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野生の声 《めぐるしぜん》

満月の夜 
オオカミの遠吠えが響く
悲しいような 切ないような目で
ただ一心に 仲間を集める

探したって いないのだ
呼んだって こないのだ
それがわかっているはずなのに

満月の夜
うさぎの子供が月を見る
悲しいような 切ないような目で
いなくなった母さんが 月にいると信じながら

見つめたって いないのだ
見つめたって こないのだ
薄々感づいていたのに 

人間は このことに気づくであろうか
野生の声を 聞くことはできるのであろうか

月が 一心に話しかける
それが わかっているのかと
(「そらにうかんでいる」より)

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