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ミニトマト農園の 損益計算書 事例 (農業)

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。農業経営コンサルティングの仕事をしていると「農業って儲かるの?」とか「農業って利益が出ないんじゃない?」とかよく質問されます。答えはそれほど簡単ではないです。
そもそも どれぐらい農作物で売り上げれば、どれぐらい農作物を販売して利益を稼ぐ出せば「儲かっている」といえるのかは、その農業者がどのレベルを目指しているのかによってイメージが異なるからです。
特に施設栽培は、土地の単位当たりの収穫量が多い代わりに設備投資も大きくなるので要注意です。

そこで一例として環境制御システムがガッツリ入った本確定な施設栽培の損益もでるについて見てみたいと思います。

5,000㎡の環境制御型のミニトマト農園の損益計算書の一例が下記になります。

作型は8月下旬に定植して翌年の7月初旬まで引っ張る長期多段型の作型です。設備としては3m軒高のAPハウスで暖房機、カーテン、谷・側換気、CO2装置、細霧冷房、自動潅水、環境制御システムなどがしっかりと導入されているミニトマトハウスです。おおよそ24~26段まで栽培しており、反当り株数は約2,500株です。

5,000㎡で売上高 61,830,000円なので、反当り1000万円を超えているのでkなり、収量、販売単価ともに頑張っている農園ですね。スーパーマーケットへの直接出荷のほか、地域の直売所、自園の直売所でトマトを販売しています。

ではコスト構造の方を見てみます。

(上記の損益計算書では企業経営の会計をしていますので、労務費などは適正に加味されています。)

コストの大きいものから見ていくと、「減価償却費」「労務費」「燃料費」が圧倒的に大きくなっています。この農園は「運送費」は低くなっていますが、施設園芸農家のコスト項目では一般的に4大コストとして「減価償却費」「労務費」「燃料費」「運送費」があげられます。

「減価償却費」はハウスや環境制御関係の内部設備、作業場などの設備など初期投資の金額の期間配分なので一度投資をしてしまうと削減することはできません。ですから初期投資はしっかりと考えて投資をするようにしないとその後の経営を圧迫する要因となります。この農園の損益計算書でも減価償却費は売上高の30%にもなっており、経営上、「重たい」コストですね。

一方、「労務費」「燃料費」「運送費」は削減可能なコストになります。
農園の立地環境や作型モデル、ビジネスモデルにもよりますが、しっかりと考えて農園経営を筋肉質なものにしていきましょう。

施設栽培ではなかなか「燃料代」は削減できません。暖房費(燃料代)を削るとそれに応じで収量に影響が出てしまいます。しかし、冬場はハウスの隙間を徹底的に塞ぐ、燃費の良い暖房機に交換するなど対策を考えていかなければなりません。

次に「労務費」ですが、やはり労働生産性を上げていくことが重要です。他の記事にも書いてきましたが、5S活動などを徹底し作業の無駄を省くことが必要です。上記の損益計算書でも労務費は25%とかなり重いものになっています。

農業経営は厳しい環境ですが、しっかりと経営の数字と向き合い、いかに筋肉質な体質を作り上げるかが大事です。


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