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【「社会のこと考えて行動する人を増やしたい」 大学生のときにできた夢の実現に向けて活動する湯田舞さん】未来ラボメンバーインタビュー②

「社会のコトを自分ゴトとして捉え、”知り・感じ・考える”機会を。」をビジョンとするNPO法人Social Salonで代表を務める湯田舞さん。

社会の中にあるさまざまな問題について、どうしたらいいのかをまず自分事としてとことん考える。そんな湯田さんのお話は聞けば聞くほど、もっといろんなことについて聞いてみたくなりました。今回はそんな湯田さんのお話をほんの一部ご紹介します。

※NPO法人SocialSalon HP 代表挨拶のページから引用

「社会問題を自分ごととして考える」ということ

ーーまず自己紹介ということで、今どんな仕事をしているか教えてください。

湯田:社会問題を自分事にするための対話の場づくりをするNPO法人Social Salonの代表をしています。毎月1つの社会問題をテーマに取り上げて、そのテーマにまつわるゲストの話を聞いた後、自分はどう感じるか、どんな社会にしたいか、といったことを参加者全員で語るという活動をしています。ただ、それだけでは食べていけないので、別のNPOの非常勤スタッフもしています。

ーーどういう経緯でその仕事をするに至ったのかをなるべく過去にさかのぼって教えてください。

湯田:大学は教育学部で教育心理を専攻していて、発達障害児の支援などの勉強をしていました。それはそれですごく楽しかったんですけど、もともとは国際関係とか行政とか、そういうマクロな視点のことがやりたかったので、すごくもやもやしてしまって。そこで、どうしても行きたかった途上国に行ってみようと思って、大学2年の夏にスタディツアー(※1)でカンボジアに行ってみました。

※1 主に途上国でNGOが活動する現場を視察したり、ボランティア活動などを行うツアーのこと。

カンボジアでは、現地の高校生がものすごい必死に勉強していました。英語も日本語も現地語のクメール語も完璧に話せて、医者になりたいとか弁護士になりたいとか夢を語っている子がたくさんいました。私は「なんでそんなにがんばって勉強するの」って聞いてしまったんですけど、その子たちに「ここでは勉強しないと仕事がない」って言われて、その言葉にめちゃくちゃ衝撃を受けたんです。

日本では勉強ってやらされてる感が強くて、大学受験のために丸暗記してるみたいな感じがするけど、これってなんでなんだろうと、日本における教育の意義についてすごく疑問を感じました。あと、カンボジアではポルポト政権によって知識層が虐殺されたことを受けて、若者がちゃんと学んで国をつくっていかないといけないっていう意識があるのに対して、日本の若者って別に私達が国をつくろうみたいな意識はない。カンボジアに行って、すごく考えさせられるものがありました。

それから日本に戻って、軽い気持ちで社会科の教員免許を取ることにしたんですが、その授業の先生が「社会科の教員の役目は、生徒に丸暗記させるのではなくて、社会のことを考えるためのツールを提供することなんだよ」って言うのを聞いて、あ、おもしろい!って思ったんです。さらに、「開発教育」というものにも出会って、世界でこんなことが起きてるとか、社会にはこんな構造があるとかを考えるような授業を日本で教員として展開していくってすごくおもしろいなと。そこで「世界のことを考えて行動する人を育てたい、増やしたい」っていう夢ができました。

ただ、社会科の先生になるにしても、自分が社会を知らなすぎると思ったので、新卒で商社に就職して5年間勤めました。社会人になって最初の2年ぐらいはひたすら仕事を覚えるのに必死でした。でも、私にはそのあとの目標があるのに何やってるんだろうと思って、今のNPOにつながる活動として、月に1回の対話の場づくりを始めたんです。

その活動を続けるうちに、そろそろ教育に関わることがしたいと思ったんですけど、海外に長期で行ったことがないっていうことが自分の中でずっとひっかかっていて。海外に長期で行くとしたらワーホリがよさそうだけど、30歳までの期限がもうきちゃうと思って、2017年2月に会社を辞めました。そして、私が海外に行ったら、月に1回開いている対話の場がつぶれてしまうので、仲間を集めて2017年7月にNPO法人化しました。

ーー「社会問題を自分ごとにする」という考えは大学時代に生まれたのでしょうか?

湯田:根本的なところとしては、自分自身が小4ぐらいから女子のグループになじめなかったということがあるように思います。中学・高校と女子高だったんですけど、いじめられるとかいじめるとか、わりといろんな立場を経験しました。そんな中で、いじめってどうやったらなくなるのかなとかいうことをずっとすごく考えていたんです。

そして、いじめてる人といじめられてる人だけだったら、たぶんいじめって成立しなくって、大多数の無言の同調みたいな、やったらいいじゃんみたいな無言の圧力みたいなものってすごくあることに気づいたんです。自分がいじめられたくないとか、目をそむけたくなるようなことっていっぱいあるんだけど、そこで、自分は何ができるんだろうって自分ごとにしていけることが大事なんじゃないかと考えるようになりました。

NPOとして次のフェーズへ

ーーNPO未来ラボに入ったきっかけや動機について教えてください。

湯田:大学生の頃からずっと「社会のこと考えて行動する人を増やしたい」って言っていたんですけど、地元の関西に帰ったときに周りに相談すると、大阪にDxPの今井さんて人がいるよって、今井さんの名前を何度も耳にして、ずっと気になっていました。

そして、NPOを勢いで立ち上げた後、そろそろ真剣に次のフェーズを考えていかなきゃなって思っていたときに、今井さんがオンラインサロン立ち上げたらしいという話を見て、あ、なんかこれはタイミングかもと思って勢いで入った感じです。

ーー実際に入ってみて、よかったこととか印象的だったことはありますか?

湯田:自分が立ち上げたNPOに関わってくれているスタッフは、私がやりたいことに共感して集まってくれているので、この団体、この活動をどうしていきたいのかということについては私自身が考えつづけていかなきゃいけない。でも、一人でもんもんと考えるのって孤独だったりして。

そんな中、NPO未来ラボには、NPOをどうしていくかということについていろんな情報や経験をもってる人たちが大勢いて、そのことがわかっただけでも、すごく安心感があると思いました。

ーー解決したい社会の課題や、その先につくりたい未来があれば教えてください。

湯田:教育の形は変わってかなきゃいけないんだろうなと思っています。例えば、よく若者の政治離れとか選挙に行かないことが問題と言われたりしてますよね。私自身、選挙で誰に入れたらいいのか正直すごい不安で、その選択に自信がないし、ニュースを見てもよくわからないことがいっぱいあってどうしようという不安がすごくあります。なんでそうなったかって考えたときに、学校で習ってないなと思ったんです。少なくとも大学に入るまでは、大学に行くための丸暗記さえやってればよかった。

でも、なんでそもそもこんな一方的な丸暗記の授業になっちゃったんだろうっていうところを考えて、新たな形を作り上げることが必要なんだろうと思います。そして、自分たちにとってはどんな未来がいいんだろうっていうのを自分たちで考えて、その未来をつくっていけたらいいなと思っています。

社会のことを考えるというのは少し難しいことのように感じてしまうかもしれません。でも、湯田さんのお話を聞いて、まずは人と対話してみることから始めてみる、それが「社会のことを考えて行動する」ことの第一歩になるのかもしれないと思いました。対話の場づくりから次にどんな展開をみせるのか、湯田さんの活動に今後も注目していきたいです。

文章:きだ あやな

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