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23. 【塗装シリーズ】水

はじめに

こんにちは!ミライノラボ学生研究員の鈴木です。
20世紀が「石油の世紀」であるならば、21世紀は「水の世紀」であると言われるほど、現在重要なトピックである水。
今回はそんな「」をテーマに塗装を考えていきます。

世界と水、そして日本と水

まずは水の現状について見ていきましょう。
SDGsの17の目標の一つにも「6安全な水とトイレを世界中に」とあるように、水問題は世界全体において普遍的な問題であることが分かります。

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ここでいう「安全な水」とは、水道のパイプで管理させれている水のことを指しますが、世界人口の約3分の1、 約22億人が安全な飲み水を手に入れることが出来ません。さらに、安全なトイレを使用できない人は約42億人にも上ります。

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さらに、水の使われる場面は生活だけではありません。世界全体としての水の使用方法は、約70%が農業用水、20%が工業用水、10%が生活用水です。

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つまり、水を失うことは、生活の困窮とともに職を失うことにも繋がりかねないのです。

つづいて日本における水問題を見ていきましょう。
水が豊富な日本。水資源大国ともいわれるほどで、水に関する問題とは程遠い所に位置しているという印象 を受けます。しかし、実情は少し違うようです。
バーチャルウォーターというキーワードを聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?日本は世界中か ら食料を輸入していますが、その食料を生産するのには多くの水を必要とします。つまり、食糧を輸入すること で、水も間接的に輸入していることになるのです。この間接的に輸入している水をバーチャルウォーターと呼びますが、水資源が豊富であるにもかかわらず、水不足かもしれない他国から水を搾取しているという問題が生じています。

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さらに、私たちにはその水がどのように管理されているかまでは見えません。生産に水が使用されることによる生活水の減少や、水質浄化をせず水質汚染を招いている可能性もあります。また、水不足から地域の対立が発生することもありえます。私たちは日本国内においてだけでなく、輸入先の水問題に関しても責任を持つ必要があるのではないでしょうか。

SDGsから見る塗装業界がすべきこと

塗装が水問題に対してアプローチできることを、SDGsを基に考えていきたいと思います。
SDGsには17の目標と共に、各目標それぞれのターゲットが設定されています。
「6安全な水とトイレを世界中に」におけるターゲットは以下の通りです。

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このうち、6.3の水質改善に関しては、塗装を行う際に排水される廃液の浄化や浄化後の水を再び業務の中で用いるといった取り組みができるのではないでしょうか。廃液には塗料の成分が含まれるため産業処理廃棄物として処理しなければなりません。その際、水分を蒸発させるなどの過程を踏むために、液体としての水は消費してしまうことになります。そのため、この水をリサイクルできれば、水消費を抑えることができ、水不足への対策となります。また、その浄化技術を海外に輸出すれば、6.5の国境を越えた適切な協力や6.aにもつながります。

さらに、塗装材料を輸入する際にもバーチャルウォーターはあるはずです。例えば、塗料の成分である、ヤシ油といった油脂やその他多くの金属の生産・採掘にも水は使用されていると思います。前述のとおり、こういった塗料の原料の輸入先における水問題にも積極的に関わっていくことがSDGs達成につながると考えられます。

終わりに

ここまでお読みいただきありがとうございました!
目に見える水問題の解決も重要です。しかし、目に見えないけれども関わりのある、そんな水問題を発見し解決に向けて支援をしていく。これが水大国である日本としての水問題に対する新しい関わり方なのではないでしょうか。

参考
[1] unicef. Progress on household drinking water, sanitation and hygiene, 2000-2007 https://data.unicef.org/resources/progress-drinking-water-sanitation-hygiene-2019/
[2] 大和総研 水の使われ方
https://data.unicef.org/resources/progress-drinking-water-sanitation-hygiene-2019/
[3] water foodprint network
waterfootprint.org

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