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世界の裏側

何も浮かんでこない。書きたいことを全部忘れてしまった。今はすべて忘却の彼方。ヴェールがかかっている。どうやって外したらいいの?空気の動かない感じ、それを重さと感じているようだ。

少しだけ雨の音がする。中庭の樹が目に映る。ベランダのローズマリーとナツメ。植物は動かない。表面的には動いていないように見える。見えない動きは内側にある。内側は活動している。自分の意識の内側に目を向ける。その動きを知るために。

もしかしたら面を付けたときの感じに似ているのかもしれない。自分の裏側にそろりと入って行く。表と裏。面と内側。動きながら二つの世界が刻々と切り替わっているのを見ている。

鳥の声がする。鳥の声に耳を澄ます。その旋律を、リズムを聴く。沈黙。感情の余白のようなもの。意識は集中しやがて拡散する。永遠に繰り返す呼吸のように。

今朝のわたしは、快活に動くのを良しとして動きの少ないものを「劣っている」と判断している。ゆっくり動くもの、鈍い感じのするものを幾分否定的な目で見ている。そうか、今朝の月は牡羊座にあったから、しかも満月だったから?韋駄天のごとく動く牡羊座の月の気分がそうさせていたのかもしれない。

また、鳥の声。

かつて鳥の声を聴き分けた女がいた。昔々の話だ。アメノサグメ。逆転した、裏の世界を読み解く女。もしかしてパラレルワールドを歩く技術があったのかもしれない。そんな気がする。

世界は一様ではないよ。今朝はここがスタートだ。

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