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優先順位と劣後順位

■優先順位と劣後順位とは?
 仕事を進めていくうえで、「やるべきこと」と「やるべきでないこと」を決めるということはとても重要です。そのためには、優先順位と劣後順位というものを考える必要があります。優先順位というのは、何を優先して物事に取り組むかということを決めることです。逆に劣後順位というのは、やらないことを決めるということです。
■優先順位と劣後順位の比較
 優先順位と劣後順位は、似ているようで使い方や考え方が若干異なります。優先順位というのは、作業的、個別的に「やるべきこと」を決めていきます。他方、劣後順位というのは、方針的、包括的に「やらないこと」を決めていきます。
■劣後順位の大切さ
 また、優先順位よりも劣後順位(やらないことを決めること)の方が大切だという言葉を聞くことがあります。これは、劣後順位の方が優先順位よりもより、方針や戦略といった上位の概念に基づいて、決められるからです。劣後順位について、具体例で考えてきたいと思います。具体例については、個人のケースと組織のケースがあります。個人の例としては、飲み会に参加する、参加しないというような意思決定が劣後順位にあたります。ちなみに、今日は忙しいので飲み会には参加しないですとか、飲み会が続いているので今回は参加しないというのは優先順位の考え方です。劣後順位の考え方とは、飲み会には一切参加しないですとか、やむを得ない飲み会を除いては参加しないというように方針を決めることです。飲み会に参加しないことによって、空いた時間で自己研鑽のために使うとか、健康のために運動するというような戦略的な思考に基づいて、やらないことを決めるというのが劣後順位です。もちろん飲み会に参加することによる人間関係構築などがおろそかになると言ったことや、それによって自分自身にストレスが溜まるというような場合には、そのような方針を立てなければ良いのです。このように個人の生き方や好みによって大きな方針を決めていく、その方針に沿ってやらないことを決めるというのが劣後順位ということになります。
 このことは組織についても当てはまります。 例えば、会社の業務効率を高めたいというような狙いがあったとします。この時にシステム投資はしないと決めることも劣後順位にあたります。システム投資をしない理由というのは、1年後に会社全体のシステムの刷新が予定されていたり、あるいは該当する組織のM&Aが予定されていたりというようなことで、より全社的、且つ長期的な戦略に基づいています。システム投資をしないという方針に基づいて、具体的に会社の業務効率を高めるために必要な物事の優先順位が決められていくことになります。
 このように劣後順位というのは、方針的、戦略的であるために優先順位よりも高次で決められることが多いです。これが、劣後順位は優先順位よりも大切だという言葉に含まれる考え方だと思います。

■優先順位の決め方
 劣後順位が決まった後に、具体的な作業の優先順位を決めて行く段階になります。優先順位の決め方には、様々な考え方があります。最もシンプルな考え方というのは、期限に基づいて優先順位を決めるということです。つまり期限が差し迫っているタスクがあれば、そのタスクを優先して取り組むという考え方です。期限が迫っているかどうかというのは緊急度が高いかどうかという言葉に置き換えることが可能です。しかし緊急度だけを見ていると、重要なタスクというのが後回しにされる懸念があります。つまり緊急度は低いのですが、重要度が高い物事もあります。個人で考えると、将来のために勉強をするとか、重要な人間関係の構築のために時間を割くと言ったことです。こういったことが後回しにされてしまうと、個人の生活の豊かさというものが少なくなっていきます。ですから「7つの習慣」という書籍の中では、緊急度× 重要度のマトリクスを作って、自分の人生における優先事項というのを見直す必要があるというふうに言っています。
 また、 組織改革や組織のBPRの観点では、一つ一つの施策をどのように進めていくかということ決めるときに優先順位を考える必要が出てきます。この時に、効果が上がる施策から優先して取り組むというのが、一つの考え方となります。しかし組織における施策というのは難易度というものがあります。ですから、効果が上がるのはわかっているのですが、コストがかかるとか、時間がかかるとか、体制を整備しなくてはいけないということで、難易度が高い施策というものも存在します。このようなときには、効果×難易度のマトリクスを作って、優先順位を検討するということが必要になります。つまり、効果が大きくて、取り組みやすい施策から取り組んでいくというような考え方で優先順位をつけていくということが求められるのです。

 以上のように、 優先順位と劣後順位を比較すると、 劣後順位の方がより方針的、戦略的、包括的な場合が多いです。ですから、まず自分の人生において大切なことは何かということを考えて、それに基づいて、やらないことを決めるという劣後順位はとても大切なのです。これは個人だけではなくて組織においても同じです。そして劣後順位が決まれば、具体的に何をやるべきかという優先順位を決めていくことが必要になります。優先順位を決める時には、シンプルに期限が間近のものや、効果が上がるものに取り組むという考え方もあります。しかしそれでは、現実において優先順位を決められないケースというのもあります。その場合には、「緊急度×重要度」や「効果×難易度」といった マトリクスを作成して優先順位を決めていくということも必要になります。

(第19回 2021/7/27)

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