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ミミズを知る! (農業)

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。昔から畑の神様とか言われるミミズ。確かにミミズがたくさんいる畑は土がフカフカしていますし、見るからに肥えた土であることがわかります。そこで今日はミミズの話。

よく見てみるとミミズにもたくさんの種類があります。ミミズの種類はなんと日本には 500種以上もの ミミズが存在しているようです。
ミミズにはもともと足がなかったのではなくミミズの祖先はヤスデを巨大化したようなたくさんの足を持つゴカイの仲間でした。

海の中で暮らしていたミミズの祖先が陸に上がったのは4億年前のこととされています。アフリカ大陸・南米大陸・ユーラシア大陸・オーストラリア大陸に共通して存在する種がいます。一方、小笠原諸島のような 海洋島にはもともとミミズがおらず、落ち葉などを分解するというミミズの役割はカタツムリが果たしてきました。現在、小笠原に生息する ミミズは 人間の靴裏にくっついてやってきた外来種だと考えられています。


<ミミズが土を耕す>
土の中で暮らす土壌動物には足の数が多いものがたくさんいます。デコボコした土の中を素早く移動するための進化です。ミミズは足を持ちませんが、実は体の表面には炭酸カルシウムからできた 固く短い「剛毛」が生えており これを土に引っ掛けながら移動しています。見た目にはヌルヌルしているイメージですが剛毛が生えているのです。ミミズは祖先の有した目と足を失う 代わりに 口先の感覚と微細な視覚を研ぎ澄まし、落ち葉や腐葉土 などの餌を探しています。ただし 消化・吸収の効率は悪く、食べた有機物のうちわずか数パーセントしか吸収しません。そこで有機物を含んでいる土をやみくもに大量に食べる作戦をとりました。
その結果、排出する分も大量になり、これが土を耕す働きを果たし、畑で歓迎されることになったのです。


しかし 全ての土にミミズがたくさんいるわけではありません。ニュージーランドはかつて海底に沈んだことがあるためミミズがあまりいない島でした。 そこで外来種のタフなミミズを導入するとミミズが作った通路や巣穴やフンによって土の透水性や 通気性が改善し、草原の生産性が高まって羊毛の大産地となりました。

こういった話を聞くとミミズをプランターにいれて土をカイゼンしようとする人が必ずいますがそうはうまくいきません。ミミズと土壌環境の相性が悪ければミミズは土から這い出てしまいます。
ミミズはその地域の生態系の中の微妙なバランスの上で生かされているようです。

ミミズは 周囲の土に暮らす微生物を腸内に取り込み、落ち葉や腐食の消化を これら腸内細菌に手伝ってもらいます。そして温度や水分の変化の少ない場所に住み、地域の土の酸性度や 栄養状態に順応して生きています。
ミミズは土という地域社会に根ざして生きているのです。
ですから畑をミミズのいる良い畑にするためにはミミズを投入するのではなく、ミミズが定着しやすい環境を作ってあげることです。そうすることでミミズは自然と寄ってきます。
野菜の残渣や抜き取った雑草はミミズの餌になるので畝上や通路にマルチとして敷いてあげましょう。剛毛を作るのに必要なカルシウムが不足しないよう石灰資材の施用も大切です。ミミズは畑のヒーロー。 想像以上にデリケートな生き物ですが息の長い付き合いをしていきたいものです。


【問い合わせ】
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