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イチゴ苗 種子繁殖型!

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。今日は新しいタイプのイチゴの話です。
今、世間に出回っているイチゴのほとんどは、ランナーといわれるツルの先にできる子苗を増やして増殖します。子苗は親株と同じ遺伝子構成ですから、増やした子苗は全て同じ遺伝子構成になっているので、均一な株を容易に得られるます。これは非常にメリットなのですが、もしも親株が病害虫やウィルスに感染していると、それが子苗にも伝染してしまうというのでデメリットにもなります。今までのほとんどのイチゴ農家はこのランナーを伸ばして子苗を作るのがメインです。

種子繁殖型のイチゴは、これまでの株の増やし方とは異なる新しい品種として2019年に「よつぼし」が登場しました。種子繁殖型品種では、これまでの主な品種に比べ増殖効率は抜群に高く、しかも、種子を経由して伝染する病害虫やウィルスはほとんどないため、病害虫のいない優良種苗を効率よく得ることができます。この2つの利点のため、イチゴの栽培に大きな変革が生まれています。
「よつぼし」の誕生により、種子繁殖型品種の利用面でのメリットがクローズアップされ、徐々に広がっていくことが予想されます。

〇栽培体系が変わる

これまでの栄養繁殖型品種では、前年に親株を準備しておき、それを春に定植(親株定植)し、春から夏にかけて発生するランナーで子苗を増やします。夏を越して秋に向かう短日低温条件で花芽を形成し、9月に定植(本圃定植)し、11月中旬~12月に収穫が始まります。これが、今までの一般的なイチゴ促成栽培です。

これに対して、種子繁殖型品種では、苗屋さんから5月に播種した小さな苗(セル苗)で購入することになります。

これを直接 本圃に定植することが可能で、従来の栽培では親株から小苗をつくり、その子苗を定植していたことから考えると非常に労力を削減することができます。
ただし苗が小さいうちに直接 本圃に定植するので、窒素吸収が盛んになり花芽形成が遅れがちになる恐れもあり、花芽管理がポイントになります。

この方法では、育苗は必要なくなり、育苗労力がゼロになるだけでなく、育苗施設の投資経費を省いてしまうことも可能になります。(←これ、経営的にはインパクトがありますよね!)

繰り返しになりますが、従来の栽培では、今シーズンのイチゴの収穫している最中である4月~5月に、次シーズンのための子苗の育苗を開始する必要があったため、本圃とは別に育苗するための場所と設備が必要だったのですが、これが必要なくなりすべて本圃として使えるので、本圃自体が広くなり、定植できる株数も増えますので収穫も増やすことができますし、投資額を減らすこともできますし、育苗の労力を減らすことができる、、ということです。

メリット
 ・育苗設備が不要(初期投資削減)
 ・育苗のための労力が不要になる(労力削減)
 ・本圃面積を広げることができる(収量アップ)

このように考えると、非常にメリットが大きいので、今後はこの「種子繁殖型品種」のイチゴ栽培をする農家が増えていくと思われます。種子繁殖型品種をどんどん開発してほしいですね!


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TEL 080-3396-5399
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