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山田尚子監督作品と京都アニメーションのファンが感じた "響け!ユーフォニアム3"で気になるポイント #京都アニメーション #anime_eupho


はじめに

前回の記事では山田尚子監督作品 "きみの色" PVについてのメモを公開しました。タイトルにも"響け!ユーフォニアム3"(以降、ユーフォ3)がはじまる前に・・・・としたようにユーフォ3に集中するためにも敬愛する山田監督作品についての想いをメモをして記憶の外部化しておこう、あとついでに周りの友人とのコミュニケーションに使おうという目的でした。

山田尚子監督作品のファンとして観るユーフォ3

ユーフォ3の話に行くまえに、すみません。石原監督作品である "響け!ユーフォニアム" シリーズについては他の山田尚子監督作品ではない京アニ作品と同様に詳しいという訳ではありません。

とはいえ山田尚子さんもシリーズ演出として関わっていた作品として観てはいました。3期はその山田尚子シリーズ演出さんが居なくなったアニメとして、前後の差分を楽しめる非常に気になる作品という受け止め方をしています。

京アニファンに伝わる言い方をすると、内海紘子監督が去った後のFree! 3期だったり、ヤマカンが抜けた後の涼宮ハルヒの憂鬱とも同じような状況かもしれません。

私は山田尚子監督ファンであり、もちろん京都アニメーションのファンではあるのですが、その二つが別々の道を歩みはじめる事になったいま、今後は両方を追うのは難しくなる予感がしています。その最後の分水嶺としてユーフォ3は気合を入れて観ようと思っています。

原作を未だ読んでない事について

もう一つ断りを入れておいた方がいい事として、わたしはユーフォシリーズに関しては武田綾乃先生の"原作をまだ読んでない"です。なぜ読まないか周りの友人にも上手く説明できた試しが無いのですが、はじめて説明を試みます。以下に書いてることは"わたし"がそうしたいというだけで、周りの人に強要したいという話しではない事には注意してください。

理由は"わたしが京都アニメーションに信頼を置いている"からなのです。噛み砕いて言うと、アニメーションそのものを見ればそのアニメというメディアで表現したいテーマや演出などの芯が過不足なく含まれているだろうと信頼しているという意味です。

響け!ユーフォニアムという情報が100%詰まったイデア界があるとして、それを100%アニメーション上で表現するというのは物理的に難しいでしょう。それでも京アニであれば、本当に作品にとって大事な芯となる70~80%をアニメーションの中で描いてくれるだろうから、それを全身で受け止めようと。

また原作を一度読んでしまうと、原作とアニメーションの違いや何々が増えた減ったといった相対的な比較で満足してしまいそうな気がしています。これは原作に限らずクリエーターさんや声優さんのインタビューやラジオ、(めっちゃ買うけど)公式から発売される副読本についてもしっかり読まない事が多いです。また、ガチンコで例えば声優さんの活動も含めて可能な限り100%全てを追うのは時間が足りないというのもあります。

実際に山田尚子監督作品である"映画 聲の形"の原作を読むのも映画を公開してから5年くらい、Blu-rayを繰り返し視聴して気づきが薄くなってきた(ゲームで例えるとトロフィー90%は取れたかな?)時点で拝読しました。原作とアニメーション、メディアの制限が違うため、細かい話の筋は違いました。しかし、原作が持つテーマやメッセージの本質はそのままに、アニメーションに適した形に昇華されており"京都アニメーション・山田尚子監督は流石だ・・・"と感じました。

この見方は自分なりの京都アニメーションや山田尚子監督作品への愛なのです。なので今のところ原作を読む選択肢はなく、アニメーションの響け!シリーズが完結して5年くらいしたらゆっくり読もうかなと思っています。(何度も書きますが、原作を読んでいる人を否定している訳ではありません。

それは自分の生き方として

なぜそのような見方をするのか?は少し余談ですが、自分の仕事というか生き方の問題です。"ノイズに惑わされずに、100%の情報が網羅的に無い中でも、物事の本質を見極める"事が一番重要だと考えています。その訓練としてクオリティの高いアニメーションを見て自分なりに大事な事を見つけようとしているのかもしれません。

大事な事の見極められた一例として昔の仕事についての記事を貼っておきます。

響け!ユーフォニアム3で気になる事

そんな私がユーフォ3PVを見た上で気になるポイントを紹介します。

北宇治高校・久美子に残された課題、"全国優勝"できるのか?

北宇治高校はガチンコで全国金賞を目指すというカルチャー、黒板に"全国"と書いて手をバーンとやるやつが根付いたと言えると思います。少なくとも久美子が卒業するまでは確実にある文化です。

アンコン編 全国大会と黒板に書いて手をバーン

以前ブログでも言及しましたが、これは"全国金賞を目指す北宇治のシステム"の完成系です。1〜2年編を通して、久美子や吹奏楽部のメンバーは感情的ないざこざがありながらも、そのシステムを駆動させていく姿を見せてくれました。北宇治高校が「頑張り続けられる」というカルチャー・組織・システム構築が完成(フィナーレ)した2年間のお話はそれでいいのです。

3年生編に残されたのは最後の1年、北宇治システムの目標である "全国金賞!"を取れるのかどうか、もう結果をテーマにするしか無いでしょう。

ただ問題は"全国金賞"に手を届かせるというのは"実力勝負"の世界に突入するという事です。響け!ユーフォニアムの世界観でご都合なんてファンが許さないじゃないですか。(ラブライブ!スーパースター!!1期の素晴らしい負けと2期は謎の優勝・・・・でもラブライブ!なら有り)

実力という観点でいうと麗奈は卓越したプレーヤーとして描かれていますが、アンコン編の最後のチョコマンのくだりをみる限り、まだまだ何か足りないと感じている模様。さらに周りの人たちは?他校と比べて全国レベルの実力が本当についてきたか?という点については描かれていないように感じます。そこで2つ目のポイントが鍵になるのではと推察します。

新キャラの黒江真由と久美子は本質的には同じ事を目指しているのではないのか?

合奏 vs. 北宇治 対立構造のように見えるが、二人は同じ方向を見ている

このヴィジュアルが発表されたときにギョッとしましたね。全国金賞を目指す北宇治にまた問題を起こしそうな転校生がくると・・・。PVでも『大前ってヒトが部長って聞いてて』なんて小生意気な言い方してますね。

でも落ち着いて考えると、北宇治 = "全国金賞を目指す組織"として、それを実現させる必要なピースとして黒江の"合奏が好き"にある気がしてきました。

音楽は音を楽しむと書きます。好きこそモノの上手なれともいいます。つまり合奏 = みんなで演奏する事が好き というのは黒江の意志が伝播すれば 北宇治(みんな)で演奏するのが好き = 無限に練習 = 強い に繋がっていくんじゃないかと。

自分の数十年の小さな体験ですが、本当に強い人というのは頭の良さや効率の良さとか学歴が高いとかそういう一般的に分かりやすい強さだけではなく、純粋に好きな事を無限にやっちゃう人だなと感じる事が多いです。

黒江は北宇治全国金賞に必要な最後のピースとして"合奏の楽しさ" を伝えてくれるのではないのでしょうか?

京都アニメーションは山田尚子監督が抜けた後も、独自の演出を作り続けるのか?

これは京アニファンの友人である(パ)さんがおっしゃっていたのですが、2020年代におけるハイクオリティなアニメーションは京アニ・山田尚子監督が取り上げてきた演出を随所で引用していると。平易なに言えば京アニの特徴が真似されていると。

わたしが京都アニメーションをとにかくちゃんと見て観ようと思ったのも"たまこまーけっと"の演出に引っかかったからなんですね。そんな山田尚子監督が抜けた後の作品の中でも"ツルネ2"は京都アニメーションの若手クリエーター達が先輩のつくってきた演出を昇華させようという意気込みを個人的には感じました。

アニメーション演出を牽引してきた京アニはこれからも凄いと思わせてくれるのか?(とはいえユーフォ3のPV見たらクオリティの高さは折り紙つきな気もする)京都アニメーションのファンとして楽しみにしています。

ED(エンディング)楽しみすぎる・・・

特にユーフォ3のエンディングには期待が高いです。1期ED トゥッティ!は"けいおん!"ED、"中二病でも恋がしたい" EDなどミュージックビデオ風エンディングの自己サンプリングも感じる山田尚子節万歳の絵コンテ・演出で楽曲も合わせて"高揚感"Maxでした。プロジェクションマッピングやVRなど流行りの技術をアニメーション上で展開する新境地への挑戦も見逃せません。

バトンを引き継いだ2期の"ヴィヴァーチェ!" 絵コンテ・演出はヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -藤田春香監督です。特に久美子のきららジャンプの太ももをクローズアップして後ろから撮影するという、石原監督&山田演出リスペクトしつつ発展させた内容に個人的にはガッツポーズでした。

藤田春香さんはファンの間では山田尚子監督の後継者として熱望されていた面もありましたが、残念ながら藤田さんも京都アニメーションを退職されています。

そのバトンを受け取るのは誰なのか?小川太一さんか?それとも他の演出の方でしょうか?この点は大いに楽しみです。

覚悟の演出

Tweetの通りです。京都アニメーションガチンコの覚悟を感じます。

まとめ

以上、ユーフォ3について自分なりに期待となるポイントを書いてみました。ユーフォ3は(アンコン編もだけど)山田尚子シリーズ演出が抜けた後の新たなスタッフでの挑戦もあります。そして、京都アニメーションの覚悟や新たな才能が発揮されることにも期待しています。

みんなで全国金賞!


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