見出し画像

時に想像しあった人たち、終演

(珍しくノンフィクション舞台後記)

10月10日。
生きている。あれ、10月になってる。いつの間に。

サンボマスターを聴いて、ふらふらと帰ってるといつのまにか夜が明けて白んだ空が見えていた。
時に想像しあった人たちの舞台みたいなこの商店街がお気に入りなのだが、なくなるらしいということを別の街の誰かから聞いた。本当かどうかは知らん。

排気口『時に想像しあった人たち』では
演出助手、制作、一部衣装、代役を担った。
大変すぎて爆散して散り散りになるかと思ったが、
人の形を保ったまま生き延びたのは、
周りの皆さんのおかげとしか言いようがない。

○演出助手
集中稽古までは主に台本の書き換えだった。
毎稽古ごとに膨大なセリフの変更点があり、
演出がつく。
一度穂波さんが17:30から始まる稽古の17:32くらいに新しい台本を送って稽古に来たことがあった。私はパソコンをwifi下でしか使えないのでいつも家で脚本をpdfで開いた状態にして、稽古場に持ってきて電子ペンで書き込んでいた。アナログなんだかデジタルなんだか。
そのためwifiのない区民集会所では新しいファイルをパソコンで開けず、穂波さん到着までの休憩時間10分の間に片道徒歩6分のコンビニまでダッシュして印刷、見事10分以内にホカホカの紙台本を握りしめて帰ったのだった。

今回演出助手としてついて、
舞台に正解はない
ということを実感した。

穂波さんは深いプランと構造を持っていながら、
稽古期間中は全然ご教示いただけなかった。
だから、終演間際に教えてくださった時は、
なんだそれを教えてもらってたら、あうように考えたのに!
と思ったが、
振り返れば、
知らなかったからこそでてきたアイデア、注目した台詞があったのだと思う。
脚本家の最初の意図を知らないからこそ自由に発想できる。
脚本演出家が持つ正解やその理想に近づけるのが役者の役割、ではない…。
役者やスタッフの強みを感じた。

思考と発想の集大成が演劇であり、
戯曲というものは稽古を重ねる上で雪だるまみたいに成長していくのだと感じた。

客観的に舞台を見ることで、これまでの自分を振り返りながら役者の仕事や舞台上での見え方を再考することができた。
このタイミングで演出助手の立場で作品に関われたことを幸せに思う。

○制作
小屋入り当日、膨大な仕事量を察して不安でいっぱいになった。
でも、1人じゃなかった。
実際、やることは沢山あったが、
伊藤さん、飯島さん、排気口の方々、座組の方々が積極的に分担してホワイトボードやチケット、楽屋の掃除などの制作業務を手伝ってくださったおかげで本当にスムーズに進んだ。優しい人たちだ。舞台裏は優しさで包まれていた。

実は明日も三鷹に行って仕事頑張ろう!と踏ん張れたのは、
三鷹の森元さんの帰り際のお見送りがあったからである。
「お疲れ様でした!
明日もよろしくお願いしまーす!」
と笑顔で両手を振る森元さんに挨拶をして三鷹市芸術文化センターを後にした時、
「森元さんがいるから明日もがんばるか〜!」
と思えた。

笑顔と元気を私も意識しようと思った。

○一部衣装
これはXに投稿したので割愛。
馬場ゴジラの衣装を作成した。
本当は他の役も作りたいものがあったが、
代役で全く余裕がなくなったので流してしまった。
本役松田ラージケパブマックやメモちゃんは私服提供である。
自宅クローゼットは衣装部屋の如く、多種多様な服が並んでいるので、イメージに合うものはどんどん稼働させていきたい。

お手玉ゴジラ

○代役
稽古で休んでいた記憶もない、ゆえに誰も代役をやったことのない松田さんの体調不良の連絡があった。そして、ラージマックの代役をすることとなった。
約3ヶ月稽古を見てきたとはいえ、
演じるとなるとそう簡単にできるものではない。
台詞覚え、役者の皆さんに沢山手伝っていただき感謝しています。以前代役経験のある根間さんがお言葉をかけてくださり、練習に付き合っていただきました。文さんが泊めてくださり、夜通し台本を読み続けてくださいました。鬼門の2場の相手役の桂さんが動きも込みで稽古に付き合ってくださりました。
解散後、残って練習していこうと思ったら、気にかけてくださった皆様もお疲れの中なのに一緒に残ってお付き合いくださいました。穂波さんが私のラージマックとして新たに演出をつけ、海国さんのラージマックを演じればいいよと声をかけてくださいました。松田さんはご自身も大変な中、まめな投稿と宣伝を続けてくださり、メッセージもくださいました。本当に感謝です。
また、貴重な舞台稽古の時間のほとんどを代役稽古に割いていただきありがとうございました。

決まったその日は台本を持って読み、稽古中に捻挫、
翌日、台本を外して猛特訓、
その翌日にゲネがあった。
そうして迎えた3ステージ、
初日の幕を開けて、翌週に繋げることができた。
1人でも多くの人にこの舞台を見てほしい、
ずっとそう思ってきたので
3ステージ200名近くのお客様の観劇を支えられたということは喜びだった。
足をお運び、ご観劇いただいた皆様本当にありがとうございました。

一人一人挙げていくとキリがないほど沢山の方にとてもお世話になりました。
関わってくださった全ての皆様に感謝を。
そしてご来場くださったお客様に感謝を。
ありがとうございました!

海国りん

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?