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So Long Goodbye

ふいに魂が澱んだので
息継ぎするために上を向く
夏の空はないし
もう、君もいないしね

不透明度10%くらいの
オレンジのフィルターを被せて
梢との境界線の色彩を
今ゆっくりと混ぜてるみたいだ

近視はもっとずっと進むし
唄声も止んでるので
デフォーカスのままでまた潜る
次の息継ぎの間までいっそ、死ね

始まり、終わり
さよなら、またねを
繰り返す
また、繰り返す

終わり、始まり
またね、さよならを
繰り返す
また、繰り返す

二度と逢えない
たわいない未来に
今、生きてる

夏の空はないし
もう、君もいないしね

    ー

ちくり指先が疼いたので
忘れるために傷をつける
夏の空はないし
もう、君もいないしね

斜め45度くらいから
切り取られたひかりの残骸で
裸の姿を透かしてみてる
体温計もゆっくりと下がってる

慰め方すら忘れていたし
誰も見ていないので
ベランダから(しっこ)してやった
生ぬるい雨を浴びてお願い、死んで

始まり、終わり
さよなら、またねを
繰り返す
また、繰り返す

終わり、始まり
またね、さよならを
繰り返す
また、繰り返す

    ー

どんなに季節が変わっても
巧妙なホログラムと
難解なプログラムが
執拗な意地悪をするんだ

多分、

始まり、終わり
さよなら、またねを
繰り返す
また、繰り返す

終わり、始まり
またね、さよならを
繰り返す
また、繰り返す

二度と逢えない
薄暗い隙間で
今、生きてる

ただわかってることなんて

夏の空はないし
もう、君もいないしね

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