参政権の侵害に相当しうる沖縄5市の振舞いに対する非難

投票に行く権利を求めたハンガーストライキを現代の日本でまのあたりにする日が来ることを誰が予想できただろう。これを憂慮するとともに、一部の人たちから投票に行く権利を奪うことを画策し、このような事態をもたらした沖縄県内の5市長を含む政治家らへの非難を表明する。

沖縄県では2月24日に県民投票の実施が予定されているが、市長が不参加を表明した沖縄5市(宜野湾市、宮古島市、石垣市、沖縄市、うるま市)で投開票の実施が危ぶまれる状況となっている。

しかしながら、県民投票はそもそも県議会において、県内で選出された議員たちが反対派や少数派も含めた審議を行ったうえで可決されている。これは言うまでもなく県内すべての有権者を対象とするものであり、5市が行おうとしていることを正確に言葉にするとしたら、それは「投票に参加しない」ということではなく、「市内にいる県民から投票する機会を奪う」行為と表現すべきだろう。それは「参加しないという選択肢」ではなく、「市内のすべての有権者を強制的に参加させない」ということにほかならない。

5市は、市議会が補正予算案を否決したことや、投開票にあたる作業などの投票事務が市町村によって実施されるものとされていることなどをもとに県民投票を拒絶しようとしている。しかし、たかだか予算や作業によって、それも災害などで実施が困難になるというようなやむを得ない状況ではない今回のような場合において、有権者である人間から票を奪う行いをするのは参政権の侵害に相当しうる重大な問題と言わざるを得ない。

また、県民であるのにもかかわらず、住んでいる市によって投票することができないというのは法の下に不平等を作り出してしまう。市議会の議決が重いと言う市長には、日本の最高法規と市議会の議決とのどちらが重いのかを考えていただきたい。

また一つ大きな問題だが、1月14日、うるま市の島袋俊夫市長は会見において、県議会で自公が主張していた4択案の提案を改めて行った。しかし自公が提出した4択案は10月26日の沖縄県議会の本会議で否決されたものであり、投票する権利をちらつかせてその採用を迫るというのは恥を知らない行為と言わざるを得ない。

自公が提出した4択案は、「賛成」「やむを得ない」「どちらとも言えない」「反対」を選択肢としている。これは否定する選択肢が「反対」1つなのに対して、肯定する選択肢が「賛成」と「やむを得ない」の2つあり、その合計をもって肯定とされる非常に不平等なもので、世論調査の専門家からも批判が相次いだものだ。選択肢を「賛成」「反対」とする現行の2択案はこのとき、社民・社大・結連合、おきなわ、共産党による賛成多数で可決するに至っている。

もう一度くりかえすが、補正予算や投票事務の実施をもって、政治の側が有権者から投票の機会を奪うようなことが起こってはならない。総務省は過去にこうしたことについて、「県民投票実施のための条例が制定された場合、市町村は知事から委任された事務を『処理する義務を負うと解釈されている』と回答した」と報じられている(2018年6月1日の沖縄タイムス)。この判断を破ることがまかり通るならば、今後どのようにして解釈の整合性を保つつもりなのだろうか。これを前例として今後、特定の市町村が国政選挙や国民投票への参加を拒否したら日本の民主主義はどうなるのか。

今回の件では、県民投票を行わないとしている5市だけでなく、日本全体の民主主義がおびやかされている。この事態を前に、有権者も心ある政治家も、ともに立ち上がらなければならない。今回のことはどのような決着を見せたとしても、関わった人間の名前とともに歴史に刻まれよう。投票に行く権利を市民から奪うというのは参政権の侵害に相当する行為であり、民主主義に対する挑戦にほかならない。

2019年1月18日 三春充希


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