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【日経新聞をより深く】習近平氏に絶対的地位 7中全会、長期政権へ権威高める~中国への警戒~

1.習近平氏に絶対的地位 7中全会、長期政権へ権威高める

12日閉幕した中国共産党の重要会議、第19期中央委員会第7回全体会議(7中全会)は、コミュニケに習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)の絶対的な地位を確認する文言を盛り込んだ。習氏には長期政権をにらみ、自身の権威を高める狙いがあるようだが、建国の父・毛沢東が務めた最高位「党主席」の復活には触れなかった。

党序列200位以内の中央委員らが集まる7中全会は、16日に始まる党大会で異例の3期目入りを確実にしたい習氏が支持を取りつける重要な場だった。

7中全会の決定を盛り込んだコミュニケには習氏の権威付けを進めるキーワードが随所にちりばめられた。

(出典:日経新聞2022年10月14日
(出典:日経新聞2022年10月14日

習近平は異例の3期目、そして絶対的地位を手にする地保を固めたように報道されています。果たして、中国共産党大会で習近平の前例のない3期目へと突き進むのでしょうか。

ただ、仮に3期目に入り、絶対的な地位を手にしたことが、中国の繁栄に最善の道なのかは、別の問題です。

2.習近平体制の不安

表向きは習近平体制は絶対であり、盤石であるかのように見えます。しかし、その実態は本当にそうであるのかは疑問もあります。

まず、第一にジャック・マー氏が創業したアリババをはじめとするテック企業は厳しい監視の下にあります。習近平の掲げる共同富裕は一部の金持ちと大勢の貧困層を望みません。民間企業が発展し続けることを規制する動きです。反対すれば、共産党からにらまれます。フィナンシャルタイムズでは「レーダー」と表現されていました。それくらい監視が厳しいということです。これは、競争力をそぐことになります。

次に不動産バブルの崩壊です。中国はGDPの30%強を不動産セクターが占めます。その不動産セクターではバブル崩壊が起きています。現在、不動産セクターの暴走を防ごうとして、取った政策はまさに日本のバブル崩壊を思わせるものであり、崩壊寸前に来ています。

そして、実は、現在非常に大きな問題は、農民に対する通達です。中国は鄧小平の改革開放路線以降、「儲かる農業」にシフトしていました。それが、後の工業の発展の基礎となったのです。

しかし、今、それが主食である米や小麦などに振り替えるよう通達され、養殖場も放棄させられるなど、政策の変更が起きています。これは2018年に当時の米大統領のトランプ氏から課せられた関税への報復措置として、大豆や小麦の輸入に関税をかけたため、不足する可能性があるからです。

利益率の高い農産物でのビジネスは停止に追い込まれ、党の地方役人の指示で、主食である米や小麦に強制切り替えが行われています。

そして、ゼロコロナ政策は、人々の行動に制限を加え、人口減少の一因にもなっています。中国では出生数が減少しています。そのため、人口減少が今後顕著になってきます。中国がコロナに対する厳しい規制を敷くのは、まるで悪名高き一人っ子政策と同じだとも言われているようです。どちらも、強烈な人口抑制策になると。

このあたりのことは、フィナンシャルタイムズの特集で詳しく書かれているので、ぜひ、ご一読を。

そして、もう一つ気になるのは、「農民の不満」です。再び貧困に逆戻りしつつある農民の不満は中国においては非常に怖いことです。

歴代の中国王朝はすべからず、農民の反乱で倒れているのです。

3.中国への警戒

現在、習近平が主導する共同富裕は、中国の一部の金持ちを減らし、皆が豊かにという考え方です。これは、鄧小平が推進した先富論の正反対です。

しかし、実態は、現在も貧しい人たちはいるわけで、しかも農民に対する負担が非常に大きくなっています。

“On the surface, Xi and the central government have the final say on everything,” he adds. “But how can one leader control 1.4bn people? There is no way you can peek into what everyone is doing and thinking.”
「表面的には、習近平と中央政府がすべてにおいて最終的な決定権を持っている」と彼は付け加える。「しかし、一人の指導者が14億人もの人々をどうやってコントロールできるのだろうか?皆がやっていること、考えていることを覗き見できるわけがない。」

これは中国国内からの声です。

農民、市民は抑圧され、貧困に陥ってしまうと、共産党批判につながっていきます。それは、表向きは出てきにくい。共産党の監視があるからです。しかし、古来、中国では一度火のついた反乱は一気に火の手を広げていくのも歴史の事実です。

当然、共産党幹部がそのことを知らないわけがありません。

そのため、中国本土の問題から目を逸らすためにも、強い共産党を示すためにも、台湾を進行し、統一することに走るのではないでしょうか。

もしかすると、尖閣諸島が先かもしれません。これは、日本にとっても非常に大きな問題です。

つまり、習近平の前例のない三期目への突入は、台湾、および日本の有事の可能性を高めるものと言えるのです。

このまま習近平体制が続けば、中国経済は弱体化していくでしょう。代わりに軍事的、強権的な体制になると思われます。

日本としても、警戒を高めておく必要があります。そして、中国共産党の党大会は他国のことと、感心を持たないでいるわけにはいかない問題でもあります。

中国共産党大会は、日本人も注視しておくべきことです。

未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】


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