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”みらいん”を作った漫画たち

なんか呪いをかけられちゃったのと、この投稿を読んで、自分の思考回路も、漫画に影響されてる部分が大きいなと改めて感じたから徒然なるままに書いてみようと思う。こういうフットワークは軽い方がいい。たぶん。形式は先駆者に習って自分が触れた時系列順に。

1.宇宙兄弟

〈中学入るくらい(13歳とか)・2011年〉

作者:小山宙哉/掲載誌:週刊モーニング          (2008-連載中)既刊34巻

 漫画を買い漁るようになったキッカケの作品。主人公六太(ムッタ)が、一度は諦めた宇宙飛行士になる夢を叶えるため、そして、宇宙飛行士になった弟ヒビトと共に月に立つため、試験を受けたり訓練を受けたりする。当時日曜の朝やっていたべるぜバブが終わって、その後に放送されたのが宇宙兄弟のアニメだった。当時はまだ漫画を買う習慣はなかったけど、なんとなくどんなもんかと思ってなんとなく近所の古本市場で買ってみた(他の作品も立ち読みとかはしてたけど宇宙兄弟は新しく、人気のある作品だったから立ち読みできなくて仕方なく買った)。読む前は全く期待していなかったが、読んでみたらアホほど面白く、当時の最新刊までお年玉を全ツッパして買い揃えた。

 初期の六太は自分に自信がなく、なにかと弟と自分を比べて卑下していたが、もともと勤めていた車の会社でも自分のデザインした車が賞を取ってたり、バケモノみたいなスペックをしてたせいで頭に?を浮かべながら読んでた。でも、六太のトライアンドエラーを繰り返していいものを作っていく姿勢や、夢を追うことの苦労や、そこにある快感とかが当時の自分には新鮮で、当時まだ青年誌の作品を読んだことがなかったのもあってグングン引き込まれていった。グチャグチャ悩む前に手を動かそうっていうマインドに最初に出会ったのはこれが最初だったかもしれない。

2.史上最強の弟子ケンイチ

〈中2(14歳)2013か14年〉

作者:松江名俊/掲載誌:週刊少年サンデー
(2002-2014)全61巻

 今の自分の価値観を作った最大の要因。ストーリーはいじめられっ子のケンイチが、武道を習い、武の道を歩んで行く悪く言えばベタなもの。でも、王道をブレずに王道として高クオリティで描き続けるのは至難の技だと思うからそれをやりきったのは凄いと思う。(新連載55本とかいうワケノワカラン企画で松江名先生に自主的な打ち切りという選択をさせたことは未だに恨んではいる)

 当時は14歳ということもあり、周りには斜に構えたり、"正義"なんてものに意味はナイ。ちょっと道踏み外したアウトローこそ至高みたいな中2特有の空気が流れてた(具体的にはダンガンロンパとか球磨川禊とか)。そんな中で、説教臭くも、誰かを守るための力とか、誰もが見て見ぬ振りをしたくなるような悪に立ち向かえるようになるためとか馬鹿馬鹿しくも聞こえるくらい真っ直ぐな信念を持って突き進むケンイチの姿がたまらなくカッコよかった。正義は正しいから行わなければならないんじゃなく、愚直に正義を貫く姿がカッコいいから自分もこうなりたいと思わせられるものにはそうそう出会えるもんじゃないから、暇なら是非読んでみて欲しい。

3.疾風伝説特攻の拓・カメレオン・ジゴロ次五郎・今日から俺は
〈高1-大学1年生(2015-2017)〉

 たぶんヤンキー漫画は誰も読まないと思うから諸々の情報は割愛。いろんな人に勧めたけど読んでくれた試しがない。
 まず、大前提として、漫画の中のヤンキーと現実のチンピラは明確に別物。現実だと信念も美学もなく迷惑をかけまくる印象の強い(全員がそうではないと思うが)ヤンキーだけど、漫画の中のヤンキーには芯があって腐れ陰キャの俺でもカッコいいと思うし憧れる。というか、なまじ芯があったばかりに、建前だらけの世の中に馴染めず、それでも己や仲間を信じて世間に対して"ツッパっている"わけで、高校の時から何度かそういう作品を読んだけど、そりゃあこれが連載されてた当時の人たちはヤンキーになっちゃうだろうなと思う。だからといって迷惑行為が許されるわけはないけど。
 こうやって書いてみると、3部開始当初の空条承太郎の自己紹介とかまさにヤンキーって感じで時代を感じる。今マガジンで連載してる東京卍リベンジャーズは、その辺のスピリットを継承しつつみんな大好き現代に蔓延る巨悪に立ち向かうスリル要素もあってめっちゃ面白いから読んで欲しいし流行ってほしい。

4.進め!!聖学電脳研究部
〈高3(18歳)2016年〉 

作者:平野耕太
(1997-1998)全1巻

ヘルシングやドリフターズで有名な平野耕太先生のギャグ漫画。ヘルシングやドリフターズを読んでる人は結構いるけど以下略とか聖学を読んでる人には出会ったことがない。もし読んでる人がいたら声かけてほしい。全編にわたってヘルシングの巻末おまけ漫画みたいなハチャメチャな展開と硬派こじらせためんどくさいオタクの生態が描かれている。この漫画を読んで感動したのが以下のシーン。

「ゲームで感動した時。「civi2」〜詳細は長いので略〜ええと3番目の質問だけど思うコトなんか何もねー。ただゼルダは2兆億万点。ああ、あとあんたらは本当の糞人間だ。」
「お前もな。」

前後の文脈もないし何が言いたいシーンなのかもわからないと思うけど、このシーンには俺の思うオタクの楽しさみたいなものが凝縮されている。自分にとってはたまらないけど、たぶん社会的には絶対に認められないであろうちょっと卑屈になった偏執の文脈が、お互いに合致した瞬間のなんとも言えない極上の肯定感と快楽。それとはそうとしてその相手は人としてクズだとも思う感覚(何が言いたいのか自分でもよくわからない)を味わったことはないだろうか?俺はある。だからこそ、このシーンを読んだ時、その快楽を得ていたのは俺だけじゃなかったんだ!とこれまた肯定感を得て、いたく感動した。なんなら言ってもらえれば貸すから誰か読んでくれないかな。

5.WATCHMEN(ウォッチメン)
〈大学一年生(2017年)〉

作者:アラン・ムーア

紛うことなき名作。この作品に込められたもののレイヤーが多すぎて、今俺の持っている視点では到底全てを読み解くことはできないだろうと思わされた作品。でも、それと同時に今持っている視点で読み取れた部分だけでも名作だと断言できる圧倒的なクオリティを持っている。19世紀末を舞台に、もしヒーローが実在したらというシミュレーション的な世界観。ヒーローによる自警行為が法で禁止された世界でヒーロー活動を続ける男ロールシャッハが、昔チームの仲間だったコメディアンというヒーローが不可解な死を遂げたことをきっかけに、巨大な陰謀に挑んでいくストーリー。

この作品で特に好きなのが以下の二つの要素。
一つ目が、ロールシャッハというキャラクターのヒーローとしてのあり方。

「人の心に潜む悪の可能性を知り、腐りきった世界のハラワタを見て……それでも進み続けた。」
「目を背けずにまっすぐ立ち向かった」
「誰の指図で動くかなんて些細なことだ」
「俺たちはただ必要なことをやる。法律なんて関係ない」
「やるしかないんだ」

絶対にブレず、己の中の正義を実行し続けた行動者であるロールシャッハの発言や考え方は、ある種子供っぽい割り切れる正義の中で生きてきた俺の人生の中で異質なもので、考え続けていかなければいけないと感じた。

二つ目が、スケールの違う正義の対比構造が明確に描かれたということ。作中には、ロールシャッハの超個人的なミクロの正義に対して、より大きなスケールに基づいたマクロの正義が登場する。その正義を認識した瞬間胸をグーでドつかれたような衝撃を受けたし、これもまた自分の中に新しい視点を授けてくれた。最近はアベンジャーズでもサノスとかキルモンガーとかのヴィランがマクロの正義を持ってたりして、そっちも面白くて楽しい。

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以上4作品と1ジャンルでした。他にも影響を受けたり思い入れが強いのは
・からくりサーカス/うしおととら/月光条例/黒博物館シリーズ(藤田和日郎)
・GS美神極楽大作戦/絶対可憐チルドレン(椎名高志)
・BLEACH(久保帯人)
・NARUTO(岸本斉史)
・ヒストリエ(岩明均)
・VINLAND SAGA(幸村誠)
・キン肉マン(ゆでたまご)
・ケロロ軍曹(吉崎観音)
・もやしもん/純潔のマリア(石川雅之)
・我妻さんは俺のヨメ(蔵石ユウ)
・嘘食い(迫稔雄)
・ベルセルク(三浦建太郎)
・覚悟のススメ/シグルイ(山口貴由)
・ランウェイで笑って(藤戸千雪)
・どうぶつの国(雷句誠)
・げんしけん(木尾士目)
・ZETMAN(桂正和)
・ハチワンダイバー(柴田ヨクサル)
です。
 普段は映画とか漫画とかの感想を自分なりに言語化してツイートしたりしてるけど、140字っていう制限は結構キツイしこういった場もイイなぁと書いてて思った。ここまでどこに需要があるかもわからないクソ長自分語りをしてみて、自分も大学の1サークルという小さい場ではあるけど、メディアに携わる人間として、自分の内に流れてるドロドロしたものを上手いこと人に届けられるように偏向する術を速く身につけないといけないと再認識した。ただ、これを読めば俺がどんな人間でどんな回路を持っているかはわかるように書いたので、そんな人間だと思ってください。

 もしこんなところまで読んでくれているほどこの人間に興味を持ってくれているならそんなに光栄なことはないです。
読んでくれてありがとうございました。

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宇宙兄弟
史上最強の弟子ケンイチ
疾風伝説特攻の拓
カメレオン
ジゴロ次五郎
今日から俺は
進め!!聖学電脳研究部
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