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響け!と京アニ事件

はじまったなぁ、
『響け!ユーフォニアム』の3期。
本当に長い間待った。

2015年と2016年に1・2期が放送されて、映画とかを挟んでから満を持して3期へ!というタイミングで、2019年に京アニの例のあの事件。

思い出すだけで本当に胸糞悪い。
ベテランアニメーターでクレヨンしんちゃんの映画の原画とかで私の大好きな木上益治さんや、響け!や涼宮ハルヒの憂鬱のキャラデザを務められた池田晶子さん、あとは私の大好きな京アニ特有のカラーデザインを牽引していた石田奈央美さん、涼宮ハルヒの憂鬱や氷菓の監督を務められた武本康弘さん、氷菓やリズと青い鳥のキャラデザをされた西屋太志さんなど、、

私の大好きな人たちがまとまってあんな惨い事件に巻き込まれて亡くなるなんて、、正直書いているだけでちょっと精神的に不安定になる。

亡くなった方は36名。
あれだけ個々の人材が重要な業界で、本当に損失は大きいとかいうレベルじゃない。

漆黒とも言えるほど労働環境に難のあるアニメ業界で、ちゃんと超ホワイト企業として走りながら、圧倒的ブランド力で世界中に名を轟かせていた製作会社、正直京アニくらいしか知らない。

他の会社でもそりゃ、いい作品作るところは沢山あるけど、みーんな大なり小なりブラックだ。

クールジャパンだのジャパニメーションだので盛り上げていきたいにしては、アニメ業界はあまりにもビジネスとして破綻している。

酷すぎる低賃金労働と円盤の売れ行きの低さから見ても顕著だ。名作を生み出しまくっている著名な会社が告発されることなどよくあることだ。
それに将来有望な若い才能達が、タダ同然の労働で使い潰されていく様、Twitterで何度観測したことか分からない。コミケで自作画集頒布したほうがよほど儲かるらしく、そんな彼らから何度もたったの500円で画集を買ったりもした。これも中野ブロードウェイやフリマアプリでプレミアつけて数千数万円で転売されてたりするから複雑な気持ちになる。


そんな感じでアニメ業界にウルトラブラック体制が蔓延る中、京アニだけは本当に唯一、心から良い会社だなと思える。

ほとんどのアニメ製作会社が利便性の高い東京に林立する中、あえて京都に会社を構え、わかりやすい『京アニ』というブランドを構築し、地元からも愛される企業としての地位を確立している。
そしてそのブランド力を活かし、円盤以外でもしっかりビジネスをしている。

また、東京の多くのアニメ制作会社は、下請けに投げまくるスタイルが多いが、京アニは近隣に下請け会社がない分、全て内製できる体制を構築している。

これにより、クオリティを担保しつつ後進育成にも注力できているという。
実際、京アニは独自性のあるキャラデザや作風を完璧に確立しているし、毎度映画かと思うくらい良質な体験価値を提供してくれる。

これで業界に類を見ないレベルのホワイト企業ときた。本当に、アニメ業界の希望の星みたいな会社だった。

それだけに、あの事件については本当に悔やまれて悔やまれてならない。

2017年あたりからだろうか、アニメ業界ではあまりにも薄利多売的な商法が目立ち、なろう系だらけで骨太作品がほとんど出てこないな、と思う。なろう系が悪いとまでは言わないけど、気合の入った一部アニメ以外の質がぐんと下がっているのは間違いない。
90〜00年代の異常に気合入った世界系作品とかが懐かしい。ニコ動文化とかもあわせて、黄金期過ぎた感は否めないよなぁ、、

おまけに、子ども向けアニメはここ10年ほどでほぼ駆逐されてしまった。
子どもって一番大切な未来の消費者達なのに。漫画界にもラノベ界にも言えることだけど、若年層への投資をやめることって本当に悪手だと思う。これじゃ産業自体の将来が危うい。
今の子たちは推しの子とか鬼滅の刃とかを率先して見ているようだけど、あれだって内容はあんまり子ども向けじゃない。

おジャ魔女どれみを筆頭に、起きている時間帯に数多の良質な子ども向けアニメを浴び情操教育されてきた身としては、なんだかなぁと思わずにいられない。こんなこと言い出すと老害っぽいけど。

なんにせよ、日本のアニメの未来はかなり暗いなと思わずにいられない。
そんな中、もし京アニが元気だったら、、と思うと涙が出る。

京アニ社長も語っていたが、このホワイトな体制は数十年かけてやっと確立したもので、ようやく内製から後進育成まで自走できるようになってきたから、アニメ業界の更なる健全化にむけ新たな展開を!と思っていたところだった、みたいなことを言っていた気がする(ソース曖昧で申し訳ない)。

あまり内情は分からないけども、京アニみたいなビジネスモデルが各社で確立できたら、日本のアニメーション文化はより磐石なものにできたことだろう。

真面目な話、現代日本における世界史に名を刻むレベルのコンテンツなんて、高度経済成長期のモノづくりを除いたらマンガ・アニメ・ゲームくらいじゃなかろうか。なんか岡田斗司夫もそんなこと言ってたけど、私も正直同感だ。そのくらい世界的に見ても特異的かつ影響力のあるコンテンツだ。

実際海外の人たちへの影響力だって計り知れない。みんな驚くほど日本のそれらに触れ、感化されて育っている。

どれも文化としてはかなり成熟しているのに、ビジネス面が破綻しているせいもあってか、徐々に衰退している気がしてならない。

オタク文化自体はせっかく10年くらい前に市民権を得たのになぁ。

アニメやマンガって、ドラマや小説でカバーできない強みも大きいし、誰でも取っ付きやすく、全世界共通で楽しめるとても良い娯楽だ。

ソフトパワーってホント、教育文化の浸透にものすごく効くし、他国の価値観を侵略し得るほどの力がある。戦後の日本人だってアメリカ映画や音楽を入口として西洋文化を受け入れていった訳だし、今だってK-POPのおかげで韓国好きになっている日本人がどれだけ多いことか、という話である。

その点アニメやマンガって、現代日本固有の大きな強みなんだから、割と本気で、もっと真面目に力入れて育てた方がいいと思うんだよな。

過去の芸術文化をギリギリ守れる程度の予算規模では、文化の保存こそできてもその先の発展はない。
ちゃんとこれからも立派な文化の1つとして成長し、発展、継承されていってほしいと願うばかりだ。


ホント、私の愛するアニメ文化、なんとか今後も発展し続けてほしい。京アニに追随して各社体制を整えてほしい。持続可能性がないやり方じゃいい加減潰れてしまう。

まあ所詮、私は消費者なので、あの事件以来そんなことをウダウダウダウダ考え続けている。



さて、話がだいぶ逸れたので戻そう。
事件から5年、2期からは8年も待って、今月ついに始まったのが待望のユーフォ3期。

OP映像には故人となってしまわれた当時スタッフ達の名前が刻まれていて、早速涙が出てしまった。

すっかり少人数体制になってしまったことはクレジットからも顕著に感じられるし、本編から些細な作風の変化を感じ取ってしまったりはする。
それでも京アニはちゃんと変わらず誠実に良質かつ視聴者思いの作品を生み出そうとしてくれているのが分かるし、ちゃんと未来に向かって進んでいるんだなと感じられる。

事件を思い出してはまた辛い気持ちになってしまうけど、強い信念を持って前へ進んでいる京アニのこと、これからも全力で支持していきたい。


3期では主人公たちは高3になり、舞台は2017年設定だ。

流石は京アニと言ったところか、抜かりなく2017年を忠実に描写してくる。
有線イヤホンとか、星野源『恋』の吹奏楽版とか、めちゃくちゃ当時のそれだ。

高校時代なんてつい最近!と必死に思い続けてきたけど、、
ユーフォ3期を見てようやく、流石に遠い時代になりつつあるんだな、と気づいてしまった。

ユーフォは異常に高校生および吹奏楽部特有の人間模様がリアルで、また久美子たち主人公がちょうど私の1歳下なのもあって、1期放送時はものすごく親近感をもって見ていた。

でも、、考えてみりゃもう2017年から7年も経っている。コロナ禍もあってここ数年は特に爆速で過ぎちゃったからなぁ。
なかなか受け入れられないけど、確かにユーフォを見ていると色々古いことに気づく。
2010年代はどうやらすっかり過去になりつつあるらしい。

うぅ...私も過去ばっか見てないで、いい加減前に進まないとなぁ。


しかしユーフォ3期、最近の『惰性で見てたら2クール秒で終わってたわ』みたいなアニメとは違って、毎週毎週次が待ちきれなくてウズウズしている。1週間が長くて仕方ない。
歳とると半年や1年なんて一瞬だけど、当時はもっと毎日新鮮だったし、長く時間をとらえてたよな。そんなことまで思い出してきてしまった。
懐かしさのあまり心が高校生になっちゃってるのかも。

それに、いつもどおりdアニメで視聴しようとしていたけど、なんかしっくり来ないなと思ってニコ動で視聴したらめちゃくちゃハマった。そういや昔は、アニメ全部ニコ動で見てたな。

ニコ動もオワコンとか言われて久しいけど、やっぱりあのコメント文化は他に代えがたい。
あれも潰えず再興してほしいなぁ。

なんだか、高校生当時のアニメの楽しみ方を久々に思い出した。
ニコ動で『お前ら』と一緒に見るアニメほど面白いものはない。ユーフォに限らず、久々にアニメ全般ニコ動で見てみようかな。

懐かしいものを愛好してしまう癖は治らず、私は過去に囚われっぱなしだ。京アニとはえらい違いだ。でも8年待ったんだもん。今くらい許してほしい。

とりあえず今期はユーフォを楽しみつつ、京アニの再興を心から祈ることとしたいと思う。
社会人パワーでちゃんと京アニにはお金も積んでいきたい。あぁ楽しみ!

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