自分の感受性くらい殴り書き

茨木のりこが好きです。
今日ラジオで久しぶりに聞いてやっぱりいいなぁ、と琴線に触れ直した。
現代詩の長女と言われる詩人、エッセイスト。
茨木のり子。

一番好きで有名なのはこれかな。
詩集「自分の感受性ぐらい」(1977刊)

自分の感受性ぐらい
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

まだ続くけど、本当に最高の言葉で
自分の感受性だったり機嫌だったりを
人のせいにしてへこたれたりするなかれと言われているみたい。

最後の締めも好き

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性ぐらい
自分で守れ
ばかものよ

人とか時代に影響される事なく
自分の感受性は自分のもののままでおけ、というつよいお言葉。いい

茨木のりこが生きた時代は戦後で
今よりも乱れて何もない時代だったけど
自分の感受性を守って今の時代までこうした言葉を残してくれて
そして今は逆に情報も物も溢れすぎてる中で
自分は何を選んで守るのかという認識。
難しいね。


この詩も好き


倚(よ)りかからず

もはや
できあいの思想には倚りかかりたくない
もはや
できあいの宗教には倚りかかりたくない
もはや
できあいの学問には倚りかかりたくない
もはや
いかなる権威にも倚りかかりたくはない
ながく生きて
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある

倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ

この詩を初めて読んだ時、私はまだハタチそこそこで
天国と地獄が一緒くたみたいな不倫をして
依存し尽くして精神的に死にかけてた頃で
「人に依存すると馬鹿を見るんだな」って事を
身をもって学んだ直後だったので
より一層心に響いた一編だった。

詩人といえば寺山修司とかオスカーワイルドも好きだけど
女性ならダントツで彼女だなぁ。
あ、でも楠本まきも詩人とも言える。

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