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2023年後半から2024年1月頃のAIイラストの進化(高速描画・キャラの表情が豊かになる)

前回の記事から2か月程度経ちました。
たった2か月でAIの技術も進歩しました。

ここ半年くらいを振り返ると、私が思う漫画的な観点から大きなニュースは2つです。(私は、3か月くらいしかAIを触っていませんが…。)

①AIが高速で画像生成ができるようになってきた。
②Novel AI(NAI)やStable Diffusion XLの新モデルなどにより、アニメやマンガ的な表情が徐々に自然に出せるようになってきた。

1,AI画像生成の高速化の威力

LCMによる高速描画を利用したプログラムがいくつか出てきました。
少し前からあった技術ですがKritaという画像編集ソフトとStableDiffusionを連携するとリアルタイムでAIが画像を提案してくれるような機能と組み合わせると強力なツールになります。

例えば、ペイントソフトで「ささっ」と適当なラフを描くと、それに追従するようにAIが「綺麗な画像」をリアルタイムで提案してくれます。ボタンをポチっと押せば、レイヤーに取り込むことができます。

左側が私が描いた雑なラフです。右下のほうにAIが画像を提案してくれます。まだまだ、思った絵に近いものを出すには苦労しますし、難しい構図は破綻しますし、どう頑張っても出ない絵もありますが、少し前に比べると各段に精度が上がっています。

左のラフとAIが提案した画像を比較してみます。

描いている途中で、どんどんと連続でAIが提案してきます。こんな強力なツールはありません。なお、Kritaというペイントソフトだからできているのであって、現在Clip Studioやアイビスペイントというソフトではできません。ここら辺は、お客様であるユーザーの思想が大きく反映されていて導入が難しいのだと思います。アイビスペイントは、「AIイラストのお手本が出る新機能」としてリリースしたことがありますが、ユーザーの反響からわずか1日で取り下げになったようです。最も致命的だったのは、見たことのある版権キャラクターが出てきてしまったことだと想像します。

ここらへんは、経営方針として非常に難しい舵取りを要求されているのだと思います。クリエイターを大事にしないとお客様の信頼を失いますし、AIの発展を指をくわえて見ていればAIの導入が遅れて、他のソフトにシェアを取られて「5年後、10年後のクリエイター」が使うスタンダードなソフトではなくなる可能性もあります。

画像に限らず、文字や音の世界でもAIは課題が山積みです。
・検索した情報を簡潔にまとめてAIが提案してくれる機能は、ニュースサイトの権利を侵害していないか。
・人の声を真似られるAI。果たして他者の声を利用して似た声を作ってyoutubeなどにアップしてよいのか。

さて、話がそれましたが次の話題に行きましょう。

2,表情が豊かになってきた

細かな破綻はさておき、以下のように、表情豊かなキャラクターを出せるようになってきました

少し前のAIの画像は、可愛いけどもどこかのっぺりしていました。もちろん、頑張って調整を加えればある程度修正できましたが、それは労力を伴うわりに良い結果が出ないことも多かったようです。

原因の一つは、学習している画像のサイズが大きくなり、生成する画像も大きくなったからだと思います。

昔のStable Diffusion 1.5などは、512ピクセル×512ピクセルの画像を生成するため、画像サイズが小さくて表現に限界がありました。最近のDalle-3やStable Diffusion XLなどは、1024ピクセル×1024ピクセルが基本的な大きさです。

画像サイズが大きくなったことにより、指先の破綻なども減ってきました。

といっても、AIが生成する画像は、まだまだ大小さまざまな破綻をしています。以下は、1024ピクセル×1024ピクセルで作成しましたが、謎の手が出現しています。念能力かスタンドか何かでしょうか。

破綻例①

上記のような破綻例の画像はたまに出てきます。

ここで、関連するAIの限界についても書きます。変な手が出にくくなったなら、AIで漫画をすぐに描ける!みたいな考えは早計です。

手が浮いているキャラクターを漫画に出すのは難しいということです。意図してこのような画像を作ることは難しいです。ハンターハンターのシュートのように浮いた手があるキャラクターや僕のヒーローアカデミアの葉隠透みたいな透明人間が手袋だけを描きたいときに意図的に描くことはできません。

次の破綻例に行きます。下の画像は、プロンプトがよくなかったのでしょうか胴体と足のつながりが矛盾しており破綻しています。そもそも、本棚の構造が良くわかりません。

破綻例②

宙返りのような難しいポーズを指定したり、絵として難しいアングルを指定したり、「手を広げるポーズ」と「腕を組むポーズ」のように相反するプロンプトを同時にいれたりすると、破綻しやすい傾向にあります。

ここからも、AIで漫画を描くのは難しいということがわかると思います。だからこそ、創造力や工夫や必要で、普通の人にはできないためチャンスがあるのかもしれませんが。

最後に、感情表現がどれくらいできるかというのを確認したい方は、ぜひとも以下のkindle本を読んでみてください。現在は、FANZAに出す漫画を作成中です。

Amazon.co.jp: AI画像から学ぶイラスト資料 (中級者以上向け・正方形コマ型)感情表現と構図: 金髪ギャルモデル (みるく工房イラスト研究文庫) eBook : みるく

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