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ここ最近の「個性を尊重しよう」という風潮について〜平成から令和、次の時代へ〜

こんばんは。服飾大学で出会った「みっぽ」と「キキ」がサブカル的な態度でコンテンツについて対談形式で語る「サブカル女子って呼ばないで」です。

今回は、ちょっと前から巷で話題になっている、パンテーンの「この髪どうしてダメですか 」キャンペーンが、単なる企業の広告という枠を超えて一つのムーブメント、時代の空気感みたいなものを作り出している状態から、ここ最近の「個性を尊重しよう」という風潮について考えてみたいと思います。

目次
■この髪どうしてダメですか
■「個性」の捉え方
■「メイクは自己表現のためのツールだ」
■バイブス採用
■「個性重視」を就活生は本当に求めているか?
■「他人ウケ」も一つの個性

■この髪どうしてダメですか

キキ パンテーンが公開したこのキャンペーン動画、多くの高校で地毛が茶色い生徒に対して「地毛証明書」を提出させていたり、髪を茶色に染めることを禁止している一方で、地毛が茶色い生徒には黒染めを強要していたりする現状について疑問を呈したもので、Twitterとかでも拡散されて多くの声が集まっていたよね。

みっぽ 動画後半の、「先生の93%が、時代に合わせて校則も変わる必要があると感じている」っていう調査結果も結構インパクトがあったね。

キキ 「ルールだから」ではなくて「なぜそのルールは必要なのか?」を考えるべきっていう当たり前のことを提示してくれた感じがあって。

みっぽ そうね〜。だからこそTwitter上で議論が巻き起こったし、企業からの一方的な広告ではなくて、みんなで考える空気感を生み出したというか。

キキ 私がこの広告が時代の空気感みたいなものを形成しているなと感じたのは、別の企業が同時期に出していた広告に対するTwitter上の反応を見た時なんだよね。

みっぽ それもやっぱり髪とか化粧品関連とか?

キキ そう、整髪料の広告だった。「就活ヘア」を切り口にしてて、「好感度アップの為に髪型を綺麗にまとめよう!」みたいな訴求だったの。そのTwitter広告に対するリプライで「見た目で落とすような会社はこちらから願い下げ」「見た目が同じだと企業はどこを見ているの?」みたいな否定的なコメントが結構きてて。これ、数年前だったらここまで言われてないんじゃないかな〜なんて思った。

みっぽ なるほどね〜。確かに就活生のみんな同じ見た目に対してはここ数年話題にこそなっていたけど、今年は特に「この髪どうしてダメですか」 (これは対学生だけど)や伊勢半の「顔採用」とか、こういう話題が多いね。

キキ ね。一つの時代(平成)が終わるっていうタイミングで、なんとなくみんな無意識のうちに「今の価値観が、次の時代には古い価値観になる」って感じているのかも。

みっぽ 今までの考え方を捨てて、次の考え方にアップデートしていくのには、「時代が変わる」っていうのは一つマインドとして寄与しているかもね。

■「個性」の捉え方

キキ この髪どうしてダメですか、の動画の最後に出てきた「髪に関する校則をみんなで考えることで、ひとりひとりの個性を育てていけるように」っていう言葉も気になってる。

みっぽ この動画、「個性」とか「あなたらしい」っていう単語が後半に何回か出てくるよね。生徒さんのセリフや企業からのメッセージとして。ただ、ここでいう「個性」ってあくまでも「そのままのあなた(=黒だろうが茶色だろうが、地毛であること)」という範囲なんだよね。

キキ そうなんだよね。前に「ファッションの大学に入ったらファッションを仕事に出来なくなった話」という記事の中でも書いたんだけど、私たちみたいな「自分をカスタム(=ヘアカラー/ピアス/タトゥー/ネイルetc...)することで自分の個性を作っていく」人たちにとっての「個性」はここでは含まれていないんだよね。

みっぽ ただ、この「個性の尊重」やそれに対する「ルールの遵守」みたいな議論が巻き起こっている中で、「作り上げる個性」に対する風当たりも確実に変わってきているなとは思う。

キキ そうね。さっきも少し話題に出た伊勢半の顔採用なんかはその良い例だと思う。

■「メイクは自己表現のためのツールだ」

みっぽ 「メイクは自己表現のためのツールだ」って、これをハッキリと採用VTRで言ってくれるの、次の時代が来ている感じがしてグッとくるね。

キキ ね!あくまでもこれは一次面接で、この後にも説明会やら面接やらSPIやらはあるみたいだけど、それと並んで「メイクによる自己表現」が採用基準に入っているのが寧ろ良いなって。

みっぽ 一過性の話題作りのためのキャンペーンではなくて、今後も化粧品会社の採用方針として、面接による人となりの面や、SPIによる一般教養の面と並んで、メイクによる個性の面を掲げてくれたら格好良いね。

■バイブス採用

キキ 「校則だから」と黒髪を強要する古い価値観→「そのままの自分」を個性として受け入れる時代への変化→「表現する個性」を評価する流れ・・・と、一つの時代が終わるタイミングで新しい空気感が形成されてきているのをひしひしと感じるね。

みっぽ この勢いのまま実際に次の時代に突入していったときに、その先にあるのはなんなんだろうって考えていたんだけど、この前チラッと聞いたバイブス採用っていうのは一つ面白いなと思った。

キキ バイブス採用って、ネーミングのインパクト強いな。でもこれ、実は元々面接ってこういう側面あるものだよね。結局はどの面接官に当たるかによって合格不合格が変わってしまうこともあるわけで。それはたまたまその面接官とバイブスが合わなかっただけっていう。

みっぽ それをこの会社はバイブスが合うかを重要視することに振り切って、複数回の面談をして、複数の担当者がバイブス合うな〜と思ったら合格っていう。

キキ よく企業の採用条件とかに書いてある「人柄重視」みたいなのって、本来こういうことだよね。

みっぽ よくある企業の面接ってルールに縛られてて、それ故それぞれの性質を見えにくくしてしまっているわけじゃん。「人柄重視」と言いつつも「人柄が見えにくい環境を寧ろ作ってしまっている」というか。それをこうして「バイブス採用」みたいなネーミングで言い切ってくれると、新しい採用の仕方で会社にマッチする人材を確保できるよね。

■「個性重視」を就活生は本当に求めているか?

キキ 今までに比べて個性の尊重が叫ばれるようになっている中で、就活でも個性が尊重される風潮は徐々に生まれてきてるね。でも新しい時代になっても、これがスタンダードになるのには少し時間がかかるような気もするな。企業側も、就活生側も。

みっぽ 分かる・・・!就活生側でも、心のどこかで「個性が重視される風潮」が嫌だと思っている人、実はいそう。

キキ 数年前によくネット上で揶揄されていた「量産型女子」なんかもそうだと思うんだけど、ファッションで言うと「流行」、就活で言うと「就活ヘア」や「定番の面接の受け答え」みたいな「正解」が欲しい人って結構いるとは思うんだよね。

みっぽ 「正解/マニュアル」即ち「他人ウケ」というかね。

キキ ファッションでは大規模な流行が起こりにくくなったことで正解を失った女子たちが、他人ウケの代表格とも言える所謂「モテファッション」をこぞってするようになって、その様が「量産型女子」と揶揄されたんじゃないかと思っているんだけど、それと同じようなことは就活でも起こり得るよなぁって。。

■「他人ウケ」も一つの個性

みっぽ 個性が評価される空気感があまりにも色濃くなると、今度は正解や他人ウケを重視してきた人たちが寧ろ生きにくくなってきちゃうわけだ。他人ウケだって一つの個性なのに!

キキ でもでも!最近だと、「モテる為に生きてる」をキャッチコピーにしているゆうこすが絶大な支持を得ていたりとかして、もしかしたら「モテ」や「他人ウケ」も「個性」として捉えられる可能性も全然あるよなって思えてきている!

みっぽ それいいね!「個性的」なんて言葉があるけど、「個性がない人なんていない」っていう考え方になっていけばみんなもっとハッピーなんじゃないかな。。

キキ ね。「そのままの自分」でいることも、「カスタムした自分」で戦うことも、「他人ウケを意識した自分」の姿を武器にすることも、全部ひっくるめて「個性」と捉えられる空気を、令和ではみんなで作れるといいね。

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