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【日経新聞をより深く】習近平氏、異例の3期目確定 李克強氏・汪洋氏が退任~これから中国はどう行動するか~

1.習近平氏、異例の3期目確定

5年に1度の中国共産党大会が22日、閉幕した。党トップの習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)が党序列上位約200人の中央委員に選ばれ、異例の3期目を確実にした。習氏と距離があるとされる李克強(リー・クォーチャン)首相と汪洋(ワン・ヤン)全国政治協商会議主席は最高指導部から退く。習氏への権力集中がさらに進む。

共産党が大会閉幕後、中央委員の名簿を公表した。最高指導部の政治局常務委員7人のうち、李氏、栗戦書(リー・ジャンシュー)全国人民代表大会(全人代)常務委員会委員長(国会議長)、汪氏、韓正(ハン・ジョン)筆頭副首相の4人が中央委員から外れた。

習氏は党トップの総書記だけでなく、軍トップの中央軍事委員会主席や国家元首である国家主席も引き続き担うとみられる。

(出典:日経新聞2022年10月23日

習近平氏が党トップの3期目入りを決めたと報道されています。ここで気になる点を3点考えてみたいと思います。

2.胡錦涛前国家主席の途中退席

世界にこの映像が流れました。異様な光景と見えてしまいます。公の場で前国家主席が公式な発表もなく、促されて途中退席。

新華社通信のツイッターでは健康不安がツイートされていましたが、実際には公式発表はないようです。AP通信(https://onl.tw/w1HXYDW)では「微博(ウェイボー、Weibo)で「胡錦濤」と検索しても、22日午後の投稿は当局の厳しい検閲を受けているとみられ、最新の検索結果は21日以前のものや党の投稿しか表示されなかった。」と報道されています。

今回の党大会には、江沢民氏は欠席しています。習近平氏と反習近平の内紛があったのでしょうか。今後の胡錦涛氏の処遇には注目が集まりそうです。

ただ、李克強首相は退任となり、権力争いに敗れたことがはっきりとしました。習近平国家主席は権力を集中させることに成功したとみられます。

3.台湾進攻はあるのか

米海軍作戦部長「23年までに台湾有事も」 中国に懸念
米海軍のマイケル・ギルディ作戦部長は19日、中国による台湾侵攻が2023年までに起きる可能性を排除できないとの見方を示した。脅威に対して常に対処する態勢を整えていると強調するための発言だとみられるが、台湾侵攻に対する米国の根強い懸念を浮き彫りにした。

ギルディ氏は米シンクタンクのイベントで「この20年間を振り返ると、中国はやると言ったあらゆる目標を想定より早く達成した」と指摘。侵攻が起こる時期について「22年あるいは23年かもしれない。それは排除できない」と語った。

米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン前司令官は21年、「台湾有事」が27年までに起こる可能性を示していた。

ブリンケン米国務長官は17日、西部カリフォルニア州のイベントで「中国は以前に比べてかなり早い時間軸で(台湾との)再統一を目指すと決意した」と言及した。中国共産党の習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は16日、中台統一をめぐり「武力行使の放棄も決して約束しない」と断言した。

米ハドソン研究所のパトリック・クローニン氏は習氏が武力による台湾統一を決定したとは思わないと強調したうえで「(高官たちの)警告を真剣に受け止める必要がある。新しい情報を持っているようだ」とも話した。

米国防総省のライダー報道官は20日の記者会見で「国防総省の観点からすると中国は刻々と深刻化する挑戦だ」と重ねて指摘したが、ギルディ氏の発言へのコメントを控えた。米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は記者団に対し「(台湾情勢について)可能な限り監視する。情報分析については話さない」と説明した。

(出典:日経新聞2022年10月23日

日本にも大きな影響があるのが、中国による台湾進攻です。最も中国からすると、祖国統一ということで、「内政」であるということだとは思います。

米海軍の作戦部長の発言は根拠なくとも思えません。今回の党大会で、半ば公約として掲げてもいます。今回、習近平国家主席にさらなる権力の集中が起きているとすると、習近平氏の決断一つですぐにでも侵攻が起きるのかもしれません。

4.異例の主要経済指数発表の延期

中国政府は、10月18日に予定していた、7月から9月までのGDPの発表を延期しています。国の重要な経済指標の発表が延期されるのは極めて異例です。

この発表の延期はGDPだけなく、主要都市の住宅価格、貿易統計についても延期されています。党大会に際して、「悪い経済事情」を発表したくない意向が働いたとみる向きが広がっています。

習近平国家主席の考え方の中には「経済」よりも「統制」があるように感じます。景気の上昇を第一に考えた場合には、ゼロコロナ政策を徹底することは世界の潮流に逆行しており、経済にとってはマイナスです。しかし、その看板は下ろしそうもありません。

また、ハイテク企業への統制を強めていることも経済にはマイナス。また、不動産バブル抑制のための金融規制に端を発した住宅市場の低迷への政策も金利の引き下げを行っている程度で、有効な政策は他には出ていません。

権力を強めた習近平国家主席の方向性は「改革開放」ではなく、「統制」。中国経済の低迷、それも不動産バブル崩壊による巨額の不良債権を抱えた経済低迷が現実になる可能性が大です。

新しく誕生する中国の新指導部の人事がバランスやチェック機能が失われたとすると、今後ますます独裁への道を進むかもしれません。最も懸念されるのは、経済の低迷から国内の不満を逸らすために、台湾侵攻を早めることではないでしょうか。

香港も50年の一国二制度の約束を無視して、一国二制度は形骸化しました。次は台湾。これは、近いのかもしれません。

未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】

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