ティム・バートン版『ダンボ』を観て

 公開日の3/29のイオンシネマ岡山2回目の上映で字幕版を観ました。前回の『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』ではグランシアターで上映アリだったのに今回はないんですねターゲット層の違いでしょうか。就活の移動中の暇つぶしとして感想なんかを書きましたので投稿します。

所感

 バートンがディズニーでダンボを実写化すると聞いて、一抹の不安を憶えた方も少なくないだろう。期待の大きかった『アリスインワンダーランド』がアレ(所説アリ)だったのだから無理もないし、そもそもバートンとリブートものの相性が良くないことは『猿の惑星』のリイマジネーション版の時に本人もグチッていた。
 発表されたダンボのビジュアルには「可愛くない!」という厳しい意見も見られたし公式もかわいいかわいくないみたいなアンケートもとってた気がする。

 しかしまぁ、蓋を開けてみるとびっくりの傑作であったのだから喜ばしい限りである。

 幕が上がるや否や、ミニチュア(風?)の汽車を上空から撮るお馴染みのカメラワーク。そしてトンネルに入ったときのあのアイコニックなうずまきの連続パンチ。「いかにも」な演出で往年のファンは開幕ノックアウト寸前である。もちろん序盤だけならず映画随所にバートンらしさが盛り込まれている。

 ストーリーは特筆すべき点もないディズニーらしいダンボであるが、オリジナルの展開となっていてこれが非常に意地わるく、皮肉めいていると感じた(後述)。
 ダンボは、偽物フリークスの集うメディチ・ブラザース・サーカスの目玉となるはずの小象だったが、異常に大きな耳のせいでつまはじきの笑いものにされてしまう。ダンボを守ろうとして囚われてしまった母象を取り戻すべくダンボたちは奮闘する。
 身体的コンプレックスを持ちまだ世間知らずなダンボは、エドワード的なアウトサイダーでバートン映画にふさわしい主人公であると言える。本作で脚本を手掛けたアーレン・クルーガーも『ダンボ』とバートンの共鳴を認めている。

 以下に若干のネタバレを含む本作の個人的な見どころを記す。

バートンの色彩で描かれるアール・デコ建築

 アール・デコ建築は1910年代から1930年代にかけてヨーロッパやアメリカで流行した建築装飾の様式である。1919年が舞台である本作では、マイケル・キートン演じるヴァンデヴァーの経営するドリームランドに多用されている。いままでのバートン作品に登場した建築物の多くは、アメリカの郊外化が顕著になった1970年代風のものやドイツ表現主義的な歪んだものであっただけに新鮮だ。

 古き近未来的なデザインの巨大建築物たちは『メトロポリス』などを彷彿とさせるが、モノクロ映画の『メトロポリス』とは異なり、バートンらしい美しい色彩で描かれる。ドリームランドで披露されるパレードや空を飛ぶダンボと合わせてスクリーンで見ること必須である。

フリークたちの協力

 「ナイトメア・アイランド」に囚われたダンボの母・ジャンボを救出すべくメディチ・サーカスのフリークたちが魅せる活躍も必見である。彼らが「本物」となる演出とともにバートンの愛するホラー映画らしい演出がニクい。
 ナイトメア・アイランドのビジュアルも、ドリームランド内のアール・デコでレトロフューチャー然としたほかの建物と比べ異彩を放っておりこちらはこちらで魅力的である。

 余談ではあるが、昨年公開の某エセアウトサイダーサーカス映画(好きな人ゴメンナサイ)に欲しかったシーンが短いながらも『ダンボ』で観られるとは思ってなかったので感激。さすがはバートンである(信者)。

ディズニーへの皮肉

 これは個人的な意見なのであまり真に受けないでほしいが、ヴァンデヴァーはディズニーの暗喩であるように、映画を観て感じた。ダンボという商品欲しさにメディチ・サーカスを買収するヴァンデヴァーは、マーベルや20世紀フォックス、ルーカスフィルムを買収しストリーミング業界への一手としているディズニーの姿と重なる。そもそもドリームランドはまるでディズニーランドである。ディズニーと仕事を進めながらも、たびたびディズニーの方針に否定的な意見を述べてきたバートンならやりかねないとも思う。

おわりに

 またまた偉そうに語ったが、個人の感想であるので許してください。
 バットマンとペンギンを演じた、マイケル・キートンとダニー・デヴィートの共演はうれしいし、ミス・ペレグリンのときは終始厚化粧だったエヴァ・グリーンの薄化粧(薄くはない)が見れるのもうれしい映画ですので是非劇場に足を運んでみては。


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まつかわ

ホラーな生活
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