突然アニメ化されたと思ったら何故かこの時期に最終話まで一気に放送した謎多き古参作品であるところの「ブギーポップは笑わない」がすっげぇなぁと思ったので、何がそんなにすっげかったのかについて少しだけ書いておきます。

　ブギーポップの何が一番凄かったかを一言で言うなら「直接的な表現が多用されている割に、引き込まれる描写になっている」点です。
　ここで言う「直接的な表現」というのは具体性のあるなしという意味ではなくて、メッセージ性が隠されていない様子を示しているのだと思ってください。紛れもない事実に言及してるとも、ぼかせないくらい正体のはっきりしたテーマを扱ってるとも言えるかと思います。いや、それ具体的ってことじゃねって思うかもしれませんがそうではないのです。むしろ具体か抽象で言えば抽象的な内容が多かったと思います。

　で、この矛盾したような批評がどうして凄さにつながってるかって話をしなければいけないんですけど、これには僕の創作に対する価値観みたいなのが大きく関係してます。
　個人的に何かを発信する際に最も優れたパッケージは創作物だと思っていると同時に、創作物はパッケージとしてコスパが悪すぎるとも思ってるんですよね。そういう観点から見た時の「ブギーポップは笑わない」ってパッケージのコスパの良さが凄いと思います。そう、要するにコスパが良いんですよねコスパが。無駄がないどころか増幅してる。

　僕もこんなお話が書けるようになったら小説家になって一生食っていこうと思えるクオリティでした。

　はねバドの石澤じゃないですけど、たまに自分の延長線上にあり得たであろう何かがそのまま目の前に現れる瞬間って確かにありますよね。