのままの自分を見つめ直した時に空っぽで。それで自分自身を改造して分かり易くシンボル化している節もあるんじゃないかな。

キキ こういうスタイルが好きな自分=態度、こそ自分らしさとして捉えているんだろうね。

■「あんたの女装は武装でしょ」

みっぽ 私自分の好きなところってピアス、タトゥー、髪色なの。それって全て素のそのままの自分には無かったものじゃない?

キキ そうね、自分で選択して、自分に付け加えてきたものだね。

みっぽ これを装備するっていう選択肢が出現するステージで生きてこれて良かったなあとは思う。
初期設定の段階でスタートしてから経験値によって装備できるアイテムって変わるけど、私達の場合それが髪色だったりピアスだったりタトゥーだったりするのかな。

キキ あぁ、すごくしっくりくる。
私、マツコデラックスに対して作家の中村うさぎが「あんたの女装は武装でしょ」と言ったっていうエピソードが大好きなんだけどね。マインドとしてもファッションとしても、私たちは武装をすることで他者と戦えるようにしているから、そういう選択になりやすいんじゃないかな。

■自分で選んだ色

みっぽ あとは、他人に埋もれてしまう怖さもあるよね。埋もれた時に上手く勝負できる自信がないの。
だからマイナスからのスタートにすることで他人と同じ位置に到達した時により差を付けられるんじゃないかって考えたりもしてて。

キキ それはあるなぁ。私、昔からその思考はあった気がする。
私中学生の頃とか本当に目立たない子で。勉強もそこそこ、部活は一応運動部に所属しているけどそんなに本気で取り組んではいなくて、特に素行も悪くなくて。そんな私のアイデンティティが制服の着崩しだったりしたなぁ。

みっぽ 学校だと校則とかみたいな「一定のライン」が存在するからそれを超えるという選択をした自分っていうのが見えやすくて良いのかもね。

キキ そうそう。それである時フードの付いたカーディガンを着て学校に行ったのね。そしたら先生に怒られて。普段優等生だったからか、先生もすごい困りながら怒ってたの覚えてる。

みっぽ 荒れてる子とか、いわゆる反抗期としての行動とは根本が違うから先生もどう指導すれば良いのかわからないのか。

キキ 例えば掃除をサボったらその分他のクラスメイトに迷惑が掛かるからダメって怒られたらそれは理解できるの。でも、「フードが付いているからそのカーディガンは着ちゃダメ」って言われたら「なんで・・・?」ってキョトンとしちゃって。笑「なんでって・・・。」みたいな反応されたなぁ。

みっぽ なるほどね。笑
今の自分達に置き換えると、なんで「髪色」とかを自分らしさにしているのかって、学校や社会で強制される黒髪と真逆にあるのが「自ら選んだこの色」だからなんだろうね。「それを選択したのが自分」だってことが大切なの。

キキ 思い返せばピアスを開けたのもそのフード付きカーディガン事件とほぼ同時期だった。笑

みっぽ 自分で選ぶこと=アイデンティティという思考が自分の中で確立したのが、キキにとっては中学時代だったんだね。

■ファッションの大学に入学したら、ファッションを仕事にできなくなった

キキ 思い返してみると、自分の服に対する情熱はアイデンティティだと思っていたかも。でも実際に服飾大学に入ってみたらセンスの塊みたいな子が大量にいて、「自分なんか」ってなっちゃったんだよなぁ。

みっぽ それ、私もあったわ。先天的なセンスを感じる人がアホみたいに大量にいて、好きなだけでやっていく自信とかなくなったもん。

キキ 今思えば、先天的なセンスを感じる子たちも、そのセンスを強固なものにするための努力を意識的か無意識的かは分からないけれどしっかりしてたんだけどね。でも、当時はそのことすらも見えてなかったから、あー、生まれつき叶わないなーという気持ちが前に出てしまったよね。

みっぽ そうね。わたしの場合は元から学校が好きじゃなかったこともあって、そのまま辞めちゃったけど、その後もずっとファッションに関わる仕事してきてないし。

キキ ファッションを仕事にする自信を一回失ったよね。

みっぽ それもあるし、好きなもの、自分のアイデンティティであるファッションで挫折したり悩むことが怖くて働けなかったのもあるの。今までファッションで救われていた部分がなくなる怖さはかなり大きいかな。

キキ そのコンテンツの外にいれば、中の人と比べられずに済むっていう安心感みたいなものは確かにあるよね。私の場合はそれもあって、結局大学4年間のうちの3年間はSNS広告専門の代理店でインターン・アルバイトに没頭してた。ファッションは確かに好きだから学んでいるんだけど、好きっていう気持ちを武器にして仕事にする自信がないから、「私にはこれ(デジタル)がある」って思うようにしてた。

みっぽ キキは結局大学卒業後、新卒でデジタル系の広告代理店に就職したよね。

キキ その時期が一つ転機かな。服飾大の子たちとあまり会わなくなって、会社でもファッションに無縁な人たちに囲まれてみたら、結局自分は相当ファッションに情熱を持っている方だってことに気が付いた。笑

みっぽ そのあとすぐに転職をして、今はファッション業界でお仕事しているけど、ファッションが好きな気持ちだけでもやっていけるっていう自信を取り戻したっていうのとも違うんだよね?

キキ そうね。今の仕事って「ファッション×デジタル」をやっているんだけど。
結局ファッションだけだと自分のセンス、情熱でのしあがれる自信はなくて。そういう時に私は「ファッション」の部分を更に研ぐのではなく「デジタル」を掛け合わせるっていう手法を取ったって感じかな。

みっぽ キキの場合は、うまく自分の得意分野を組み合わせて戦ってて格好良いーって思う!

キキ 私たちって結局いつも、何かを選択して組み合わせる、付け加えることで自分の強みを生み出したり他の人と戦えるだけのアイデンティティにしたりしているんだよね。

みっぽ だから、その時に選択しているものが何なのかではなくて、自分オリジナルの選択っていうことにこだわるんだね。

キキ 人からは派手だ個性的だと言われがちな見た目だけれど、その見た目以上にそれを選んできたマインドを大事にしてるんだなって、このnoteを通して自分でも再認識した気持ち!

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