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人生で初めて心療内科へ行った話②

心療内科に行くことは恥だと思っていた。
社会人として欠落している、頭がおかしい、繊細な生きづらい人、闇の世界…といったマイナスイメージがあった。だから、「心療内科に行こう」と決意するまで、だいぶ葛藤があった。

家の近所に心療内科はあるのか、まずそこから知らなかったので、初めて「◯◯(自分の住所) 心療内科」と検索した。口コミの評価がいい病院をみつけた。

月曜日の朝、病院へ向かおうと電車にのった。本来なら会社方向の電車に乗っているはずが、今日は反対方向の電車に乗っていた。とても緊張していた。なんとなく席には座らず、立ったままだった。心臓がドキドキする。心療内科って、どういうところなんだろう。頭のおかしい人がたくさんいたりするのかな。待合室で奇声を発する人がいたりするのかな。受付の看護師さんとか、患者さんたちを見てやばい人たちだ…とか思ったりするのかな。色々なことを考えていたら、また気持ち悪くなってきた。途中で降りられない、という恐怖がわたしを襲った。ああ、電車にのると体調が悪くなる人がいるって聞いたけどあるけど(パニック障害の人とか)こういうことか、と思った。

心療内科の扉をあける瞬間、深呼吸をした。中は、いたって普通の病院だった。
「初めてきました」と受付に言ったら、問診票を渡された。症状の詳細やいつから症状がでたのかなどの基本的な情報から、「兄弟構成を教えてください」といった質問があった。へえ、なにか関係あるのかな。ちなみにわたしは長女。長女は責任感があって真面目で優等生が多いから、その分自分の気持ちを押さえ込んでしまう、とか?昔どこかの性格診断で聞いたことがあるけど。待合室の中には3~4人待っていた。スーツを着たサラリーマンや、おばあちゃんもいた。みんな、いわゆる「普通の人」に見えた。見た目はなんともなさそうに見えるけど、みんないろいろと悩み抱えてるのかなあ。

しばらくすると名前が呼ばれ、まずカウンセラーの人の部屋に呼ばれた。女性のやさしそうな30代くらいの人だった。時系列に私の話したいことを全て細かく聞いてくれた。部屋を出た後に気づいたが、約40分喋っていた。早く切り上げたそうな素振りもなく、わたしに共感してくれるような話の聞き方だった。わたしと先生の間にはティッシュボックスが置かれていた。やっぱり話を聞いて泣いてしまう人が多いからなのかな。わたしも泣いてしまった。

その後、また待合室に戻り、次は診察室に呼ばれた。これまたやさしそうなおじさんの先生。先ほどのカウンセラーさんのメモを読みながら、診察が始まった。最初は「天気がいいですねえ、暑いですねえ」といった世間話をされたが、こちらとしてはそんな世間話を楽しめるようなメンタルではないのですごく無愛想な返しをしてしまったと思う。自分の症状を話しているうちに、また泣いてしまった。とにかくはやくたすけてくれ、と思っていた。
初回だから、一番薄い薬を出しましょう、といわれた。飲めば、よく眠れるし食欲も湧いてきますと言われた。診察室を出て、受付で代金を払った。思ったより値段が高くて驚いた。(確か2,000円くらい。話聞いてもらっただけなのにと正直思った)封筒に入れられた処方箋ももらった。処方箋が封筒に入ってるのは初めてだ。やはり心療内科という少し特殊な科の薬だからだろうか。

そのまま近くの薬局へ行き、封筒に入った処方箋を提出。数人待っていたので、ソファでぼーっとしていると他の患者さんが呼ばれて薬の説明を受けている。「これは睡眠薬で〜、」と聞こえてきた。うわあ、そんな普通の声のボリュームで言うんだ、と正直思った。私だったらすこし恥ずかしいかも。まあみんな仲間みたいなもんなんだけど。

薬を受け取ったころには昼の12時近くになっていた。お昼を食べてから会社へいこう。近所のドトールで紅茶とサンドイッチを注文した。薬は食後に飲むことになっていたが、どうしても食欲がでない。サンドイッチを2口食べて、薬を飲んだ。会社について30分ほど経つと、強烈な睡魔が襲ってきた。だけど、心は不思議と落ち着いていた。息も苦しくない、不安感もない。そうだ、健康ってこんな感じだった。うっわ、薬ってすげえと思った。

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