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FPが「社会保険料」について解説する①扶養の収入には失業手当も含まれる!

結婚されている方で、配偶者の健康保険の扶養に入っている人も多いかと思います。しかし、うっかりして大変なことになることがあるので、今回はその辺を書いてみました。

健康保険には大きく2種類に分かれる

皆さんが入っている健康保険には、大きく分けて、国民健康保険(国保)と健康保険I(健保)の2つに分かれています。

健康保険(健保)は主に会社勤めなど、国民健康保険(国保)は主に自営業や無職の方が加入しているものです。
いずれも、病院では3割負担が原則であるので、その点ではあまり変わりはありません。

国民健康保険(国保)には扶養という概念がない

ところが大きな違いがあって、その一つが「扶養」なのです。

配偶者の一方が会社勤めの場合には、その人の扶養になっている人は、保険料の負担がありません。健康保険(健保)の保険料は、その配偶者の給与の金額だけで決められているので、扶養されている人が何人いても関係ないのです。

ところが、国民健康保険(国保)には扶養という概念がないため、世帯全員の収入をベースに保険料が計算されてしまいます。

よく言われる「130万円の壁」というのは、健康保険(健保)の場合の話であって、国民健康保険(国保)の場合には、関係がないのです!
ここはよく注意してくださいね。

したがって、130万円以内で働いている場合、健康保険(健保)の保険料には影響しないが、国民健康保険(国保)の保険料には影響します。

130万円の壁を超えた場合は、遡って扶養が外される

健康保険(健保)の場合ですが、自分では130万円以内に働いていたつもりが、あとから、保険組合などから、扶養から外れていますので、保険組合が払った費用を全額払ってほしい、という恐ろしいことになることがあります。

多いのが通勤のための交通費です。
130万円の計算をする際に、給料だけではなく、通勤のための交通費も含まれることに注意してください。

また、扶養に入っている人に不動産収入がある場合には、税金の計算上は差し引かれる減価償却費などが、保険料の算定の際には差し引かれないことが多いです。ただ、加入している保険組合等によって若干の違いがありますので、詳細は各保険組合等に確認してください、

もちろん単純な計算違いや、一時金でもらったものが含まれる場合もありますので、当初の予定が狂うこともありますので、常にチェックが必要です。


失業手当も130万円の計算には含まれる

また、このコロナの影響が失職したので、一方の配偶者の扶養に入ったが、失業手当をもらっているという場合は要注意です。この失業手当も収入として計算されるからです。
ととえば、年の途中まで働いていたが120万円くらいしかならなかったので、一方の配偶者の扶養に入った。失業手当をもらったが、それが20万円あったという場合には、120+20=140万円となって、扶養の範囲を超えてしまいます。
この場合には、扶養の削除の届出をしなければなりません。

130万円超えてもそのままにした場合

この場合には、扶養から外れてしまいますので、1月1日に遡って扶養ではなかったこととされてしまいます。
そのため、たとえば、その間に病院にかかっていた場合は、3割を払っていましたので、残り7割は健保組合等が負担していたことになりますから、この7割分を全部、健保組合等に返さなければならなくなります。

一方で、日本は国民皆保険制度を採用していますので、無保険状態はとれず、1月1日に遡って国民健康保険(国保)に加入しなければなりません。
そのため、国民健康保険料を負担しなければならなくなってしまいます。では、健保組合等に返した7割分はどうなるかというと、国民健康保険には請求できないことが多いようです。

このように考えると、遡って扶養に外されることは、大きな負担が生じることがありますので、心配なときは、早めに配偶者の加入している健保組合等と相談したほうがよいでしょう。