Stay home, stay hungry.

 本記事は、7月末にいただいた複数のマシュマロへの回答みたいなものです。

 たまたま、知識や学びに関するもの、オススメの本を知りたい、といった内容のマシュマロが重なりましたので、自分のおさらいも含めてまとめてみました。Stay homeな夏休みのお供を見つける参考にしていただければ幸いです。

知識の詰め込み方について

 知識といっても、私の場合は正直(大学・大学院の授業も含めて)無駄に積み重ねてきた結果がそびえ立つクソの山だぜ!みたいな感じなので、真面目に勉強している人から見たらこのど素人が……っていう感じだと思います。一応、心がけていることといえば、普段から常に疑問を持ち続けること(どんなくだらないことでも「なぜなにどうして」の心を忘れない)と、浮かんだ疑問はなるべくその場で解決するように(検索する、目の前の人が専門家であればその人に聞く)心がけています。

 日常生活の中では、基本的に
 ウェブで検索する
 →だいたいWikipediaが出てくる(けど、たまに学術論文とかが引っかかる→それを読む)
 →Wikipediaで大枠を抑えつつ、参考文献をチェックする
 →参考文献を読む、ついでに英語やフランス語で検索して同じことを繰り返す
…くらいの深さまでは、情報をあさるようにしています。ある程度情報が集まってきて、「この本は読まねば」となったら、その本を買ったり、あまりに高いやつの時は図書館で借りたりします。

 学生さんでしたら、大学図書館で自分の興味のある分野の本棚をにらんで、とっつきやすそうなものを片端から読むのでもいいと思います。レポートを書くときには、1ページにつき5冊くらいは参考文献を載せられるように意識して本を読んでおくと、自分の得意分野を作りつつコンスタントにウンチクが積み重なっていくと思います。

差別についての参考メディア

 今の世界における差別の問題は本当に色々なものがあって、私自身も当事者であるもの("女性”差別、アジア人差別など)もあれば当事者でないけれど見たことはあるもの、聞いたことがあるだけのもの、もちろん私の全く知らない差別など、いろんなものがあります。差別があると同時に、問題意識を持つ人も多く、アメリカを中心に数多くの書籍・映画などが作られています。やはり、映像はすっとイメージが伝わりやすいのもあり、差別を取り上げた映画を見ていろいろと考えてみるのは面白いと思います。

 スパイク・リーの映画は(私もそんなに見ているわけではないのですが)、人種差別について取り上げているものが数多くあります。その中からあげるとすれば、深読みでも触れた「Do the right thing」のほか、「マルコムX」や「ブラック・クランズマン」あたりは押さえておいて損はしないと思います。

 それ以外の映画で、オススメをあげるとすれば。
 「それでも夜は明ける」はアメリカ国内で自由黒人として生まれながら誘拐され、奴隷として12年を過ごした男性の手記を映画化したものです。ハリエット・タブマンや地下鉄道と同時代の物語になります。

 「リンカーン」は奴隷解放宣言を行なったリンカーンの戦いに焦点を当てたスピルバーグの映画。南北戦争当時の空気を知ることができます。

アメリカン・ヒストリーX」の舞台は現代。アメリカ国内の黒人差別を扱った映画には珍しく、白人至上主義者の兄弟の視点から差別意識とその虚しさを描いています。Do the right thingの裏返しとも言えるような作品です。

ライフ・イズ・ビューティフル」はヨーロッパにおけるナチスのホロコーストを描いた作品。とはいえ、このテーマにおいては珍しくコメディタッチで描かれているので、楽しく見ることができます。監督はユダヤ系イタリア人で、お父様が収容所を経験しています。個人的にはあらゆるジャンルを含めて一番好きな映画でもあります。

歴史・社会・文化について学ぶ

 世界史を一通り把握しておくことは、何事においても役に立つと思います。私が最初に読んだ世界史の本は、学校の教科書を除くと中公の「世界の歴史」シリーズ(旧版)です。
 現行版だと、21巻23巻26巻あたりを押さえておくと、現代のアメリカ・フランスに関する部分を概ね押さえられると思います。

 また、デトロイト(アメリカ史、フランス史)とは全く離れてしまうのですが、世界史を学ぶのであれば、「父が子に語る世界歴史」は外せません。これはインドの初代首相ジャワハールラル・ネルーが、イギリスによる収監中に、娘のインディラ・ガンジーに送り続けた書簡をまとめたもの。アジアでも有数の知識人が、非ヨーロッパ、かつ非日本の視点から世界史を語ってくれる、貴重な文献です。巻数もある事を考えると気軽に買うにはちょっと高い本なのですが、大きな図書館にはあると思いますので、ぜひ近くの図書館で取り寄せてください。

 今日の世界情勢、という意味では、私もほしいけど高くて買えていない「ヴィジュアル版ラルース 地図で見る国際関係」。ざっと読ませていただいたことがあるのですが、国際情勢の背景まで解説されていて(アジアに関してはたまーにツッコミどころがあります)、学ぶことだらけです。常に枕元に置いておきたい本、暫定1位です。

 アンソニー・ギデンズの「社会学」は英国社会学の重鎮による、社会学入門の教科書。人も殺せそうなサイズを誇り、その分、内容も幅広く網羅しています。
 日本語版はちょっと版が古いので、もし英語が読めるようであれば最新版を読んでみるのもいいかもしれません。というか、私も久しぶりにおさらいしたくなりました。

 「Ways of seeing」は芸術を通してみる社会であったり、見る行為を通じて芸術を消費することであったりと、コミュニケーションとしての「見る」ことを軸に据えた芸術・メディア論です。
 特に、「見ることと見られること」の章、描かれる存在としての女性がどのように消費されているのか、という論は、フェミニズムの視点から絵(いわゆる「二次元」)を論じるに当たって押さえておいて損はありません。
 私が読んだのはパルコ出版の旧版なのですが、そちらはもう古書でしか手に入りません。ただ、同じ訳者でちくま学術文庫からより手頃な価格のものが出ているようですので、そちらをリンクしました。

 フェミニズムについての本はいろいろありますが、ある意味フェミニズムの「敵」であるミソジニーやステレオタイプについて、特に男性がどのようにその影響を受けているかを考察している「ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか」。 女性の主観だけで語るのではなく、男性がなぜそうなるのかを理解するためのヒントになると思います。というかこれ出してるの、Disc Unionの出版部なんですよね。出してる本が何かと攻めてます、DU Books。応援したい。

 まだまだ考えれば出てきそうな気はするのですが、この辺からお好きなものを選んでいただければ1カ月分くらいは十分あると思うので、とりあえずこの辺で止めておきます。ご参考になれば幸いです。

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