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知っておきたい『二重価格表示のルール』基本編 #2

『二重価格表示』のルールについて正しく理解できていますか?

『二重価格表示』について消費者庁は、
「事業者が自己の販売価格に当該販売価格よりも高い他の価格(比較対照価格)を併記して表示するもの」と ガイドラインで定義しており、その表示内容が適切な場合は、事業者間の価格競争と一般消費者の適正な消費生活に資するものとして、手法自体はポジティブなものと考えられています。

マーケティング手法として二重価格表示は
有効なことは間違いないですが注意が必要です!
不適切な表示をしてしまうと、措置命令に至るおそれがあるのでご注意ください。

【二重価格表示】「過去の自己の販売価格以外」と比較する場合のルール(前編)

▶︎「過去の自己の販売価格以外」の価格ってなに?

『二重価格表示』の多くは、「過去の自己の販売価格」との比較によって、消費者に「ウチはイマ安い!」ということをアピールする方法で行われています。

しかし、『二重価格表示』には、他にも色々な価格と比較して「ウチはイマ安い」ということをアピールすることが多々があります。

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代表的なものとして、
(1) 「希望小売価格」との比較
(2) 「将来の自己の販売価格」との比較
(3) 「ライバル店の販売価格」との比較
(4)   その他との比較
がありますが、今回は(1)および(2)につき解説します。

(1)「希望小売価格」との比較

「希望小売価格」とは、メーカー等が自己の供給する商品を小売店の価格設定の参考として、商品カタログ等に記載している金額をいいます。

「希望小売価格」と比較して安い販売価格が表示されていると、消費者は販売価格が安いと考えるため、希望小売価格を比較対象としている場合が多く見受けられます。
( 「価格表示ガイドライン」第4,3)
下記ケースの場合、不当表示に該当するおそれがありますのでご注意ください!

CASE1 そもそもメーカー等が希望小売価格を設定していない場合

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過去、「メーカー希望価格38,000円の高級カシミヤ100%セーター、税込ズバリ1,998円均一」と記載して販売していたが、当該メーカーの希望小売価格が存在していなかったという事例で、販売業者に排除命令が出ています。
→ そもそも「メーカー希望価格」が存在しないので、当然不当表示です。

CASE2 プライベートブランドのメーカー希望小売価格

特定の小売店のみで販売しているプライベートブランドの商品のメーカー希望小売価格は、当該小売店の意向を忖度して設定した価格と考えられます。基本的には比較対象とすべきではありません。
→ メーカーが小売業者を忖度してもダメということは、製造・販売を行っている場合には、メーカー小売価格との比較は出来ないということになりますので、D2C事業者の皆さんは特にご注意ください。

(2)「将来の自己の販売価格」との比較
「将来の自己の販売価格」とは、文字通り将来予定されている販売価格をいいます。「将来の自己の販売価格」と比較した二重価格表示は、未だ現実となっていない価格との比較となります。将来の価格は販売業者において自由に設定できるため、不当表示となりやすい危険性があります
そのため、消費者庁も 「将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示に対する執行方針」を公表し、次のような事例につき警告しています。

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例)おせち商品につき、歳末販売価格(12月31日から翌1月3日まで30,000円)と比較して9月早期割引価格(15,000円)と表示すること

そろそろ、通販番組でおせち商品の紹介が始まる時期ですね。
歳末販売価格(「将来の販売価格」にあたります。)を今の販売価格(9月の早期割引価格)と比較して表示することには注意が必要です。
おせち料理は、通信販売で購入すると年末までに届き三が日で消費するのが一般的です。
12月31日~1月3日に通販で注文すると3が日を過ぎて手元に届きます。三が日ギリギリに通信販売で購入する消費者はごく少数にもかかわらず、比較対象を歳末販売価格にするのは、「見せかけの価格」と判断されます!

【Point】比較する将来の価格は販売が確実な合理的な金額に設定してください☆おせち商品を例にしましたが、シーズン物に共通したものとなります。

「メーカー希望小売価格」や「将来の自己の販売価格」との比較による『二重価格表示』も一般的によく目にします。
しかし、今回ご紹介したようにガイドラインでも細かく定められているため、「今の表示って大丈夫?」と思った方は野村までご連絡くださいm(_ _)m

次回は、
(3) 「ライバル店の販売価格」との比較
(4) (1)から(3)のその他との比較
を詳しく説明させていただきます!

【未来創造弁護士法人】 www.mirai-law.jp
弁護士 野村拓也(神奈川県弁護士会所属)

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