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AIDMAモデルを活用した繁盛するオンラインショップの作り方


ホームページで売上を伸ばすための効果的な表現方法とは?


第1章 ECサイトにおける基本的なマーケティング理論

■ショップサイトデザインに「目立つ」ことは不要
■ECビジネスで一番重要なのは商品と店の信用
■AIDMA理論を応用してサイトを構築しよう

ECサイトのマーケティングモデルは八百屋さんと同じ

ECサイトなどというと、なにか特別なものと思い身構えてしまう人がいるかもしれない。しか し最初はそう難しく考える必要はないだろう。なぜなら、ECサイトといっても商売のしくみで いえば、従来のお店と本質的にはなにも変わらないからだ。

たとえば、近所にある八百屋さんの場合をみてみよう。そこでの業務を大雑把に分析すると基 本的に、「集客」「販売」「フォローマーケティング」の三つの部分からなることがわかる (図1)。このうち、中心となるのはいうまでもなく販売の段階である。これは客として接す る私たちにもおなじみの段階だ。

しかし、当然ながらモノを売るためには、その前提としてお客さまに来店してもらわなければ ならない。これが集客段階になる。さらに新規のお客さまだけを相手にするのでない限り、一 度買ってくれたお客さまをリピーターへと育てることも必要だろう。これがフォローマーケテ ィングの段階となる。具体的には、商品を渡す際、「奥さん、今回はおまけしときましたよ」 と耳もとでささやくことなどもこれに相当する。

以上は、八百屋を例にとった一般的な商店のケースだが、ECサイトも基本的にはこれと同じで ある。すなわち、ECサイトの場合、売り場が現実の「店鋪」からネット上の「ウエブサイト」 に変わっただけで、商売の基本的なしくみという部分ではなにも変わっていないのである。


似ているようで異なる店鋪デザインとウエブデザイン

ところで、ウエブサイトが基本的に店舗と同じものであるとすれば、その制作にあたって必要 とされるのは、一般にイメージされているようなカタログ制作のノウハウではなく、むしろ店 舗設計のノウハウではないかと考えることもできる。理論的にいえば、それはかなり的を射た 考え方である。だが、ここで指摘しておかなければならないのは、それでも両者の間にはいく つかの点で重要な違いがあることである。なかでも最大の違いは、一般の店舗の場合、「集 客」をその目的のひとつとして設計されている、という点である。

このことは、店舗設計において、なによりもまず目立つこと—それによって遠くからでも視認 しやすく、かつ他店との差別化をはかり最終的に来店を促す—がその大きなデザイン要素とな っていることからも理解できるであろう。 いっぽう、ウエブサイトの場合、そのような目立つ ための–つまり集客のための—デザインは不要である。というのも当たり前で、いくらウエブ サイトのデザインが目立つようにつくってあったとしても、誰も事前にそのデザインを見るこ とはできないからだ。

ここからわかることは、あるサイトをはじめて訪れる際、そのデザインに魅かれたからという のはありえないということである。そしてじつは、この「サイトには集客のためにデザインは 不要」という部分が一般の店舗とウエブサイトにおけるデザイン上の最大の違いなのである。

AIDMA理論からみたECサイトでの購買プロセス

このあたりを整理するため、ここで別の視点からECサイトをながめてみよう。それ は、AIDMA理論による視点である。マーケティングにおける購買プロセス分析に関してはいく つかのモデルがあるが、なかでも有名なのがAIDMA理論である。 AIDMA理論によれば、消費 者はまず広告情報や店頭陳列などによって商品を認知し(Attension)、興味を抱き (Interest)、ついで欲しいという欲求が喚起され(Desire)、さらにそれを記憶し (Memory)、最終的に購入に踏み切る(Action)とされている。

しかし、それがはたしてECサイトにもそのままあてはまるものだろうか。ここでECサイトに おける購買行動プロセスをこのAIDMAに沿ってあとづけてみよう。 まず最初にお客さまが接 触するのは、検索エンジンや各種広告(ここにはテレビや新聞、雑誌広告、さらにはメールマ ガジンの広告やバナー広告などがふくまれる)、また他のサイトに張られたリンクなどであ る。

こうした「告知情報」はその時点でECサイトに対する注意を引き、アクセスしてみよう、とい う興味をひきおこす。これはAIDMAでいえば、最初のAttensionとInterestの2段階に相当する。 ここでもしお客さまの注意を引き、興味をもたせることができたら、とりあえず前半部分は成 功だ。あとはアドレスを入力するなり、リンク部分をクリックするなりして自分でアクセスし てくるだろう。

いったんアクセスしてきたお客さまがつぎにとる行動はいったい何だろうか。それはおそらく トップページをざっとながめながら、そこに欲しい商品があるかどうかを探しだすことであろ う。そしてもしそこに欲しい商品があった場合、お客さまは商品説明文をじっくり読んで購入 を検討するはずだ。これがDesireの段階である。 ところでAIDMA理論によれば、つぎ にMemoryという段階がくるのだが、ECサイトの場合、これはそう重要ではない。そのかわり ここでは、確信(Conviction)という段階をもってこよう。というのは、最近の消費者は一般 に商品がいかにいいものであると「理解」としたとしても、それが本当にいいものであるとい う「確信」がえられなければなかなか購入にふみきらない、といわれるからだ。

またこの確信は、とりわけECサイトにおいてはきわめて重要な要素となる。それは、ECサイ トというものが、まだそれほど大きな信用を勝ち得ていないがためである。 注文したのに、商 品が届かない—。偽物をつかまされた—。実際こういった苦情が絶えないECサイトの世界にお いては、なによりもまず信用のあるなしが重要になってくる。しかし、これを裏返していえ ば、信用をいかにアピールするかがECサイトにおける成功のひとつのポイント、ということが できるだろう。

ウエブサイトに必要なのは販売を目的とした3要素

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