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【実施報告】臨床家のためのゲーム障害における保護者支援

7月26日(日)にオンラインセミナー「臨床家のためのゲーム障害における保護者支援」が開催され、心理師の森山が講師として登壇しました。多くの方のご参加ありがとうございました。

このセミナーは子育てカウンセリング・リソースポートとのコラボレーション企画で、心理職に向けてゲーム障害とその保護者支援を学ぶ講座として開催したものです。今回は当日の模様についてお伝えしたいと思います。

開催概要
[日時]2020年7月26日 (日)午後1時~3時30分
[会場]Zoom
[参加資格]心理職として活動している方
[定員]50名
[受講料]3000円(税込)

セミナーの目的・当日の流れ

今回は、子どものゲーム障害に悩む保護者への支援について知識とスキルを学ぶことを主な目的としました。

「保護者支援」にスポットを当てた理由として、ゲーム障害に関する相談の多くは保護者から寄せられ、当事者である子どもは当初、依存という認識を持っておらず、相談に行くことに消極的であるケースが多いことが背景としてあります。また、保護者は悩みを抱えて孤独であり、心身ともに疲弊しています。そのため、まずは保護者に対する支援から始めていきます。

本セミナーは、ゲーム障害についての理解を深めながら、ゲーム障害における保護者支援のあり方を学び、実践に活かせるセミナーになるよう企画しました。また、「C R A F T」という保護者支援に効果が認められているアプローチについても触れ、演習や実習を交えて深く理解することを目指します。

当日は以下の流れで進行しました。

講義前半「ゲーム障害について」
  行動嗜癖について
  ゲーム障害とは
  アセスメント方法など
仮想事例についてグループワーク
  初回でどのように対応するか
講義後半「保護者支援について〜C R A F Tを中心に〜」
ロールプレイ
まとめ・質疑応答

セミナーの申込ページを公開してからわずか1週間で定員となり、チケットが完売しました。このテーマに関する関心、ニーズの高さを強く感じました。

講義前半〜グループワーク「事例検討」

まず前半の講義では、ゲーム障害の定義や診断基準、アセスメントについて解説を行いました。

グループワークでは、仮想事例をもとに、初回面接でどのように保護者に対応するか、今後どのように支援していくか、についてグループに分かれて話し合っていただきました。
グループ分けは、Zoomのブレイクアウトルームを使い、外部のチャットにグループで出た意見を書き込み共有するというスタイルで行いました。

講義後半〜グループワーク「ロールプレイ」

後半の講義では、当サービスで行っている保護者支援について、家族会や親子イベントの取組をご紹介しました。そして、カウンセリングにおける保護者支援として、「CRAFT」というアプローチについて解説を行いました。

CRAFTとは、「Community Reinforcement And Family Training」(コミュニティ強化法と家族トレーニング)。
飲酒問題や薬物問題に悩む家族のためのプログラムとしてアメリカで開発されました。アメリカでは、このプログラムを受けた家族の場合、70%前後が治療を開始したという研究結果が出ています。日本では、依存症だけでなく、ひきこもり者の家族支援にも用いられています。

CRAFTの中では、コミュニケーションスキルに関する項目があります。加須がポジティブなコミュニケーションスキルを学び、それを取り入れていくことで、自身の思いを本人に適切に伝えられ、家族の関係性も改善していくことが出来ます。
後半のグループワークでは、CRAFTのコミュニケーションスキルを用いて、保護者役、本人(子ども)役に分かれてロールプレイを行っていただきました。実際にスキルを使ってみて、話し手と聞き手はどのように感じたのかをシェアし、体験を通して理解を深めるという流れで進めました。

最後に

今回セミナーを通して、MIRA-iとしてもこれまでの実践を整理する機会となりました。また、企画いただいたリソースポートの先生方、参加いただいた心理職の先生方も一緒にゲーム障害について考え、お互いに理解を深める場になったのではと感じています。
今後とも、改善や工夫を重ねてより良いセミナーを企画していきたいと思います。

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